
超おすすめ!
おもいでの夏
Summer of '42
監督:ロバート・マリガン
出演:ジェニファー・オニール/ゲイリー・グライムズ/ジェリー・ハウザー
製作:1970年アメリカ
Source:DVD(8/10)
Impression
展開を知らなければ、おそらく間違いなく涙していた作品だろう。でも私は幸か不幸か、この作品の顛末を知っていた。ほんの、ほんの一部だったけど・・・
ミシェル・ルグランのリリカルなテーマ曲が全編に流れ、胸を締め付ける。最初から最後まで。悲しいけど、本当にすばらしいテーマ曲だ。特に若き人妻に扮したジェニファー・オニールと夫が仲むつまじくする様子に音楽がかぶったときには、心臓をつかまれたようだった。
私はもう40代で既婚者だから、主人公の少年の気持ちよりも人妻ドロシーの心境の方が理解できてしまった。夫を戦地に送るときの気持ち、戦死報告を受け取った後の気持ち、察するに余りある。
本当はこの作品は15歳の少年ハーミーの成長物語。高校1年生というから、私の娘と同い年。異性に興味津々の頃だ。そしてもちろんセックスにも。思春期の少年たちのみずみずしいやりとりも、うまく描けていたと思う。
近所の悪がき3人組がそろって島へ避暑に来た。親たちも一緒だけど、まったく出てこない。3人はふざけっこしたり、からかいあったりと幼いのだが、性への興味がふくらんでいる。性に唯一興味のないベンジーが盗んできた本を、主人公のハーミーと親友のオスキーは夢中で読み漁る。とはいえ、その本はエロ本とかではなく分厚い医学書。なんだか時代を感じるね。それでも純情少年たちは、書いてあることにいちいちショックを受ける。しまいにはカーボン紙で文章を写すに至るのだから笑っちゃう。
オスキーは同い年ぐらいの少女を映画館でナンパし、初体験に挑む。医学書のコピーが役に立ったようだ。こういう少年は昔はたくさんいたのかも。相手の女の子の方が進んでいてリードしてくれたみたい。
ハーミーも同い年の少女と2人きりにはなるものの、その気はない。それもそのはず。彼の心を占めていたのは、あの人妻ドロシーなのだから。
彼がどれだけドロシーにあこがれていたのかがよくわかるシーンばかりだった。初めはたぶん「きれいな人だな〜」ぐらいだったのだろうけど、思い切って声をかけて知り合いになってからはどんどん恋モードを突っ走っていった。
ドロシー役のジェニファー・オニールが本当にきれい。さわやかで、健康的で、ハーミーのあこがれの対象として申し分なかった。小麦色に焼けた肌。水着姿や白いショーパン姿。そのまぶしさといったら!ハーミーでなくても惹かれてしまうだろう。笑顔がチャーミングで、やさしい物腰や、さらっとした話し方など、本当に素敵なお姉さんだ。
ハーミーはドロシーの荷物を運んであげた。飲んだこともないブラックコーヒーをムリにリクエストし、ふいてしまうシーンはおかしい。精一杯背伸びして、大人に見られたい。わかる。わかる。
また、彼が薬局にコンドームを買いにいくシーンも大うけ。なかなか店員に切り出せなくて、食べたくもないアイスクリームを注文したり、いざゴムを買おうとしたときも、店員にいろいろ突っ込まれてドギマギするのがおかしかった。
ドロシーに戻ろう。ドロシーともっと話がしたくて家を訪れた夜。夫を亡くし泣きはらした目で現れたドロシーは、ハーミーにもたれてダンスを踊る。少年の気持ち、淡い恋心を知っていたのだろう。それにもまして、最愛の人を失った大きすぎる悲しみに打ちのめされたドロシーは、その辛さを1人で抱えることができなかった。彼女はハーミーの手をとり寝室へ連れていく。そして彼とベッドを共にする・・・
ハーミーにとって思いもかけない初体験。でも決してそれは幸せなメモリーにはならなかった。むしろ誰にも話せないものになってしまった。悲しみに沈むドロシーの気持ちを思ったら、はしゃぐことなどできなかったのだから。踊っていたとき、ドロシーだけでなくハーミーも泣いていた。彼は本当にいい子なんだなーと思った。だからこそ2人のベッドシーンは痛々しすぎた。
ほとんど無言で、ドロシーはハーミーを送り出す。翌朝、置手紙1つ残して彼女は永遠に去っていった。私はドロシーが死んでしまうのではないかと思ったので、そうならなくて心からほっとした。
ハーミーの喪失感。失ったものは幼い自分だけではない。恋したその気持ちも。人を愛することのせつなさだけを残して。幸せだった夏のメモリーをすべて封印しなければならなくなったこと。ドロシーが願ったように、彼女とのおもいでの夏がハーミーの負担にならなかったと信じたい。
「1942年の夏」という原題が示すように、この作品は反戦映画でもある。無邪気な少年たちの青春を描きながら、戦争のむごさを語っている。残された者の悲しみを。
ドロシーもきっとどこかで、強く生きてくれたと信じたい。最後まで思いやりのある手紙が書けた心根の優しい女性だったのだから、きっと神様が幸せを届けてくれたと。

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