「英FT紙、金融庁による中央青山処分を批判」
会計監査
英フィナンシャル・タイムズ紙に、金融庁による中央青山への処分を批判した記事が出ていましたので、紹介します。
これは5月12日付の「Collateral damage」(付随的損害)という見出しの記事で、「Wrong choice of punishment for PwC affiliate in Japan」(処罰の間違った選択)という副題がついています。
この記事では、まず、金融庁が中央青山を厳しく処分したこと自体は正しいとした上で、処罰の方法が間違っていると批判しています。(以下記事の一部要約)
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金融庁は、2ヶ月間の業務停止処分を課すことにより、顧客と職員がライバル事務所へと離脱してしまうアーサーアンダーセン型のメルトダウンの引き金を引くリスクを冒した。実際にそうした事態が起こるかどうかはわからない。しかし、影響が不確実な処分を課すことは賢明ではない。中央青山は退場すべきであると金融庁が考えているのなら、そのことを明言すべきであって、このような方法でサイコロを振ることはすべきではない。
By ordering Chuo Aoyama to
suspend operations for two months,
forcing clients to switch at least
temporarily to another auditor, the
regulator risks triggering an Arthur
Andersen-style meltdown, with
clients and staff defecting to rival
firms. This might or might not take
place. But it is unwise to impose a
penalty with uncertain effect. If the
FSA thinks Chuo Aoyama should be
put out of business permanently it
should say so, not roll the dice in
this way.
この決定はカネボウの粉飾事件と全く無関係な顧客(ソニー、トヨタ、新日鉄など)をも罰するものである。顧客企業はおそらく少なくとも業務停止期間中の2ヶ月間は他の監査チームと契約しなければならないであろう。それぞれ100人にも上る監査専門家が必要であり、その会社の事業を理解するにも時間がかかる。6月はある監査チームを使い、7月と8月は別の監査人を使い、9月に元の監査人に戻ればいいというのは、全く非現実的である。もし中央青山が破たんし、強力な後継事務所があらわれなければ、日本国内のみならず世界的にも、監査の寡占化が進むことになる。
Moreover the decision also
punishes Chuo Aoyama's clients,
including Sony, Toyota and Nippon
Steel, who had nothing to do with
the fraud at Kanebo. These client
companies will probably be forced to
hire new teams of auditors at least
for the two-month suspension
period. Each might require up to 100
audit professionals, who take time to
learn how the business operates. To
suggest that these companies could
use one team of auditors in June, another in July and August, and return to the original auditors in September
is utterly impractical. If Chuo Aoyama fails and is not replaced by a strong successor, audit in Japan and
globally will become even more of an oligopoly than it is today.
要するに、金融庁は正しい目的のために間違ったことをしようとしているのである。
All this said, the FSA is doing the wrong thing for the right reasons.
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不正に関与した個々の会計士を処罰するとともに、監査法人には罰金を課すのが適当である、そうすれば、監査法人を所有し経営しているパートナーに痛みを感じさせ、強力な内部統制への明確なインセンティブを与え、付随的損害も最小限にできる、というのが記事の結論になっています。
たしかに、2ヶ月間の業務停止というのは、結局中央青山をどうしたいのかという金融庁の意図がはっきりしない処分です。数年前の瑞穂監査法人の場合のように1年間の業務停止であれば、監査をやめろということなります。邪推すれば、2週間では短すぎるし、1年では監査法人の破たんとその後の寡占化を招いたとして金融庁が国内外から批判されるおそれがある、2ヶ月ぐらいにしておけば、金融庁の面子も立つし批判も受けないという計算が働いたのでしょう。そのあと、監査業界や監査クライアントがどうなろうと、当局には関係ないということです(官と民の役割分担という意味では正論ですが・・・)。
投稿者: kaikeinews
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