おすすめ!
誰がために鐘は鳴る
For Whom the Bell Tolls
監督:サム・ウッド
出演:ゲイリー・クーパー/イングリッド・バーグマン/カティーナ・パクシヌー
製作:1943年アメリカ
Source:DVD (9/28)
Impression
骨太のすごい作品だった。実を言うと、ノーカット字幕で観たのは今回が初めて。イングリッド・バーグマンが亡くなった1982年、追悼番組としてTV放映されたのを観てはいたが、カットが多く吹替えだったので、全体のストーリーを詳しくは知らなかった。ただ、ラストシーンの衝撃は忘れられなかった。それで、その後どうしても観ようという気にならなかったのだ。
特に、今年は戦争のシーンが出てくる映画を観るのが例年以上に辛いと感じている。年をとったせいなのか、自分でもよくわからない。この名作は勇気を振り絞って鑑賞した。観てみたいと思ったから。
思った以上に、恋愛シーンは少なかった。スペイン内戦。あまり詳しくは知らない。共和政府とファシスト(フランコ)との戦い。フランコ側が優勢で、共和政府は苦戦を強いられた。その共和政府側にいたのがロベルト。アメリカ人、しかも大学教授という民間人でありながら、他国の内戦に身を投じるとはものすごい信念の持ち主だ。しかも危ない仕事をやっている。汽車の爆破、続いて橋の爆破とは。
橋を爆破するまでの4日間の出来事が密に描かれている。仲間同士の揉め事や裏切りと信頼のドラマが展開される。スペイン人、みな誇りを持って戦っていた。隠れながらも戦っていた。それだけでも胸に迫るものがある。
クライマックスの銃撃戦は、ドキドキしっぱなしだった。心臓がどんどんどんどん激しく波打つのが自分でもわかった。結末を知っていたからだけではない。仲間たちがどうなるか、記憶になかった部分が心配でもあったのだ。それに、途中でも馬を調達してくれた別の仲間が壮絶な亡くなり方をしている。そのシーンは辛く、同じ思いをまたするのかもと思うと恐怖で胸の鼓動を抑えられなかったのだ。案の定、仲間は何人か死んだ。それに、敵ですら死ぬのを見せられるのはいやだった。やはり戦争映画はダメだ。私には合わない。
そして、最後の最後。ロベルトは撃たれるべくして撃たれた。やはり涙が出た。じわじわとあふれ出た。大学生だった頃と同じように・・・
バーグマンはどうしてもこの役がやりたいと、へミングウェイのところまで会いに行ったという。純情で無垢な瞳をした19歳の娘役。笑顔がなんともかわいらしい。気品があって。でもこのマリアは、誰よりも辛く壮絶な体験をしていた。つい3ヶ月前。剃髪とレイプ。両親の処刑を目の当たりにもした。その後、なんとかパブロやピラーに救われて今日まで生き延びたが、普通の女の子なら気が変になってしまうだろう。それなのに、純真な美しさ。恋をする心を失わず、ひたむきにロベルトを愛した。極限状態の中で、奇跡とも言える女性だった。
ロベルトの人生の最期に華を添えたことはいうまでもない。でも、「幸せよ」と何度も口にしたマリアにとって、さらに試練の別れとなった。彼女のこれからの幸せと安らぎを願ってやまない。
ピラー役のカティーナ・パクシヌーの演技が見事だった。オスカー獲得もうなづける(助演女優賞)。パブロは、最後まで好きになれなかった。こういう男はたくさんいたのかもしれないけどね。他の仲間たちは概ねいい感じだった。
実をいうと、私はヘミングウェイで卒論を書いている。「武器よさらば」だ。彼の作品に親しんだ昔からすると、映画化された作品を観ていなさすぎだと思う。反省している。原作は、彼自身の体験も含まれた作品ばかりで、リアリティとハードボイルドが魅力である。映画化されると売れっ子俳優が登場し、イメージは変わる。それもあって観なかったのかもしれないが。でも、これを機にヘミングウェイ映画化作品に食指を伸ばそうと思う。
クーパーとバーグマンは演技の点で申し分ない。特にクーパーのロベルトは
モロッコの次ぐらいに好きかも。「鼻は邪魔にならないのね」など、キスシーンの名文句もいい感じだ。
今度はいつ観られるかわからないけど・・・忘れたくない作品だ。
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