「いのうえ歌舞伎號☆IZO」を観てきての感想を、田辺ファン目線で。
(悩んで引っ張った割には大した内容ではありません…スミマセン。)
初見から千秋楽まで一貫して感じたのは、田辺さんの役作りに対する「覚悟」。
もちろん、田辺さんご本人は今までのどんな舞台でもドラマでも役に向き合うに際して、
妥協したり手を抜いたりしたことはなかったでしょうが、
過去のそれらとは桁違いに感じられるくらい、全てを賭して役を作ってきたように思います。
「信長」の明智光秀や「風林火山」の小山田で、欠けていた部分
−もっと低く落ち着いた声に、もっと骨太な存在に、所作はもっと美しく・・・
そのあたりのことをだいぶ早い段階から田辺さんは意識して、
基礎体力から作ってきたのでしょう。
かなり努力されたのではないかと、感服しました。
役作りの軸がしっかりしているから、「余裕」も感じられて。
今回、キャスト全体の中においても、武市という役柄においても、
田辺さんは中間管理職のようなポジションだなぁと思いながら私は観ていたのですが、
それにふさわしいゆとりが感じられたのが、とても良かったです。
実際の舞台裏はどういう状況なのかは知るよしもありませんが、
武市の貫禄や落ち着きに説得力を加味できたのも、
この余裕があればこそ!だったのではないかと思いました。
(考えてみれば、今回のキャストの誰一人として
「もぅいっぱいいっぱいでやってます!」という印象を与えるようなことはなかったように思います。
森田くんの声が一時、心配になったくらいで。
そういう意味でも、全員が自己管理がしっかりしている
素晴らしいプロフェッショナルな集団だったんだと思う。)
東京初日の段階で、田辺さんの「覚悟」と「余裕」はほとんど完成していたのではなかろうか。
私は東京3日めの公演を観て武市の演じ方に多少の疑問を持ったものの、それは田辺さんの問題ではなく
脚本によるところが大きかったのだろうと、後から認識しました。
公演を重ねて演出やセリフが精度を上げていく中で、田辺さん自身は良くなっていったというよりは、
微調整で対応しつつトップスピードを維持して、毎回同じクオリティをキープして演じていたように思う。
助走から少しずつ上りつめていく田辺さんを観るのが至福≠ニ思い続けてきた私だけど、
これはこれでシアワセ(笑)。
***
実は「田辺さんが再び新感線に!」というニュースを最初に聞いたときに、
私の中でよぎった不安は
今回の役柄が風賀風左衛門を超えなかったらどうしよう?≠ニいうことでした。
2005年の舞台「荒神」で田辺さんが演じた風左衛門は、私の中であまりにも存在感が大きく、
なかなか過去の物として受け入れられない役柄でした。
(後から映像として再現が可能だったらこんなに引きずらなかったことでしょう…。
DVD化や放映がなかったため、恋いこがれる気持ちを捨てられなかったのだと思う。)
果たして武市半平太は。
風左衛門への未練を断ち切るにふさわしい、全くの別物の田辺誠一でした。
今の私個人の想いとしては、もう「荒神2」を観たいとは思わない。
やっぱり私が観たいのは次の田辺誠一≠ネのだ。
そう思わせてくれた武市半平太に、心から感謝したい。
***
「IZO」を9回観て、その都度感想を書いてきたわけですが、
それは私にとって全く苦にならない作業でした。
観るたびに新しい印象を受けたり、武市先生に惚れ直したりして
書きたいことが次から次へと自分の中にインプットされていくから、
それを早くアウトプットしたくて仕方がなかった。
毎回勢いで書いて、迅速にupするのが自分の中では当たり前のことでした。
なのに、いざ最終章を書こうとしたら全く言葉が出てこなくなってしまいました。
理由は自分でもよくわかりません。
悩みながらのろのろ書くとロクな文章にならないので、不本意なのですが
とにかく湿気らないうちにIZOせんべいを食べなくては!とまとめた次第です。
最後までおつきあいくださってありがとうございました。