「ミス・ポター」
監督 クリス・ヌーナン
脚本 リチャード・モルトビー,Jr.
出演 レニー・ゼルウィガー/ユアン・マクレガー/エミリー・ワトソン
シャドウボックスは、何枚もの絵をカッターナイフで切り取り、接着剤で幾重にも貼り合わせ、立体感を持たせる。オランダ画家アントン・ピーク氏(1895〜1987)の作品やピーター・ラビットに人気がある。その教室を自宅で教えているMさんは「素敵な奥さん」で英・米にも長期滞在し、作品の舞台となった英国湖水地方を訪ねていて、本作品をぜひともと薦められ、封切後1ヶ月近くになるが鑑賞することになった。
ピーター・ラビットの生みの親ビアトリクス・ポター(1866〜1943)は、日本で言えば、幕末の頃の生まれ、英国でも上流家庭で生まれれば、親の勧める相手と結婚して、家庭に入ると決まっていた。働いて生活するのは、身分の低いものとされていた時代にポターは幼い頃過ごした湖水地方を背景に、ピーター・ラビットを描き、婚約者となる出版社の男性に才能を認められ、絵本作家としてデビューする。ブルーのジャケットを着たピーター・ラビットが、印刷所で誕生するショットが印象的だった。しかし、ミス・ポター39歳のとき、婚約者は急死する。本作品は1時間33分と短いが、葬式等のともすれば情緒的に流れる無駄なショットをカットしたことにも表れているが、良い決断と思う。監督には羊飼いになりたい子豚を描いた「ベイブ」がある。
その後のポターを知る人は少ないと思うが、湖水地方に引越し、次々と新作を発表し、不動産会社による乱開発を防ぐため、出版による印税を土地購入に注ぐことになる。そのとき幼ななじみの弁護士と再会し、46歳で結婚する。
ミセス・ポターの遺言により、甲子園球場の408個分に相当する。4000エーカーの土地や多数の農場が、ナショナル・トラストに寄付される。それは自然を大切にしたこととあわせて、ピーター・ラビット等の生息をも保護し、作品にも生命を与えた。その誕生から100年を過ぎても、111ヶ国1億部のベストセラーとなった。
なお映画館に100名余の鑑賞者がいたが、男性は私1人の孤塁だった。