2000年5月8日更新   ホームページに戻る   減損会計に戻る

固定資産の減損(国際会計基準と米国基準の比較)

項 目

国際会計基準(IAS36号)

米国基準(FAS121号)

1.減損会計の目的・基本的な考え方 ・帳簿価額が回収可能価額を超えないようにすること
(目的)
・帳簿価額を完全には回収できない確率が高いときに減損を認識し、公正な評価額を新しい原価の基礎とする。
(62〜63項)
2.どの範囲の資産に適用されるか。 ・すべての資産
・ただし、棚卸資産、繰延税金資産、金融資産など、他の基準によって規定されている資産は除かれる
1項)
・使用目的で保有する長期性資産、識別可能な無形資産、関連するのれん
・処分予定の長期性資産、識別可能な無形資産
・金融商品など他の基準で規定されている資産は除かれる
(3項)
3.どのような場合に減損を調査するか。 減損の兆候が存在するとき
例えば
・資産の市場価額が著しく低下している
・企業環境が悪化している(または将来悪化すると予想される)
・資産に陳腐化や物理的な損耗が生じている証拠がある
・資産が属する事業をリストラする計画がある
(8〜11項)
資産の帳簿価額を回収できないかもしれない兆候があるとき
例えば
・資産の市場価額が著しく低下している、
・事業環境が悪化し資産の価値に影響を及ぼしている
・営業損益やキャッシュフローが赤字となっている
・資産を取得・建設するための原価が当初予想金額を著しく超過している
(4〜5項)
4.調査の結果、どのような場合に減損があると認めるか(減損の認識)。 ・回収可能価額が帳簿価額を下回るとき(58項)
・回収可能価額:正味売却価格と使用価値のいずれか大きい方の金額
(5項)
・使用価値:将来キャッシュ・フローの現在価値
(5項)
・将来予想キャッシュ・フロー(割引前、支払利息控除前)が帳簿価額を下回るとき
(6項)
5.減損があると認められた場合、どの金額まで帳簿価額を減額するか(減損の測定)。 ・回収可能価額(58項) ・公正な評価額(処分予定の資産については売却費用控除後の公正な評価額)
 市場価格が最善だが、それが入手できない場合は将来予想キャッシュ・フローの現在価値などで見積もる
(7項,15項)
6.減損金額をどのように会計処理するか。 損益計算書において直ちに費用処理(59項) 損益計算書において直ちに費用処理(7項)
7.キャッシュ・フローをどのように予測するか。 ・経営者の最善の見積りを反映する合理的かつ検証可能な仮定に基づく(27項)
・原則として最長
5年間は承認された財務予算(または予測)に基づく (27項)
・その後の年度は原則として一定または逓減的な成長率を使用する  (27項)
・将来キャッシュ・フローは資産の現況において見積る(37項)
・財務活動からのキャッシュ・フロー及び法人所得税の支払い(又は還付)を含まない(43項)
合理的で立証可能な仮定及び予測に基づく最善の見積り(9項)
8.キャッシュ・フローの現在価値を算定する際の割引率をどのように決めるか。 貨幣の時間価値と資産固有のリスクについての現在の市場評価を反映するような税引前の割引率(48項) 包含する危険性に相応する割引率
(同様のリスクを有する類似の投資に要求されるであろう割引率。投資意思決定のための棄却率も有用)(92〜93項)
9.個別の資産のキャッシュ・フローまたは回収可能価額が把握できない場合のグルーピングをどのように行うか。 現金生成単位:
他の資産グループからのキャッシュ・インフローと概ね独立したキャッシュ・インフローをもたらすような識別可能な最小の資産グループ(5項、65項)
他の資産グループのキャッシュ・フローから概ね独立した識別可能なキャッシュ・フローをもたらす最小単位にグルーピング
(8項)
10.のれんの減損をどのように算定するか。 ボトムアップ・テスト(のれんを現金生成単位に配分して減損を算定)とトップダウン・テスト(配分できなかったのれんも含めてより大きな現金生成単位で減損を算定)を実施する。(80項) ・回収可能性の決定にあたり資産グループに含める
・取得日現在の公正価値により資産グループに比例配分(12項)
11.全社資産(例:本社や研究所の建物)の減損をどのように算定するか。(注:全社資産という用語はIAS36号の用語である) ボトムアップ・テスト(全社資産を現金生成単位に配分して減損を算定)とトップダウン・テスト(配分できなかった全社資産も含めてより大きな現金生成単位で減損を算定)を実施する。(86項) ・企業にとって何らの潜在用益をもたらさないと予想される場合、廃棄または処分予定として会計処理
・潜在用益をもたらす場合、企業全体の割引前将来キャッシュ・フローにより減損を認識
(10項)
12.グループ化された資産の減損をどのように配分するか。 ・まず、のれんに配分し、次に比例按分により配分
・個別の資産の帳簿価額は正味売却価額と使用価値のいずれか大きい方の金額を下回ってはならない。
(88〜89項)
・減損した長期性資産及び識別可能な無形資産の帳簿価額を減額する前にのれんの帳簿価額を消去
(12項)
13.減損損失の戻入を行うか。行うとすればどのように行うか。 過年度に認識した減損損失がなくなったか、あるいは減少したという兆候がある場合に資産の回収可能価額を見積もる。その結果回収可能価額が帳簿価額を上回っていれば戻入する。ただし減損を認識しなかったとした場合の減価償却後帳簿価額を超えてはならない。
(95,96,99,102項)
戻入を行わない(減損処理後の金額を新しい取得原価とみなす)
(処分予定の資産については戻入を行う場合がある)
(11項,17項)

(注)

1.国際会計基準は再評価した資産についても規定しているが、その部分の説明は省略した。
2.米国基準については使用目的で保有する資産に関する規定を主として説明した。
3.米国基準において、処分予定の資産のうちAPB意見書第30号の対象となる資産はFAS121号の対象資産から除かれる。
4.米国基準において、減損損失の対象となる資産に関連しないのれんはAPB意見書第17号に基づき評価される。