
超おすすめ!
ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版
Nuovo Cinema Paradiso
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
出演:フィリップ・ノワレ/ジャック・ペラン/サルヴァトーレ・カシオ
製作:1989年イタリア=フランス
Source:DVD (9/27)
Impression
この完全版に対しては賛否両論あるようだが、
ニュー・シネマ・パラダイスという作品を生涯初めて観た者にとっては、十分すばらしい作品だった。
映画が好きで好きでたまらない人たちの愛すべき物語。シチリアのジャンカルドという村。広場に立つ小さな映画館。娯楽のない時代、人々のいこいの場だった。大勢の人たちが詰め掛けて、映画を楽しむ。
どん底であったり、
駅馬車であったり。キスシーンは神父の指示でカットされていたけど。
映画を観ている人たちの表情がいい。マナーが悪い人もいるし、子どもたちははしゃいでいる。もちろん涙する人も。
絆という作品では、セリフをそのまま言える人までいた。
とにかく、ノスタルジーにあふれている。イタリア人でもないし、地方の出身でもない私でも、故郷のにおいを体で感じた。
トト少年のかわいいこと!大きなクリクリした瞳に、元気のいい声。無邪気でいたずらで、でも現実がわかっている。ロシア戦線に行った父がもう帰ってこないこととか。気丈にふるまうお母さんがすばらしかった。映画ばかりの息子を叩いたりして叱ることはあっても、すべて愛情から出たもの。やがては映写技師の仕事をする彼をサポートしていた。
30年ぶりに母子で再会してから、遠い日の想い出を語る。鍵の話やトトに本物の愛を見つけてほしいと願う母の想い。あまりにも深くて胸が詰まった。私なら、子どもを手放しで送り出せるだろうか。そして30年も会わずにいられるだろうか。すごい、ただすごいと思った。
すべてのシーンが印象深いが、やはり多くの人の心をとらえたように、少年期から青年期のトトとアルフレードとの交流が大きいだろう。父代わりともいえるアルフレードに何度も叱られながら、映写室へ入ったトト。カットされたフィルムに興味を抱く。昔のフィルムは放っとくと火が出るという恐ろしいもので、妹がやけどしかけたこともあったり、映画館自体も消失するというとんでもない事態をもたらした。アルフレードを必死に助けようとする小さなトトが、印象深かった。でもそのフィルムが、最後に何よりのメッセージとなった。アルフレードが預かっていたトトのフィルム。約束を果たした。トトの原点だった。
トトが故郷を去ることになった理由。アルフレードはトトに何を教えたかったのか。「人生はお前が見た映画とは違う」「もっと大きな仕事をしろ」とアルフレードは言っていた。映画好きなトトに、映写技師として終わる人生を送ってほしくはなかった。故郷を出なければ彼の成長はないとアルフレードは思ったのだろう。
帰ってくるなとも言っていた。人生で成功するには、大事なものを切り捨てなければならないことをアルフレードは教えたかったのかもしれない。大事なもの。つらいね。私にも・・・つらい。
エレナとの愛。うまくいかないことをアルフレードは知っていた。たとえ大恋愛でも、トトとエレナは住む世界が違っていた。周囲に祝福されない愛で人生をダメにしてほしくなかったのだろう。2人がすれ違ったいきさつは切なかった。特に、30年たってもエレナが忘れられなかったトトには。アルフレードの想いもわかるが、本当のことは知りたかったよね。
実際の人生は映画よりドラマティックだ。トトとエレナの恋の顛末も、本作には無くてはならない要素だったと思う。恋愛の成就がなかったことで、トトの映画監督としての成功は果たしえたものだろうし、故郷を切り捨てることができたのだから。
エンリオ・モリコーネの音楽もすばらしかった。1989年以降、あちこちで耳にしていたメロディーばかり。理屈じゃなくて、心に滲みる。
映画館が一瞬で取り壊された。時代は変わる。人は年をとる。今日という時間は想い出として積まれていく。
だから、一生懸命生きよう。今の私ではもう遅すぎることもあるかもしれない。それでも、過ぎ去った日々に置いてきたものを無駄にしないように、今という時を大切にしよう。

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