「Get Yer Ya-Ya's Out!」40周年記念デラックス・エディションが今月末リリースされる。本体は当然リマスターされ、その他に未発表ライブ、その中にはB・Bキング・アイク&ティナ・ターナーも含まれ、ライブ映像を収めたDVD併せての豪華4枚組。個人的に非常に思いでの深い盤で今から楽しみにしている。そこで今回は超私的全曲解説を一席。どうぞよろしくお付き合いの程を。
◯Jumpin' Jack Flash
スタジオ盤よりやや重めの印象。後年、激動する世界に呼応してか否か、著しくテンポアップ・ハイパー化する。しかし人肌というか、耳に優しいのはこれくらいのテンポで、自分がバンドで演奏する時はこのテイクのBPMを頭で常に鳴らしている。ミック・テイラーのダブルストップ全開の裏メロが実にお洒落。
◯Carol
基本的にルーズな演奏は好まないが、渾身の結果ルーズなのは止むなし。はなからルーズを狙うのは寸分違わぬユニゾンと同じ位難しいと考える。8の刻みに囚われると性急に成りがちだが、そこはキース。彼がチャック・ベリー・マナーで演奏する時、ビートを大きく捉え、懐深くたっぷりと弾く。結果、流石の横綱相撲。
◯Stray Cat Blues
実に重たい。この重さはちょっと真似出来ないと思う。その秘密はチャリー・ワッツの臀部にあるとみた。
◯Love In Vain
このアルバムのベストテイクと断言。後世に残るミック・テイラー珠玉のスライドワーク。
◯Midnight Rambler
その昔ギターマガジンに「Brussels Affair 1973 」というブートの「Midnight Rambler」は「Get Yer Ya-Ya's Out!」の100倍凄い!というような記事を読んだ僕は、田舎から西新宿のブート村に態々探しに行った。「Get Yer Ya-Ya's Out!」が69年、その4年後の演奏。この間、彼等は1年毎「Stcky Fingers」「Exile On Main St,」「Goats Head Soup」という場外を3本かっ飛ばした。100倍かどうかはともかく、確かに期待に違わぬ素晴らしいテイクで、ビリー・プレストンを加えた布陣は滑らか且つしなやか。70年代前半、まさに脂が乗り切った時期の演奏で、この時ストーンズはバンドとして間違いなく一つの頂点に到達していた。
◯Sympathy For The Devil
原曲はアフロアフリカンなパーカションで構築され、歌詞の内容も伴って呪術のように聴く者に絡みついてくるが、ライブではまた違った風味に仕上がっている。アンダースローのようなフワッと浮き上がってくる、ミック・テイラーのコードリフからキースの鉞リフがザックリと振り落とされる。後半のギターソロの対比も面白い。キースの直球を投げたつもりが握力無くてシュート回転になり甘く入って火だるまになったところで、ミック・テイラーがコーナー突き突きのキレキレスライダー&フォークを駆使して慌てて火消しに走るといったドタバタリレーが愉しめる。
◯Live With Me
ライブでは大ネタに混じって独特の存在感を示す佳作。映画「Shine A Light」ではクリスティーナ・アギレラ嬢にこれでもかと腰を密着させて軽くドン引きされる好色一代男ミック・ジャガー。非常に気持ち良いリフだが、休符をキチンと踏まないと、どんどん走る傾向あり。
◯Little Queenie
村八分を聴いているような錯覚に。Fujio Yamaguchiは背中にブライアン・ジョーンズの亡霊を背負って右手でキース左手でミック・テイラーのギターを一人で弾き分ける芸達者。そして本家ストーンズはと言えば、ここでは緑の膿が垂れ落ちる「耳垂れ」のような完熟した演奏。勿論褒め言葉。
◯Honky Tonk Women
サビは「♪ホ〜ォォォォオォォォォ〜」と伸ばすパターンと「♪ホーンキトンク〜ホーンキトンク〜」って連呼する2パターンあるが、個人的には伸ばす方が好き。どうでも良い事だが。ぐわし

◯Street Fighting Man
閉めは歌詞に刺激的なフレーズが並ぶ、恐らくあの時代に於いては特別な意味合いを持ったこの曲。最近はロン・ウッドが可愛いベイビーエレクトリックシタールを使って独特の雰囲気を演出してる。しかし、ここでは真っ向ストレート勝負。変化球でかわす事を許さない、そんな時代だったのかも知れない。終演後に漂う混沌がこの時期のストーンズの在り方を暗に象徴しているように思う。お粗末m(. .)m
「Get Yer Ya-Ya's Out!」40周年記念デラックス・エディションは今月25日発売。


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