流れの面 序
序
短歌は基本的に、齋藤茂吉もいふごとく「詠嘆の形式」でありアイゲンの聲かも知れぬ。
そこから彼の有名な「實相に觀入して自己自然一元の生を寫す」といふその實甚だ多元的融通自在な寫生の説も導きだされてゐる次第であるが、私は他を思ひやりこれに成り代はつてする詠嘆も又一つの意義なしとせぬと思ひ、萬葉以來の「代述心緒」の形式を大幅に取り入れて歴史事象」や愛戀の現場を語りではなく、ドキュメントとしてなるべくその場に居合せた者の視点での詠嘆として提供してゐる。これ又立派に茂吉の知られた論たる「生のあらはれ」ではあるまいか。
全く順不同到つてランダムな代物ではあるが、飽くまで意識に浮かんだ順序によつてなるこれらの歌をば、自身の日常嘱目や時事詠等を生地とし、これに織り込み綯ひ交ぜる模様として鑑賞する中に、おのづから過去と現在・有情と非情或いは幽明の間の常住不斷の交感を觀取していだければよいかと思ふ。
古今和歌集假名序には縷々和歌の徳を説いて「およそ生きとし生けるもの誰かは歌を詠まざりつる」と結ぶ。 この歌集はいはばその範囲を生きとし生きてありしものにまでおよぼしたものである。
詠み初めてから若干の例外を除き、五首一連で詠むが癖になつた。これは歌集全體の流れを壮大な連歌として鑑賞して貰ひたいからである。文藝には何かと修羅場と濡れ場はつきものである、あたかも連歌に月の座花の座恋の座あるやうなものとして、視点の移動作主の転換等を連歌の付け合ひのごとく味はへるものにしてみたつもりである。
歴史詠は水瓶座の♒恋は魚座♓のそれぞ星座記号を本文表題上に付してあらはした。
この我を見つむるごとし砂押の流れの面に來てゐたりけり
と十八歳の頃に詠んだ歌をふと思ひだしこの歌集の題とした。
「流れに浮かぶうたかたの消えかつむすびてはつひにはゆくへも知らぬごと」き速い流れではなく、「逝くものはかくのごときか晝夜を舎めず」と歎ずるほど壮大ではないかも知れぬが、誰しもが不斷に向きあふ流れである。
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2009/11/24
代理母 画像歌

代理母となりたる祖母が抱く孫よ子宮切除のその母と共に
今朝の読売新聞には実母が代理母となつた最近の事例が写真つきで出てゐた。
実母が子の産めぬ娘の代りにといふ事例は日本でも以前二三あつたと記憶するが、写真つきでといふのは、赤の他人の代理母と違ひトラブルの余地少ないとはいへかなりの勇気を要したことであらう。
一歳の時に子宮に大きな腫瘍が見つかり切除したその娘さんが結婚した際、
実母「私は子どもを持てて幸せなのに娘は子どもを産めない。その幸せを味わって欲しいと思い「私に産ませて」といった。」
女性 「母の体を痛めてまで子どもを持つ必要があるのか悩んだ。でもとにかく一歩前に進んでみようと思い院長に相談した。略 最初は親になった実感がなかったが毎日おむつを替え、夜中に授乳し実感が出てきた。
生まれつき子宮のない女性も病気で子宮を失ふ女性もいる。私が悩みを話すことでその方たちの悩みが軽くなればいい。あきらめないでほしい。」
実母 新しい命が生まれるのは素晴らしいこと、代理出産の禁止で子を持つ道を閉ざさないで」
云々新しい命の誕生に直接関つたこともない自分としてはただ敬意を表し、国勢の将来を健全に保つ為にもより多くの新しい健康な命が誕生して欲しいとは思つた次第である。
今手許にスキャナなく携帯カメラはどうも調子が悪いかぼやけるが、例によつて文字載せして一首。
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2009/11/24
時事折々 日常 時事
ワクチンの攝取優先枠を漏れ浪人生の溜息あはれ
店先のポインセチアよ商略はまんまとこをばクリスマスの花
鶴既に出水平野を充たす時打つ手は盡きてその鶴印
代理母となりたる祖母が抱く孫よ子宮切除のその母と共に
冬火事はうち次ぐ釜山の射撃場より昨日高圓寺の居酒屋へ
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店先のポインセチアよ商略はまんまとこをばクリスマスの花
鶴既に出水平野を充たす時打つ手は盡きてその鶴印
代理母となりたる祖母が抱く孫よ子宮切除のその母と共に
冬火事はうち次ぐ釜山の射撃場より昨日高圓寺の居酒屋へ
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2009/11/22
折にふれて 日常 時事
圍まれて現地部族の客となる技師の解放はなほ長引くや
大老の裔が刑死の水戸の士の墓に掌合はすも一つのけぢめか
同窓の多くは孫をもちてゐるか今更立ち戻り得ぬ青春
むつれ寄る鳥らと競ひ柿をもぐ町内会の脚立と長鋏
畫面には水の表情奏でゆく肩脱ぎドレスのピアニストの指
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大老の裔が刑死の水戸の士の墓に掌合はすも一つのけぢめか
同窓の多くは孫をもちてゐるか今更立ち戻り得ぬ青春
むつれ寄る鳥らと競ひ柿をもぐ町内会の脚立と長鋏
畫面には水の表情奏でゆく肩脱ぎドレスのピアニストの指
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2009/11/20
任地 日常 時事
攻め守る所を替へて法案の通過しゐたる深夜の議會
むなしさは早寝早起きにて紛らし向かふネットで聞く愚痴の數
亡き兄の家に居座りいつしかに募りてゐるか義姉への思ひ
今頃を好きだよといふ同級の彼は上司で妻は妊娠中
駐在員婦人會へは出たがらぬ任地はかつて妻の留學先
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むなしさは早寝早起きにて紛らし向かふネットで聞く愚痴の數
亡き兄の家に居座りいつしかに募りてゐるか義姉への思ひ
今頃を好きだよといふ同級の彼は上司で妻は妊娠中
駐在員婦人會へは出たがらぬ任地はかつて妻の留學先
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2009/11/19
冬つれづれ 日常 時事
送りたる昨日送られゐむ明日の間にありてたゆたふ命
去年の夏道に拾ひし蝉の殻机に置きし儘に冬來ぬ
蟻どちの塒もややに冬ざれて星降る夜は殊に冷えむか
通ひ路のあけぼの杉の落ち行く葉の春にそなへむ葉莟おもふ
杖曳きて乘れる老女へ席讓るあと二驛とおもふ氣安さ
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去年の夏道に拾ひし蝉の殻机に置きし儘に冬來ぬ
蟻どちの塒もややに冬ざれて星降る夜は殊に冷えむか
通ひ路のあけぼの杉の落ち行く葉の春にそなへむ葉莟おもふ
杖曳きて乘れる老女へ席讓るあと二驛とおもふ氣安さ
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2009/11/18
半球の戀 戀さまざま
避妊具を無償で配り盛り上がる南半球夏の祭りは
拉致される目にも遇はずに日に灼けて還つた彼を迎へて肉鍋
をかしくも不氣味な假面して迫られ導き入れぬ北半球へ
うは言に「伏せろ」と叫ぶ銃撃の記憶は未だなまなましきか
年明けて又飛び立つ身マスクして出でゆくウィルスの潜む街路へ
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拉致される目にも遇はずに日に灼けて還つた彼を迎へて肉鍋
をかしくも不氣味な假面して迫られ導き入れぬ北半球へ
うは言に「伏せろ」と叫ぶ銃撃の記憶は未だなまなましきか
年明けて又飛び立つ身マスクして出でゆくウィルスの潜む街路へ
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2009/11/17
「一年」 日記と歌論
この年だけは集中して「歌人」でゐようとしたその一年もまもなく来る。
開設は昨年の11月26日だが歌作品は立冬以来ぼつぼつ作りためてゐた故実際にはもう一年が経過してゐる。
実生活は殆どこれ低回の儘であつたが、その分いやがうへにも代述心緒の虚構の中では修羅場と濡れ場の
間を漁りあるくことになつた。歌数も後少しで千二百首になる。
英語圏文学にフィフティファイブフィクションといふジャンルがある。
これを日本語では二百字小説として訳出編集されたものを文庫本で立ち読みしたことがあるが、営々作つ
て来た五首一連の群れの特に恋歌などは、これに準へて百五十五音小説といつた趣をを呈するものも間々
あるか。
二十五日以後は随筆評釈方面を主に歌は文中に織り交ぜる形にしたい。
とりあへず知友に贈るつもりで本作りの下準備をしてゐるが、ブログ本にしたものか、製本機を買つてよ
り細かい設定を楽しんだものかは検討中。
オンライン販売に回すにしてもアクセス寥々たる現状であるからやや覚束ないか。これ僕の作るにのみ没
頭して説明を置き去りにしがちな性癖にもよる。
しかし歌の帰趨文化のありやうを考へ味ははうといふ向きにはお薦めしても別に不遜には当るまい。
数箇所ブログめぐりをしただけでも各人実に心のこもつた紅葉の写真など掲載されてゐるはさすがに季節
であらうか。去年今年とまだまともに紅葉を詠んだことがないので、見ごろの過ぎぬ間に奥多摩方面へで
も行つてよき歌ものしたいとは思ふ。
萬葉の最後の歌が詠まれしより一千二百五十の歳月
ご即位二十周年をはじめとして國内外を問はず様々な周年行事があつた中で今年はその様な年でもあつた。
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開設は昨年の11月26日だが歌作品は立冬以来ぼつぼつ作りためてゐた故実際にはもう一年が経過してゐる。
実生活は殆どこれ低回の儘であつたが、その分いやがうへにも代述心緒の虚構の中では修羅場と濡れ場の
間を漁りあるくことになつた。歌数も後少しで千二百首になる。
英語圏文学にフィフティファイブフィクションといふジャンルがある。
これを日本語では二百字小説として訳出編集されたものを文庫本で立ち読みしたことがあるが、営々作つ
て来た五首一連の群れの特に恋歌などは、これに準へて百五十五音小説といつた趣をを呈するものも間々
あるか。
二十五日以後は随筆評釈方面を主に歌は文中に織り交ぜる形にしたい。
とりあへず知友に贈るつもりで本作りの下準備をしてゐるが、ブログ本にしたものか、製本機を買つてよ
り細かい設定を楽しんだものかは検討中。
オンライン販売に回すにしてもアクセス寥々たる現状であるからやや覚束ないか。これ僕の作るにのみ没
頭して説明を置き去りにしがちな性癖にもよる。
しかし歌の帰趨文化のありやうを考へ味ははうといふ向きにはお薦めしても別に不遜には当るまい。
数箇所ブログめぐりをしただけでも各人実に心のこもつた紅葉の写真など掲載されてゐるはさすがに季節
であらうか。去年今年とまだまともに紅葉を詠んだことがないので、見ごろの過ぎぬ間に奥多摩方面へで
も行つてよき歌ものしたいとは思ふ。
萬葉の最後の歌が詠まれしより一千二百五十の歳月
ご即位二十周年をはじめとして國内外を問はず様々な周年行事があつた中で今年はその様な年でもあつた。
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2009/11/16
傳令 讀史つれづれ
傳令の最後の一人靴裏にひそめし暗號を急ぎ解讀す
學校といはむもゆゆし岩山を刳り貫き建てる暗殺団の
首級持ちかへらむ手間を省かんと削ぎ來し鼻を今日は供養す
祈りつつ踊り狂へる教団に紛れて探る薬の出所を
ネタもたぬ儘蜜の罠に嵌りたらむ友の遺骸を默し過ぐるも
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學校といはむもゆゆし岩山を刳り貫き建てる暗殺団の
首級持ちかへらむ手間を省かんと削ぎ來し鼻を今日は供養す
祈りつつ踊り狂へる教団に紛れて探る薬の出所を
ネタもたぬ儘蜜の罠に嵌りたらむ友の遺骸を默し過ぐるも
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2009/11/14
押し默り食はぬ彼には 日常 時事

画像引用 msn
押し默り食はぬ彼には必要か催眠術師の誘導尋問
あまりふれたくもない事件ですが、いひたいことはこれに尽きるか。被害者ご家族の苦しみを長引かせてはいけまい。
雨に濡れそぼちて詫びる彼方の空を仰ぐ涙よ今日安堵の日と
被害加害双方のご両親を思ひやつて上のごとくにも詠んでみました。
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