
●其の一
その日は全てがジャストだった。改札を出てホームに立てば直ぐに電車が来て、その足でディランの新譜を買いに行ったら目当てにしていた初回限定盤が一枚だけ俺の為に残っていた。ついてる。俺は間違いなくついてる。思った。勝てる。今日は勝てる。チャンピオンズリーグファイナル、我がFCバルセロナは前回の覇者マンチェスターUとヨーロッパ最強クラブを決める大一番に絶対に勝てると。思い起こせば去年の今頃EURO08で我がスペイン代表は破竹の勢いで大会を制した。そこから流れは止まらない。愛する国がスペインならクラブはバルセロナである。そして一年後の今スペイン史上初の三冠を奪取。歴史に残るシーズンとなった。去年から何度静謐な早朝の住宅街に我が絶叫が響いた事か。実に素晴らしい一年だった。有り難う、スペイン代表。有り難うバルセロナ。そしてイニエスタ。
●其の弐
巷間話題の村上春樹「1Q84」読了。今や桁違いのモンスター作家と化してしまい(本人の意思とは全く関係無い)今回は発売前に増刷という異例の現象。熱烈熱心な読者を称して「ハルキスト」と呼ぶらしい。僕も長年愛読支持してきたが流石にその呼ばれ方はちとキツい。恥ずかしい。故にこっそり買ってこっそり読んだ。とは言え流石、一気に物語りの中に引き込まれ、改めて氏の小説家としての技量に舌を巻いた。ストーリーの構築、センテンスの積み上げ、ワードの選択どれを取っても圧倒的技巧である。独特のユーモアと想像力の喚起を促すメタファーを随所に敷き詰めた相変わらず入り組んだ世界が展開され、好き者にはそれがたまらんのだが、しかしそれは物語りとして上等なエンターテイメントの上に立脚するものであり、本質はいつだってシンプル。どうやら続編へと移行しそうな流れだが、暫く余韻に浸り何度も咀嚼して臥せながら思考しまたお腹が空いたら読み返す事になるだろう。
●其の参
知人のCD制作の手伝いをした。それも終了して安堵。フットボールにお熱で音楽離れ甚だしく進行していた中、今回またギターとガチで向き合えた事は大変良かったと思う。一発で決められず何度も録音した割に相変わらず下手で進歩の無い演奏だったが、フレーズやら何やら自分にある「抽き出し」は全て開けた。そこから出て来たものは善くも悪くも今までの集積であり自分そのものと思っている。このような機会を与えてくれ毎度の録り直しにも快く付き合ってくれた{丸}氏に心から感謝。という事でフットボールのシーズンも終わり今は俄然音楽が聴きたい。今日は、THE BANDにMILESにMUDDYにBBと今まで手垢耳あかのついた音楽を嬉々として新鮮な心持ちで聴いている。

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