2000年5月16日更新   ホームページへ戻る

米国ホテル業会計用語集
仮オープン中


 近年、日本でも外資系、とくにアメリカ系のホテルが増えています。アメリカ系のホテルのほとんどは、ニューヨーク・ホテル協会(Hotel Association of New York City)が設定し、アメリカ・ホテル・モーテル協会(American Hotel & Motel Association)が承認した財務諸表統一様式(Uniform System of Accounts for Hotels)を使って、会計報告を行っています。日本で営業しているアメリカ系のホテルは運営委託方式を採っているケースが多いと思われますが、その場合は日本の会社であっても、少なくともホテル営業に関する部分については、運営委託契約上、Uniform System of Accounts for Hotelsに則った会計報告が義務付けられます。

 ここでは、Uniform System of Accounts for Hotelsによる会計報告を行う立場の方と、その会計報告を利用する側の方の参考にしていただくため、Uniform System(1986年の第8版)を参考にして、米国ホテル業会計の勘定科目に関する内容を用語集の形でまとめました。また、これまでの会計士としての実務経験上、気がついた事項をコメントとして付け加えました。

 なお、原書には各計算書のひな形のほか、ホテル業特有の管理資料のひな形や分析数値の出し方なども載っていますので、ホテル会計の実務に携わる方は入手しておいた方がよいでしょう。

追記(2000年12月15日):
Uniform System of Accounts for the Lodging Industryの第9版の翻訳が出たようです。最新の情報を入手したい方は、そちらを読まれた方がよいかもしれません。

米国ホテル会計基準 ニューヨーク市ホテル協会編著/大塚宗春監修・山口祐司訳
 税務経理協会発行 定価3990円


目次

1.基本財務諸表 5.ヘルス・クラブ部門損益計算書 9.光熱水道費
2.貸借対照表科目 6.賃貸及びその他の収益 10.施設管理維持部門費
3.宿泊部門損益計算書 7.一般管理部門費 11.固定費
4.料飲部門損益計算書 8.マーケティング部門費 12.連邦所得税及び州所得税

1.基本財務諸表

財務諸表(Financial Statements)

 財務諸表には、貸借対照表、損益計算書、所有者持分計算書、財政状態変動表、および、一般に公正妥当と認められた会計原則に準拠するために必要な開示が含まれる。現在の財務報告基準のもとでは要求されてはいないが、キャッシュ・フロー計算書も、有用な表示のためには加えなければならない。

貸借対照表(Balance Sheet)

 ホテルの貸借対照表は、他の営利企業のそれと大きくは異ならない。
 例示された貸借対照表に記載された全ての勘定科目が、どのホテルにおいても存在するわけではない。逆にここに記載されなかった科目を有するホテルもあるだろう。この点から、個々の必要性に応えるため、この貸借対照表に修正を加える場合もある。ただし、一般に公正妥当と認められた会計原則に準拠していなければならない。

損益計算書(Statement of Income)

 損益計算書には、主要な営業部門(revenue producing department)の収益と原価が個別に表示される。これ以外の営業部門の収益と原価が重要な場合には、そのような収益・原価項目も損益計算書に表示されなければならない。非配賦部門費、経営委託料(management fee)及び固定費が次に表示され、税引前利益が算定される。さらに州所得税及び連邦所得税が控除されて当期純利益となる。
 資産の売却から生じる利得及び損失は合算し、重要性があれば別掲記しなければならない。そして、税引前利益に加減される。このような利得または損失が重要でない場合には、レンタル料その他の収益明細表に表示される。
 財務報告の対象となるのが会社の場合には、一株当り利益が表示されることもある。

株主持分計算書(Statement of Shareholders' Equity)

 持分の変動は株主持分計算書に示される。

注記(Notes to the Financial Statements)

 財務諸表に付属する注記は全ての重要な会計方針の説明を含まなければならない。そして、財務諸表に反映されるような、もしくは専門機関や規制機関の規則によって要求されるような、全ての重要な事象または条件の、完全な開示を与えなければならない。  

コメント:
 ホテルの財務諸表も一般的なアメリカの会社の財務諸表とかわりはありませんが、損益計算書上、部門別の収益・費用がある程度くわしく表示される点が、特徴ではないかと思います。

2.貸借対照表科目

(1) 資産

現預金(Cash)

 現預金には、使途制限のない手持現金(cash on hand)、要求払預金( demand deposits)、短期現預金投資(temporary cash investments)が含まれる。有形固定資産更新や長期債務の返済(1年以内返済長期債務を超える金額)のような特定の使途が、正式に定められている現預金は、固定資産のその他に含めなければならない。使途制限の内容は財務諸表の注記の中で開示しなければならない。

コメント:
 手許現金のうちフロントやレストランの釣り銭用・両替用の現金については、フロント担当者や各レストランに定額渡しておき、営業終了後(または勤務シフト交代時)に、売上金とともに返却させるやり方と、売上金のみ出納係に提出させ、定額の釣り銭は、常にフロントや各レストランで持ちつづけるやり方があります。後者の場合は定期的に(あるいは抜き打ちで)現金のチェックをする必要があります。

市場性のある有価証券(Marketable Securities)

 短期投資として保有している、市場性のある債券または株式は、ここに含めなければならない。これらの有価証券の評価の基準は、財務諸表の注記の中で開示しなければならない。関係会社の有価証券への投資は、常に、投資勘定に含めて表示しなければならない。

売掛金(Accounts Receivable - Trade)

 売掛金は、宿泊客元帳(guest ledger)、都市元帳(city ledger)、賃貸元帳(rent ledger)における、決済されていない口座に対するホテルの債権の総額である。株主、役員、従業員及び関係会社に対する債権は、重要でない場合を除き、別掲記しなければならない。12カ月以内に回収される見込みのない勘定はここではなく、長期債権に含めなければならない。重要な貸方残高はここに含めてはならない。その貸方残高の内容に応じて、前受金やその他負債として、流動負債の中に含めなければならない。

コメント:
 売掛金は大きく、Guest Ledger と City Ledger に分かれます。Guest Ledgerには、宿泊客がチェックインしてからチェックアウトするまでの売掛が計上されます。宿泊代金の他、ホテル内のレストランを部屋付けで利用した場合の売掛もここに計上されます。チェック・イン時に顧客から預かった前受金もこの科目で処理しているようです(決算時には表示の組み替えを行う)。
 それ以外の売掛金がCity Ledgerです。カード会社への請求や、掛け扱いする法人顧客への売掛が計上されます。

受取手形(Notes Receivable)

 受取手形には、12カ月以内に回収される見込みの手形を含まなければならない。株主、役員、従業員及び関係会社に対する受取手形は、重要でない場合を除き、別掲記しなければならない。12カ月以内に回収される見込みのない手形は、ここではなく、長期債権の中に含まれなければならない。

貸倒引当金(Allowance for Doubtful Accounts)

 貸倒引当金は、回収不能と推定される短期の受取勘定及び受取手形の金額に対して、積み立てるものである。引当は、過去の経験、個々の債権の査定その他の、認められた方法によらなければならない。貸倒となった債権は、この勘定と相殺される。過年度に引当金を設定しその後回収された債権は、この勘定に貸方記入される。

コメント:
 日本では税法の影響で、貸倒引当金は洗い替え処理してしまいがちですが、Uniform Systemでは、貸倒は直接、貸倒損失とはせずに、貸倒引当金と相殺する処理を行います。

棚卸資産(Inventories)

 棚卸資産には、販売のために保有している食品、飲料、おみやげ品などの商品の原価が含まれる。この範ちゅうにはまた客室用品、事務用品その他の貯蔵品の原価も含まれる。棚卸資産の評価の基準は、財務諸表の注記の中で開示しなければならない。また、個々の項目の金額に重要性があれば、それらは別掲記しなければならない。

前払費用(Prepaid Expenses)

 前払費用は、一般に将来の会計年度に便益をもたらす項目への前払である。通常、これらの項目は、いつ便益を受け取ったかを基準として費用化される。例としては、保険料、固定資産税、家賃地代、利子、メンテナンス費、広告費などである。

その他の流動資産(Other Current Assets)

 その他の流動資産には、今後12カ月以内に、現預金その他として実現することが十分予測される項目が含まれる。例としては税金や保険料の支払いのためのescrow depositsがある。

長期債権(Noncurrent Receivables)

 長期債権は、今後12カ月以内に回収される見込みのない受取勘定や手形(notes)である。株主、役員、従業員及び関係会社に対する金額は、重要でない場合を除き、別掲記される。回収不能と推定される長期債権があれば、貸倒引当金の項で説明したものと同様の方法を用いて、長期債権貸倒引当金(allowance for noncurrent receivables)を設定しなければならない。

投資(Investment)

 投資は、長期に保有されることが予想される債券または持分証券(debt or equity securities)(市場性のあるなしにかかわらない)及び所有持分(ownership interests)を一般に含む。関係会社に対する投資は、重要でない場合を除き、別掲記しなければならない。投資の評価基準は財務諸表の注記において開示しなければならない。

有形固定資産(Property and Equipment)

 有形固定資産に含まれるのは、所有している土地、建物、器具備品、陶器、ガラス器、銀器、リネン・制服、賃借資産への支出、及び賃借資産改良への支出である。有形固定資産には、また、キャピタルリース契約により保有する同様の資産も含まれる。重要であれば、キャピタルリース契約により保有する資産は、貸借対照表上別掲記するかまたは財務諸表に注記しなければならない。さらに、有形固定資産の償却方法及び陶器、ガラス器、銀器、リネン・制服の評価方法は財務諸表の注記の中で開示しなければならない。

開業準備費(Preopening Expenses

 開業準備費とはホテル施設の開業前に生じた費用で資産計上されるものである。開業準備費に加えて開業費用(opening expenses)を資産計上する会社もある。これは、ホテル施設開業後の短期間における、費用が収益を超える額である。資産計上されたこのような費用はすべて比較的短期間に償却される。これらの範ちゅうに関する資産計上方針及び償却方針は財務諸表の注記の中で開示しなければならない。

コメント:
 ホテルを全く新規で立ち上げる場合にはかなりの開業準備費が発生します。これを繰延資産として資産計上するかどうかについては、税法上の取扱いも含めて慎重に検討すべきです。また、経営委託料の計算上、開業準備費をホテルの損益計算から除くことがありますが、その場合には、開業費と開業後の営業費用との区分についてきちんとした基準を決めておく必要があります。

繰延費用(Deferred Charges)

 繰延費用は資金調達活動に関係するのが典型的なものであり、借入手数料(loans fees)や社債発行費用(bond issurance costs)のような資金獲得に直接要する費用である。このような費用は通常当該借入の期間にわたって償却される。償却方法は財務諸表の注記の中で開示しなければならない。

その他の資産−その他(Other)

 非流動項目のうち、差入保証金(security deposits)、フランチャイズ権利金(initial franchize costs)、無形固定資産(intangible assets)、使途制限付現預金(restricted cash funds)といった特定の科目に含めることのできないものは、この科目名のもとに表示しなければならない。それらの内容は、重要であれば、貸借対照表上または明細表上明瞭に示さなければならない。重要な無形固定資産の償却方針は、財務諸表の注記の中で開示しなければならない。

(2) 負債及び所有者持分

支払手形(Notes payable)

 支払手形は今後12カ月以内に支払期限が到来する手形を含み、貸借対照表上銀行手形借入金とその他の債権者に対する支払手形に分類される。

1年以内返済長期債務 (Current Maturities of Long-Term Debt)

 1年以内返済長期債務は、抵当権付借入金(mortgage notes)や支払手形やこれらと同様の債務の元本支払額、減債基金債務、及び、キャピタルリースの元本部分のうち1年以内に返済期限の到来するものである。

買掛金(Accounts Payable)

 買掛金は仕入先に対する債務である。宿泊客からの売掛金回収を代行する代理店に対する債務は買掛金に含めてもよいし、別掲記してもよい。

連邦所得税及び州所得税(Federal and State Income Taxes)

 連邦所得税及び州所得税は所得税の見積債務である。

繰延税金/短期(Deferred Income Taxes - Current)

 繰延税金/短期は、財務報告目的と所得税申告目的とで異なった年度に計上される流動資産や流動負債に起因する計上時期差異( timing differences)の税効果である。たとえば貸倒の恐れのある受取勘定に対して財務報告目的のためには引当金を計上するが所得税申告目的のためには直接控除法(貸倒れとなったときのみ損金として処理する。)によるような場合である。

未払費用(Accrued Expenses)

 未払費用とは、すでに発生はしているが貸借対照表日以後でなければ法的な債務とならない費用である。未払費用のそれぞれの項目は重要性があれば貸借対照表か明細表において別表示しなければならない。例としては、給与・賃金、vacation pay、支払利息、経営委託料、地代・家賃、所得税以外の税金、水道光熱費などがある。

前受金(Advance Deposits)

 前受金は、将来の宿泊料収入や宴会収入の支払に充当されるものとして受け取った金額である。

その他の流動負債(Other Current Liabilities)

 その他の科目名のもとに表示されない流動負債はここに含めなければならない。例としては、入金済みあるいは非宿泊客へ請求済みのレクレーション施設使用料のうちの前受分、請求者のいない賃金、広告費の請求額などがある。

長期債務(Long-Term Debt)

 長期債務には、今後12カ月以内に支払期限が到来しない抵当権付手形借入金(mortgage notes)、その他の支払手形等、キャピタルリース契約債務である。 抵当権付手形借入金(mortgage notes)、その他の支払手形等については、貸借対照表か財務諸表の注記において次のような情報が開示されなければならない。

・利率  
・償還条件または減債基金の条件  
・期日  
・担保付きの債務と担保に供されている資産  
・財務上の制限条項  
・貸借対照表日以降5年間の各年の償還額及び減債基金支払額

 キャピタルリース契約債務については、次のような情報が開示されなければならない。すなわち、貸借対照表日における未経過最小リース料(future minimum lease payments)支払総額及び貸借対照表日以降5年間の最小リース料支払額である。見積計算された手数料とメンテナンス費は個別に控除される。リース料に含まれている利益及び純最小リース料を現在価値に割り引くために必要な内部利息もこれらに含まれる。

その他の固定負債(Other Long-term Liabilities)

 その他の科目名のもとに表示されない固定負債はここに含めなければならない。例えば、今後12カ月以内に支払期限または払戻期限の到来しない繰延報酬(deferred compensation)、繰延経営委託料、テナント預かり保証金である。

繰延税金/長期(Deferred Income Taxes - Noncurrent)

 繰延税金/長期は、財務報告目的と所得税申告目的とで異なった年度に計上される、固定資産や固定負債に起因する計上時期差異(timing differences)の税効果である。たとえば税務申告目的のためには加速度償却法を用い、財務報告目的のためには定額法を用いるような場合である。 

契約義務と偶発債務(Commitments and Contingencies)

 契約義務と偶発債務という科目名が貸借対照表上に示されるのはもっぱらこのような項目に読者の注意を喚起するためである。全ての重要な契約義務と偶発債務は財務諸表の注記において十分に開示されなければならない。例としては、購入契約や雇用契約や経営上の協定から生じる契約義務、及び、係争中または提訴される恐れのある訴訟や他人の債務の保証から生じる偶発債務がある。

資本金(Capital Stock)

 資本金は定款によって正式に認められた、株式会社の株式を意味する。資本金の種別で最も広く行き渡ったものが優先株式と一般株式である。額面価額または表示価額(stated value)及びそれぞれの株式種別ごとに授権株数と発行済株数が貸借対照表に表示されなければならない。期中の変動は株主持分変動表において示されなければならない。

払込剰余金(Additional Paid-In Capital)

 資本準備金には株主によって払い込まれた現預金、不動産、その他の資本で資本金を超える金額が含まれる。期中の変動は株主持分変動表において示さなければならない。

利益剰余金(Retained Earnings)

 利益剰余金は配当として分配されず企業に留保された利益の累計額である。期中の変動は株主持分変動表において示さなければならない。


3.宿泊部門損益計算書(Rooms

コメント:
 以下、部門別損益計算書の科目です。このホームページでは、宿泊、料飲、ヘルス・クラブの3営業部門しか取り上げていませんが、原書では、電話部門、駐車場部門、ゴルフ場部門などの部門別損益計算書も載っています。
 固定費である減価償却費や建物の賃借料などは各部門の経費とはならないことに注意。配賦もされません。

(1) 収益項目

宿泊収益(Revenue)

 長期滞在(permanent)収益に関しては、宿泊が長期と分類されるのは、宿泊客がホテル内において長期にわたり住居を構えた場合に限られなければならない。正式の契約は存在してもしなくてもよい。航空会社の乗組員や法人使用のような、短期滞在客(transient guests)用として特定のグループに契約ベースで販売された宿泊は、短期滞在収益(transient revenue)と考えなければならない。これが宿泊収益のうちで重要な割合を占めるような場合は、契約短期滞在(contract transient rooms)というような別の範ちゅうを検討してもよいだろう。その他の宿泊収益には、料理飲料向の客室レンタルや日中使用(day use)のレンタルが含まれる。

コメント:
 長期滞在の顧客の部屋代についても賃貸収益となるわけではなく、宿泊部門の売上となります。

値引・値増(Allowances)

 値引・値増(Allowances) は販売時点においてはわからないが後日調整される宿泊料の割戻しや割増しである。allowances にはホテルの販売促進または優待サービスの結果としてなくなった収益を含めてもよい。

純収益(Net Revenue)

 総収益から 値引・値増(Allowances) を控除した金額が純収益となる。


(2) 経費項目

給与賃金(Salaries and Wages)

 この勘定には、vacation pay、退職金、ボーナス、報奨金(incentive pay)、 holiday pay が含まれる。そうすることが適切であれば、これらの項目はそれぞれ、部門原価のなかで個別に表示してもよい。

従業員福利厚生費(Employee Benefits)

 この勘定に計上されるのは、この部門に該当する、従業員法定福利費、保険料、年金、その他関連費用である。この部門の従業員に提供される食事・飲料の原価もまた、この勘定に含められる。

支払手数料(Commissions)

 この勘定に計上されるのは、ホテルが獲得した宿泊営業に対して正規代理店へ支払われるものであり、旅行会社の手数料を含む。

請負清掃費(Contract Cleaning)

 請負で行われる、ロビー、パブリックルームの清掃、窓の洗浄、害虫駆除、 消毒の費用はこの勘定に計上される。

宿泊客運送費(Guest Transportation)

 宿泊客のホテル送迎費用はこの勘定に計上しなければならない。

ランドリー・ドライクリーニング費(Laundry and Dry Cleaning)

 外部のランドリー業者の請求書にそう明示されているような、宿泊部門に賦課し得るランドリー費用は、この勘定に計上しなければならない。リネンレンタル費用の一部は、レンタルされた品物のランドリー費用に関連するかもしれないが、この勘定に配賦してはならない。  この勘定にはまた、客室、ロビー、廊下のなかの、カーテン、ドレパリー、壁掛け、ランプシェードのドライクリーニング、日よけ、カーペット・絨毯、ウインドウシェード、家具カバーの洗浄または清掃の費用が含まれなければならない。

リネン費(Linen)

 客室に備えられるタオル、顔拭き、バスマットの原価またはレンタル料は、この勘定に計上しなければならない。

消耗品費(Operating Supplies)

 この勘定に含められるべきものは次のとおりである。

・清掃用品費(Cleaning Supplies)
 ホテルの客室、廊下、ロビー、その他のパブリックエリアを清潔で衛生的な状態に保つための消耗品の費用である。

・宿泊客用品費(Guest Supplies)
 客室用品と宿泊客に無料で与えられるアメニティ用品の費用である。

・印刷文房具費(Printing and Stationery)
 全ての事務用品である。

予約費(Reservations)

 予約サービスと電話、電報、テレタイプの費用を含む中央予約システムの原価は、この勘定に計上しなければならない。

制服費(Uniforms)

 この勘定には、制服の原価またはレンタル料及びその他関連費用を計上しなければならない。


4.料飲部門損益計算書(Food and Beverage

 ほとんどのホテルには、料理と飲料が販売される施設がある。全ての施設を連結した計算書とともに、個々の施設の個別計算書も作成しなければならない。

 個々の施設の損益計算書は、全ての直接収益、直接費、共通費(例えば一般管理賃金、厨房賃金及び経費)を含まなければならない。共通費を各施設に配分するにあたっては、経費を正しく反映させるような継続的に適用される合理的な基準(例えば、顧客数や時間動作研究)に基づいていればよい。

コメント:
 管理上は料飲部門全体の損益がわかっても不十分であり、各レストランの損益を把握することが必要となります。各レストランの責任者の評価にもかかわることなので、経費の配賦にはかなり神経を使うようです。

(1) 収益項目

料理収入(Food

 この勘定には、コーヒー、ミルク、紅茶、ソフトドリンクを含む、料理の販売から得られる収益が計上される。この収益は、通例として、レストラン、ラウンジ(料理が販売される場合)、ルームサービス、宴会といった施設によって分類される。収益は営業時間によって分割させてもよい。従業員が負担する食事は売上には含まれない。

飲料収入(Beverage

 この勘定には、飲料の販売から得られる収益が計上される。この収益は通例として施設によって分類される。売上は、ワイン、リカー、ビール、エールという区分、またはその他の当を得た区分に分類してもよい。売上には、役員負担で提供される飲料は含まれない。

コメント:
 売上、原価とも、料理と飲料を明確に区別します。おそらく管理上の要請からでしょう。

値引・値増(Allowances)

 宿泊部門損益計算書の項参照。

純収益(Net Revenue)

 宿泊部門損益計算書の項参照。

その他の収益(Other Income)

 この科目名には料飲売上以外の源泉からの収益が含まれなければならない。さまざまな施設の明細表には、下記のような収入源が表示されるであろう。

・会議室賃貸(Meeting Room Rentals)
 宿泊客用の寝室やスイートルームを除いた、会議室(public meeting rooms)の賃貸から生じる収益はこの科目名に含めなければならない。

・カバーチャージ(Cover Charges)
これは娯楽室その他の施設への入場に対して一人あたり特定の料金を課することから生じる収益である。  

・サービスチャージ(Service Charges
 サービスに対する料金で、顧客の勘定書に固定金額あるいは売上の一定割合で加えられ、職員に支払うことが要求されないものはここに記帳しなければならない。

・雑宴会収益(Miscellaneous Banquet Revenue)
 これは宴会に関連して行われる機器のレンタル、音楽、装飾、みやげ物といった商品やサービスの販売から生じる収益である。

・雑収入(Miscellaneous Other Income)
 この勘定にはさまざまな料飲施設において販売されるキャンディーやたばこなどの収益で他の科目名に含まれないものを含めなければならない。金額が大きい場合には固有の科目名をつけて区分しなければならない。

コメント:
 サービス料がFoodやBeverageの収入には含まれないことに注意。日本では10%の定率でかけられることが多いので、収益のうちのかなりの割合を占めることになります。

 

コメント:
 宴会売上は料飲部門の売上になります。しかし、そうすると、レストランなどの全く性質の違う営業と一緒になって会計数値が出てきてしまいます。日本では宴会売上の重要度が高いので、管理上は何らかの工夫が必要でしょう。

(2) 売上原価(Cost of Sales)項目

食材原価(Food)

 食材原価(Cost of food consumed)には、宿泊客と従業員に提供される全ての食材を含み、その金額は、仕切価格(gross invoice price)から、仕入割戻(trade discounts)(現金割引は含まない)を控除し、運賃、保管費、配送費を加算したものである。獣脂やあらの売上を含む、食材係(commissary)や用度係(steward)の売上は、この原価から控除されなければならない。

 従業員食事原価(cost of employees' meals)は、食材原価から控除し、食事が供される従業員が属する部門それぞれに賦課されなければならない。

飲料原価(Beverage)

 飲料売上原価(cost of beverage sales)は、ワイン、リカー、ビール、ミネラル・ウォーター、果物、シロップ、砂糖、ビターその他の、飲料として供されるか、または、混合飲料をつくるために使用される材料の原価である。これには、宿泊客に供されるものと従業員に供されるものがともに含まれ、その金額は、仕切価格から仕入割戻(現金割引を含まない)を控除し、輸入関税・運賃・保管費・配送費及び購入されるか消費される飲料の数量とアルコール含有量を基礎として決められる諸税金を加算したものである。

 飲料売上原価からは、それ以前にこの勘定に原価として計上された、ビン、たる、その他の材料の保証金返金額や売却代が控除されなければならない。

 従業員飲料原価(cost of employees' beverages)は、飲料原価から控除し、飲料が供される従業員が属する部門それぞれに賦課するか、そうすることが適当な場合には交際費(Entertainment)としなければならない。

コメント:
 従業員が消費した料理や飲料の原価は、消費した従業員が所属する部門の経費となります。実務上は何らかの方法で配賦することになります。

その他の原価(Other)

 その他の収益として販売され分類された項目に関連する商品の原価はこの勘定に計上されなければならない。宴会雑収益として記帳された売上に関連するそれぞれの商品を外部から賃借または購入する原価や、雑収益として記帳された売上に関連する原価などの項目がこれに含まれるだろう。

純売上原価(Net Cost of Sales)

これはすべての原価勘定の合計である。

コメント:
 食材原価や飲料原価のように売上に直接対応するものだけが売上原価(Cost of Sales)になります。固定費的性格をもつ経費とは明確に区別され、管理されます。

(3) 経費(Expenses)項目

1) 人件費項目

給与賃金(Salaries and Wages)

 宿泊部門損益計算書の項参照。

従業員福利厚生費(Employee Benefits)

 宿泊部門損益計算書の項参照。

2) その他経費項目

陶器費(China)

 皿、カップ、ソーサーなどの卓上陶器の原価である。

ガラス器費(Glassware)

 グラスや灰皿などのあらゆるガラス器の原価である。

銀器費(Silver)

 ナイフ、スプーン、フォークなどの卓上銀食器類の原価である。

リネン費(Linen)

 ナプキン、テーブルクロスなどの卓上繊維製品の原価またはレンタル料である。

請負清掃費(Contract Cleaning)

 清掃や害虫駆除を外部業者に請け負わせる原価である。

ランドリー及びドライクリーニング費(Laundry and Dry Cleaning)

 外部のランドリー業者の請求書に料飲部門向と明示されているような、料飲部門に負担させることのできるランドリー費用は、この勘定に計上しなければならない。リネンレンタルの原価の一部は、レンタルされた品物のランドリー費用に関連するかもしれないが、この勘定に配賦してはならない。  この勘定にはまた、さまざまなダイニングルームやパブリックルームにおける、カーテン、ドレパリー、壁掛け、ランプシェードのドライクリーニング、日よけ、カーペット・絨毯、ウインドウシェード、家具カバーの洗浄または清掃の費用が含まれなければならない。

許認可費(Licenses)

 料飲施設のためのあらゆる許認可の費用である。

音楽芸能費(Music and Entertainment)

 別個の部門として扱われない場合、この勘定は、職業芸能人、音楽家、レコード、ロイヤリティといったエンタテイメントを提供することに関連する全ての費用が含まれる。

消耗品費(Operating Supplies)

 この勘定に含められるべきものは次のとおりである。

・厨房用品費(Utensils)
調理の過程で必要な全ての用具の費用である。

・清掃用品費(Cleaning Supplies)
清潔な営業のために必要な全ての消耗品の費用である。

・顧客用品費(Guest Supplies)
全ての無償提供品の費用である。

・紙用品費
 営業で使われる全ての使い捨て紙製品である。

・印刷文房具費(Printing and Stationery)
 全ての事務用品である。

・メニュウ費(Menu)
 メニュウの製作にかかわる費用である。

制服費(Uniforms)

 この勘定には、制服の原価またはレンタル料及びその他関連費用を計上しなければならない。


5.ヘルス・クラブ部門損益計算書(Health Club

収益(Revenue)

 会員料やビジター料から生じる収益、スキン・ケア商品やタオルなどの商品の販売から生じる収益、及び、クラブが提供するサービスに対する報酬から生じる収益が計上される。

値引・値増(Allowances)

 宿泊部門損益計算書の項参照。

商品売上原価(Cost of Merchandise Sold)

 商品売上原価は、販売された商品の購入価格から仕入割戻(trade discount) (現金割引は含まない)を控除し、運賃、保管費、配送料を加算したものである。 この金額は定期的実地棚卸によって算定してもよい。

給与賃金(Salaries and Wages)

 宿泊部門損益計算書の項参照。

従業員福利厚生費(Employee Benefits)

 宿泊部門損益計算書の項参照。

ランドリー費(Laundry)

 外部のランドリー業者の請求書にヘルス・クラブ部門向と明示されているよ うな、ヘルス・クラブ部門に負担させることのできるランドリー費用は、この 勘定に計上しなければならない。

リネン費(Linen)

 ヘルス・クラブで使われるタオルやマットなどの原価またはレンタル料はこ の勘定に計上しなければならない。

維持費(Maintenance)

洗濯機、サウナ、スチーム・ルーム、または、運動器具などのヘルス・クラ ブ器具を維持する費用は、この勘定に計上しなければならない。

消耗品費(Operating Supplies)

 この勘定には、ヘルス・クラブで使われる消耗品の原価を計上しなければな らない。

制服費(Uniforms)

 この勘定には、制服の原価またはレンタル料及びその他関連費用を計上しな ければならない。


6.賃貸及びその他の収益 (Rentals and Other Income

コメント:
 この部門は収益だけで原価はありません。

賃貸収益(Rentals)

 営業目的の場所貸しからの収益は、この勘定に計上しなければならない。こ の勘定は、次のような項目に細分してもよい。

・クラブ(Clubs) ホテル建物内において、クラブルームとして使われる場所の賃貸収益。

・事務所(Offices) ホテル建物内において、営業許可を受けた者ではなくテナントが事務所とし て使う場所の賃貸収益。

・店舗(Stores)  ホテル内において店舗として使われる場所の賃貸収益。

・その他(Others)  事務所、クラブ、店舗、営業許可に分類されるもの以外の、ロビー・スペー ス、ショウケースその他あらゆる場所の賃貸収益。

 賃貸あっせん業者への支払手数料は、賃貸収益項目それぞれから控除しなけ ればならない。明細書は純賃貸収益(net rentals)のみ記載すればよい。ある いは、より好ましい方法として、総賃貸収益(gross rentals)から支払手数料 と経費を控除し、純賃貸収益を算出する形式の記載でもよい。

営業許可料収益(Concessions

 ホテル自体が通常のホテル・サービスの一部として営業してもよいような部 門を営業する権利に対して、他人から受け取る収入は、この勘定に計上しなけ ればならない。

受取手数料(Commissions

 この勘定には、通信(communication)、タクシー、ガレージ・駐車場、レン タカー、写真といったサービスに対して他人から受け取る手数料を計上しなけ ればならない。通信会社がロビーの一角を占有しているような場合には、その ような場所からホテルが得る収益は、たとえ歩合によって収益が決められると しても、賃貸収益に計上しなければならない。同じように、営業許可を受けた ものからのいわゆる「手数料」は営業許可料収益(income from concessions) に含めなければならない。ホテルが所有していないゲーム機械や自動販売機か らの収益があれば、それらもまた、ここに含められる。

受取現金割引(Cash Discounts Earned)

 この勘定には、現金割引期間内に支払勘定を支払うことによって得られる割 引料を計上しなければならないが、仕入割戻しを計上してはならない。仕入割戻しは売上原価から控除するのが適当である。

電子ゲーム及びピンボールマシン収益 (Electronic Games and Pinball Machines)

 ホテルが所有するビデオゲームその他の電子ゲーム機やピンボールマシンか ら得られる収益は、この勘定に計上しなければならない。

没収予約金/不参客保証金収益 (Forfeited Advance Deposits/Guaranteed No-Shows)

 ホテル施設やサービスの予約金や不参客保証金の没収から生じる収益は、こ の勘定に計上しなければならない。

サービス料(Service Charges

 顧客の勘定書に固定金額または売上の歩合で加算され、サービス要員(service personnel)に支払うことが要求されず、料飲その他の部門に計上され なかったサービス料は、ここに記帳しなければならない。

コメント:
 サービス料をすべてここに計上する場合もあります。その場合は、各営業部門の売上にはサービス料が含まれないことになります。

受取利息(Interest Income)

 この勘定には、現金投資(Cash Investment)、銀行預金、手形貸付金(   notes receivable)、その他の源泉から稼得される受取利息を計上しなければ ならない。

廃品売却収益(Salvage)

 くず紙、雑品、陳腐化品の売却から得られる収益は、この勘定に計上しなけ ればならない。

自動販売機収益(Vending Machines)

 ホテルが所有しその商品を仕入れる自動販売機から得られる収入は、商品販 売原価を控除して、この勘定に計上しなければならない。

コメント:
 受取利息や仕入割引など、日本では営業外収益に含まれるような科目も、ここに混じっています。

7.一般管理部門費 (Administrative and General)

給与賃金(Salaries and Wages)

 宿泊部門損益計算書の項参照。

従業員福利厚生費(Employee Benefits)

 宿泊部門損益計算書の項参照。

現金過不足(Cash Overages and Shortages

 現金出納係の過不足はこの勘定に記帳しなければならない。該当する営業部門の中に同様の科目をもつことを選ぶホテルもあるだろう。

ホテル:
 現金商売である以上、現金過不足はつきものですが、いつどこで発生した過不足なのか(つまりどの担当者の管理下にある現金が過不足になったのか)把握できるようにしておくべきです。

クレジットカード手数料(Credit Card Commissions

 この勘定にはクレジットカード会社に支払われる手数料の金額を計上しなけ ればならない。クレジットカード会社から受け取る取扱量リベート(Volume rebate)は、この勘定に借方記入しなければならない。

与信及び債権回収費(Credit and Collection

 この勘定には、弁護士報酬や信用確認サービス費用(credit verification  service)を含む、顧客に対する売り掛けを回収する費用を計上しなければなら ない。

情報処理(Data Processing)

 機器の賃貸料以外の情報処理サービスの費用はこの勘定に計上しなければな らない。

寄付金(Donations)

 慈善的拠出(charitable contributions)はこの勘定に計上しなければなら ない。

会費及び購読料(Dues and Subscriptions)

 業界団体にそのホテルが参加する費用、または、ホテルを代表することを承 認された場合のスタッフの一員が参加する費用は、この勘定に計上しなければ ならない。この勘定にはまた、ホテルスタッフが使用するために、新聞、雑誌、 書籍を購読する費用を計上しなければならない。

役員費(Executive Office)

 ホテルに請求される役員(executive office)の報酬や経費は、この勘定に 計上しなければならない。

人事費(Human Resources)

 この勘定は新規採用、配置転換、訓練の費用を含まなければならない。

支払保険料(Insurance)

 あらゆる保険料のうち、損害賠償保険、fidelity保険、生命保険及び盗難保 険に関する金額は、この勘定に計上しなければならない。労働保険(workers' compensation insurance)、建物や家財の火災保険、社会保障保険は除く。

内部監査費(Internal Audit)

 この勘定にはホテルチェーンの中央組織が請求する監査費用が含まれなけれ ばならない。

内部通信システム費(Internal Communication Systems)

 この勘定には、複写、書類、口述機械、テレタイプ、空気管伝送、文書作成、 電子メール、その他の内部通信システムの費用(関連する貯蔵品を含む)を計 上しなければならない。

紛失及び損傷費(Loss and Damege

 紛失または損傷した顧客の持ち物の弁償代のうち、保険会社から回収される 金額を超えるものは、損害賠償金の支払とともにこの勘定に計上しなければな らない。

消耗品費(Operating Supplies)

 支配人室、経理部、もしくは、その給与賃金がこの費用群に計上される従業 員が使用する印刷済用紙、サービスマニュアル、文房具、事務用品は、外部の 印刷所から購入したものか内部で製作したものかに関わらず、この勘定に計上 しなければならない。

郵便電信費(Postage and Telegrams)

 この勘定には、マーケティングに該当する金額を除く、郵便、電信、ケーブ ルの費用(税金を含む)を計上しなければならない。

専門家報酬(Professional Fees)

 弁護士、公認会計士、コンサルタントの費用は、報酬、交通費その他の立替 金を含めて、この勘定に計上しなければならない。

貸倒引当金繰入(Provision for Doubtful Accounts

 受取勘定や受取手形の回収に当たり見込まれる損失に備えるのに十分な金額 を、この勘定に計上しなければならない。

コメント:
 貸倒損失と引当金繰入を区別する考え方はないようです。貸倒は貸倒引当金と相殺するので、結果的に貸倒損失の部分もこの科目に入ってしまいます。

警備費(Security)

 この勘定は、警備料その他関連費用を含まなければならない。重要性があれ ば、一つの別部門を設けることを検討すべきである。

電話費(Telephone)

 一般管理部門に直接関連づけられる電話支出は、すべてこの勘定に計上しな ければならない。

運送費(Transportation)

 この勘定は、顧客に直接関連するもの以外の運送費を含まなければならない。 人事部門(human resources department)が別に設けられている場合、従業員 に関連する運送費は人事部門に含めなければならない。

旅費及び交際費(Travel and Entertainment

 ホテルの所用で旅行する役員や従業員の旅行費用と立替費用はこの勘定に計上 しなければならない。販売促進に関連する旅行の場合はマーケティングに計上 しなければならない。

コメント:
 交際費というと日本では税法上の考え方で分類してしまいますが、ここにいう交際費は、当然ですが、必ずしも日本の税務上の交際費と一致しないので、税務申告の際にはきちんと分ける必要があります。

8.マーケティング部門費(Marketing

 顧客を獲得し維持するためのホテルの努力には多くの活動が含まれる。ホテルのイメージを築き上げること、ホテルの商品(products)の消費者による認知度を高めること、顧客を刺激してさまざまなサービスを利用するようにしむけることなどである。これらの活動はお互いにからみあっており、会社のマーケティング活動と一般によばれるものを構成する。以下の様式においては、マーケティング活動に関連するさまざまな費用が示される。これらの費用が一体として表示するのは、ホテルのために営業をもたらすことを目的とする、内部のスタッフまたはさまざまな外部のサービス提供機関による、販売促進、売り込み、プロモーション、PRの技術の全てを使った結果である。

 予約に関連する費用には、給与、予約・旅行代理店報酬、個々の予約のための手数料が含まれるが、これらは伝統的に宿泊部門において計上されてきた。しかしながら、これらの費用は全体のマーケティング活動を構成するものであるとの認識がますます高まっていることに注目しなければならない。これらの機能がマーケティングの責務であると認識しているホテルは、これらの費用をこの部門に計上しなければならない。  


(1) 人件費

給与賃金(Salaries and Wages)

 宿泊部門損益計算書の項参照。

従業員福利厚生費(Employee Benefits)

 宿泊部門損益計算書の項参照。


(2) 販売費(Sales)

優待客費(Complimentary Guests

 この勘定には販売活動及び販売促進活動(selling and promotional activities)から生じる無料の宿泊、食事、その他のサービスの提供に関連するあらゆる費用を計上しなければならない。

コメント:
 自社のホテル内で発生したこのような費用については、営業部門の原価から抜き出すことが必要となります。そうしないと、金額が大きい場合には、営業部門の原価管理にも影響します。

会費及び購読料(Dues and Subscriptions)

 この勘定には団体の会員になるための費用や、販売部門の従業員の使用のた めの新聞、雑誌、書籍を購読する費用を計上しなければならない。

消耗品費(Operating Supplies)

 印刷済用紙、セールスマニュアル、文房具、事務用品の原価は、外部の印刷 所から購入したものか内部で製作したものかに関わらず、この勘定に計上しな ければならない。

郵便電信費(Postage and Telegrams)

 この勘定には、販売部門で使用される郵便、電信の費用を計上しなければな らない。

電話費(Telephone)

 販売部門の活動に直接関連づけられる電話支出は、すべてこの勘定に計上し なければならない。

トレード・ショウ費(Trade Shows)

 さまざまなトレード・ショウにおいてホテルの販売促進を行うことに関連す る費用は、参加者の旅費・日当やブースの費用や場所の賃借料を含めて、この 勘定に計上しなければならない。

旅費及び交際費(Travel and Entertainment)

 その努力が販売促進に向けられている役員や従業員の立替費用や交通費、お よび営業推進を目的とする交際費は、この勘定に計上しなければならない。


(3) 予約費(Reservations

消耗品費(Operating Supplies)

 印刷済用紙、セールスマニュアル、文房具、事務用品の原価は、外部の印刷 所から購入したものか内部で製作したものかに関わらず、この勘定に計上しな ければならない。

郵便電信費(Postage and Telegrams)

 この勘定には、予約部門で使用される郵便、電信の費用を計上しなければな らない。

予約手数料(Reservation Fees)

 予約サービスと集中予約システムの費用はこの勘定に計上しなければならな い。

電話費(Telephone)

 予約部門の活動に直接関連づけられる電話支出はすべてこの勘定に計上しな ければならない。

研修費(Training)

 特別の訓練用資料、消耗品費、講師の報酬を含む従業員の訓練に関連する費 用は、この勘定に計上しなければならない。

旅行代理店手数料(Travel Agency Commissions

 この勘定には旅行代理店手数料を含むホテルが確保した営業のために公認の代理店に支払われた報酬が計上される。

コメント:
 旅行会社からは手数料を引いた宿泊代・食事代等が入金するので、そのときに売掛の入金処理と、手数料の支払処理を行います。旅行会社や売上の種類によって手数料率が異なるので、なかなかやっかいです。理屈上は売上と同時に手数料の未払を計上しておくべきですが、現金主義で支払ったときに処理する場合もあります。
 また、旅行会社発行のクーポンを使った精算方法もあります。

(4) 広告及び販売促進費(Advertising and Merchandising)

ダイレクトメール費(Direct Mail)

   この勘定は郵送先リスト、手紙を書くこと、郵便料金、署名、宛名書き、ま たは、外部の企業によって行われるこれと同様の作業の費用を含まなければな らない。

外部サービス手数料(Fees for Outside Services)

 広告代理店(public relations representatives or agencies)に支払われ る手数料はこの勘定に含められる。

社内グラフィックアート費(In-House Graphics)

 この勘定は、ホテル内においてサービスの販売促進を行うために使われるビ ラ、案内板、看板、パンフレットなどの開発・製作に関連して行われる全ての 作業の費用を含まなければならない。

屋外広告費(Outdoor)

 毎月の使用料や賃借料を含むポスターや掲示板その他の看板の費用はこの勘 定に計上しなければならない。

POS用品費(Point of Sale Material)

 特製のテント状カード、メニューちらし、ワインなどのディスプレー等の施 設内の営業を促進するために使われる用具の費用はこの勘定に含めなければな らない。

印刷物費(Print)

 新聞広告、雑誌広告、電話帳広告はこの分類に計上しなければならない。

製作費(Production)

   印刷物の広告を製作する費用はこの勘定に計上しなければならない。

ラジオ・テレビ広告費(Radio and Television)

 ラジオ・テレビ広告の費用はこの勘定に計上しなければならない。


(5) その他のマーケティング活動費(Other Marketing Activities)

公共プロジェクト及びコミュニテイプロジェクト費(Civil and Community Projects)

 コンベンションビューローの活動費、コンベンション基金への寄付金及びこ のような活動に関連する費用、あるいはフェアや展示会などの公的プロジェク トまたはコミュニティプロジェクトの誘致費(promotion)はこの勘定に計上し なければならない。

来客歴費(Guest History)

 この勘定には、そのための特別の部門の直接費及びその部門に配賦された費 用、または、外部の業者による宿泊登録カードやその他の来客歴データの通常 の分析の費用が含まれる。

外部サービス費(Outside Services)

 独立した調査機関やコンサルタント会社が、ホテル営業の源泉やその他の特 徴を調べるために随時行う分析の費用は、この勘定に計上される。

写真費(Photography)

 この勘定には、プロのモデルを使う費用を含む、様々なタイプの広告宣伝プ ログラムで使われる写真の費用が含まれる。


(6) 報酬手数料(Fees and Commissions)

フランチャイズ報酬(Franchise Fees)

 ロイヤリテイや全国的な広告宣伝費を含む、フランチャイズ会社に支払う全 ての報酬は、この勘定に計上しなければならない。

マーケティング報酬(Marketing Fees)

 マーケティング活動に対して支払った報酬は、フランチャイズ会社に対する ものであれ、外部の機関に支払われるものであれ、全てこの勘定に計上しなけ ればならない。


9.光熱水道費(Energy Cost

電力費(Electricity)

 外部の発電業者から購入する電気の費用は配電費用とともにこの勘定に計上 しなければならない。

燃料費(Fuel)

 この勘定は料飲部門に計上される厨房燃料を除く消費された燃料の費用を含 まなければならない。石炭、石油、ガスといった使われた燃料の種類を記載し なければならない。

蒸気費(Steam)

 外部の供給会社から購入した蒸気の費用はこの勘定に計上しなければならな い。

水道費(Water)

 この勘定には消費された水の費用を計上しなければならない。また、冷水配 水システムのために特別に処理された水や飲料用に購入した水を含まなければ ならない。

光熱水道費控除項目(Credits)

 光熱水道費からの控除項目は次のような二つの小項目に分けることができるだ ろう。

 経費戻り(Cost Recoveries)は、ホテルの管理付コンドミニアム、時間貸施設、テナントなどの独立した主体からの払い戻しである。これらは次のように 分類される。   

電気   
蒸気  
水道   
燃料

 営業部門への配賦(Charges to Operating Departments)は、営業部門に光熱水道費を配賦するための総合的システムに必要な、検針能力がある場合計上さ れる。検針が存在しない場合の光熱水費の配賦はこの範ちゅうには計上されな い。


10.施設管理維持部門費(Property Operation and Maintenance

コメント:
 施設の修繕費をここに計上します。メンテナンス部門の人件費も計上されます。

給与賃金(Salaries and Wages)

 宿泊部門損益計算書の項参照。

従業員福利厚生費(Employee Benefits)

 宿泊部門損益計算書の項参照。

建物費(Building)

 この勘定には、建物の内部及び外部の修理と保全に関連する材料費と請負費を計上しなければならない。

カーテン・ドレパリー費(Curtains and Draperies)

 この勘定には、カーテンとドレパリーの修理に関連する材料費と請負費を計上しなければならない。

電気機器・機械費(Electrical and Mechanical Equipment)

 この勘定には、器具備品(Equipment)の修理に関連する材料費と請負費を計上しなければならない。もし重要であれば、以下のような器具備品の下位区分 を用いなければならない。電話設備やデータ処理システムのような特殊機器の 保全契約は適切な部門に直課しなければならない。

暖房・換気・空調機器費 (Heating,Ventilating and Air Conditioning Equipment )

 この勘定には、暖房・換気・空調機器の修理と保全に関連する材料費と請負費を計上しなければならない。

一般電気機器及び機械費(General Electrical and Mechanical Equipment)

 この勘定には、他の科目に別掲記されない一般電気機器及び機械の修理と保全に関連する材料費と請負費を計上しなければならない。

厨房機器費(Kitchen Equipment)

 この勘定には、厨房機器の修理と保全に関連する材料費と請負費を計上しな ければならない。

ランドリー機器費(Laundry Equipment)

 この勘定には、ランドリー機器の修理と保全に関連する材料費と請負費を計上しなければならない。

エレベーター費(Elevators)

 この勘定には、エレベーターの修理と保全に関連する材料費と請負費を計上 しなければならない。

技術用消耗品費(Engineering Supplies)

 この勘定には、技術部門で使用される保全用消耗品や化学製品を計上しなければならない。

床被覆物費(Floor Covering)

 この勘定には、客室、廊下、食堂、パブリックルームの床被覆物の修理に関連する材料費や請負費を計上しなければならない。

家具費(Furniture)

 この勘定には、ベッド、テーブル、ドレッサー、椅子などの家具の修理に関連する、織物、繊維、木材、金属部品、ガラスなどの材料と消耗品及び請負費 の費用を計上しなければならない。

造園費(Ground and Landscaping)

 庭園の保全に関連する材料費や請負費はこの勘定に計上しなければならない。

消耗品費(Operating Supplies)

 定型用紙、サービスマニュアル、文房具、事務用品の費用は、外部から購入したものであれ内部で製作したものであれ、この費用群にその給与賃金が計上 されるような従業員によって使用される場合は、この勘定に計上しなければな らない。

塗装・装飾費(Painting and Decorating)

 この勘定には、材料、消耗品、関連する請負契約の費用を計上しなければな らない。

廃棄物処分費(Removal of Waste Matter)

 ゴミの処分費や焼却炉の稼動費はこの勘定に計上しなければならない。

水泳プール費(Swimming Pool)

 この勘定には、独立した部門がない場合、水泳プールの保全と修理に関連する材料、消耗品、請負契約の費用を計上しなければならない。 制服費(Uniforms)  この勘定には、制服の購入費またはレンタル費及び関連費用を計上しなけれ ばならない。

施設管理維持費控除項目(Credits)

 施設管理維持費からの控除項目は、原価の戻り(cost recoveries)に関連す る人件費と材料費、及び、資産計上される改良費・追加工事費に関連する人件 費と材料費である。管理付コンドミニアム、時間貸施設またはこれらと同様の 施設の保全や修理に利用されるサービスや材料は、原価の戻りに分類しなけれ ばならない。


11.固定費(Fixed Charges


(1) 賃借料・税金・保険(Rent,Taxes and Insurance

1) 賃借料(Rent)

 土地建物賃借料(Land and Building)  ホテルの不動産(hotel property)が賃借の場合、この勘定には、ホテルの不動産の賃借料の金額を計上しなければならない。

情報処理機器賃借料(Data Processing Equipment)

 コンピューターシステムや関連するハードウェアの賃借料は、この勘定に計 上しなければならない。

電話設備賃借料(Telephone Equipment)

 この勘定には電話設備の賃借料を計上しなければならない。

その他の備品設備賃借料(Other Furnishings and Equipment)

 その他の賃借料は、賃借されなかった場合には固定資産として購入され資産 計上されるようなその他の主要品目の賃借料を含む。

 宴会などの特定の機能のために賃借した雑資産(コピー機、プロジェクター、 音響機器)の賃借料は、該当する部門に計上しなければならない。この勘定に 計上すべき賃借料と考えてはならない。

2) 所得税及び法定福利費以外の税金 (Taxes Other Than Income and Payroll)

コメント:
 法人税等は当然営業経費には含まれません。また、会社負担の法定福利費(Payroll Taxes)は各部門の人件費となります。

不動産税(Real Estate Taxes)

 この勘定には、ホテルの不動産(real property)に対して、州が課す、また は郡や市のような行政区画(political subdivision)が課す、全ての税金を計 上しなければならない。公共施設改良のための負担金(assessment for public improvements)は、一般に固定資産として資産計上されるため、この勘 定には含めるべきではない。

動産税(Personal Property Taxes)

 備品、造作、設備に課せられる税金はこの勘定に計上しなければならない。

営業税及び利用税(Business and Occupation Taxes)

 宿泊収入及び料飲収入に課せられる総売上税(gross receipts tax)のよう な、顧客に転嫁できない税金は、この勘定に計上しなければならない。

電気ガス水道税(Utility taxes)

 下水道税のような電気ガス水道等に課税される税金は、この勘定に計上しな ければならない。通常の廃棄物処理料や電気ガス水道料は、施設管理維持に計上しなければならない。

その他の税金(Other Taxes)

 所得税と法定福利費以外のその他の税金は、この勘定に計上し、もし重要で あれば、別掲記しなければならない。

3) 建物家財保険料(insurance on Building and Contents)

 火災、暴風雨、スプリンクラー漏出、ボイラー爆発、ガラス破損その他によ る損害または破壊に対して、ホテル建物と家財に保険をかける費用は、この勘 定に計上しなければならない。


(2) 支払利息(Interest Expense)

 この勘定には、抵当権付借入金(mortgages)、手形借入金(notes payable)、 社債、証書借入金(debentures)、滞納税金などの、利息が課せられるあらゆ る債務に生じる、すべての支払利息を計上しなければならない。キャピタルリ ースのリース料支払額のうち、リース債務残高に生じる利息相当額はここに計 上される。融資を受けることに関連する、繰り延べられた借入費用及びその他 の費用の償却額は、当該融資の見積期間にわたってこの勘定に計上しなければ ならない。支払利息は、利息が生じる元本の性質を示す科目に分類しなければ ならない。

コメント:
 日本の考え方だと、営業外費用になりますが、Uniform System では、営業費用と区別しないようです。日本の商法や証取法ベースの決算書に組替える際には注意が必要です。

(3) 減価償却費その他の償却費(Depreciation and Amortization)

建物減価償却費(Buildings)

 ホテル建物と改良費に係る減価償却費は、見積耐用年数にわたって、この勘 定に計上しなければならない。

賃借権及び賃借資産改良費減価償却費(Leaseholds and Leasehold Improvements)

 賃貸借契約を結ぶための費用及び賃借資産改良費の償却費は、見積耐用年数と賃借契約期間のいずれか短い方の期間にわたって、この勘定に計上しなければならない。

備品設備減価償却費(Furnishings and Equipment)

 備品設備の減価償却費は、見積耐用年数にわたって、この勘定に計上しなけ ればならない。この勘定は、棚卸法(inventory method)による処理が行われ ていないときの、陶器、ガラス器、銀器、リネン、制服の減価償却費を含まな ければならない。

キャピタルリース契約により保有している資産の減価償却費 (Assets Held Under Capital Leases)

 キャピタルリース契約により保有している資産の償却費は、この勘定に計上しなければならない。

開業準備費償却費(Preopening Expenses)

 この勘定には、開業前の支出が資産計上された場合の、開業準備費償却額を計上しなければならない。

コメント:
 経営委託方式を採っている場合、減価償却費や賃借料のうち、どの部分がホテルの損益計算に含まれるのかは、経営委託契約の条項によります。通常はホテルのオーナー(委託者)が負担し、ホテルの損益には含めないようです。オーナーは建物などの施設を運営者に提供し、運営者に運営させ、経営委託料を差し引いた利益を受け取るというスキームです。
 開業費用もオーナーが負担し、ホテルの損益計算に含めないようです。

11.連邦所得税及び州所得税 (Federal and State Income Taxes

 当該企業が稼得した所得を基礎として課税される全ての税金は、これらの勘定に計上しなければならない。

 財務諸表目的のために報告される所得と税務目的のために報告される所得に差異がある場合は、当期支払うべき所得税の金額と繰り延べられる所得税の金額を区分して表示しなければならない。繰延所得税を生じさせる項目には、税務上の償却額と帳簿上の償却額の差異、帳簿上固定資産として資産計上されるが税務目的では費用として扱われるものがある。ただしこれらに限られない。

 

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