ライ・クーダー&ニック・ロウ日本最終公演を観に小雨舞う中、渋谷bunkamuraオーチャードホールへ。開場待ちで溢れる入り口にはピーター・バラカン氏の顔も。我が音楽生活を正しく導いてくれる灯台のような御仁である。こうやって一般オーディエンス同様開場待ちするあたりは、まさに筋金入りのミュージック・ラバー。心で手を合わせ、いざ入場。座席は前から7列目と好位置。当然、客層は年齢高めだが、若い女性も結構いる。スーツに薄ら沁みをつけた初老の勤め人が息を弾ませ入ってきた。傘もささず、急いで駆けつけたのだろう。自分の座席を確認し歓喜の声を上げた。音楽は尊いのだ。ライブは2部構成。1部はライの倅ヨキアム・クーダーのバンドが務めた。良いバンドだった。どうやら歌っていたJuliette Commagereはヨキアムの嫁さんらしい。可愛い。そしてセッティング変更の為の幕間も終わり、いよいよリヴィング・レジェンド達の登場!なのだが、先ずは「LittleVillage」のお話を。それは、ライ&ニックにジョン・ハイアット、ジム・ケルトナーを加えた世界一地味なドリームバンドの名前。結局ライとジョンがいまいち反りが合わなかったようでご破算になったが、本日はこの「小さな村」に住む、英国生まれの洒脱な老紳士と、米国生まれのエキセントリックな音楽学者が主役。彼等は日がな一日、テラスで珈琲を啜りながら、四方山音楽話に熱中している。そして、通りかかる若いミュージシャンを捕まえては「少しは巧くなったか?」「女の娘と遊んでばかりで練習しないと巧くならんぞ」とか何とか言ってニヤニヤ笑っている。そんなオジさん達が、冷かしてばかりでも詰まらないんで、たまには一丁演奏でもやるか!と辻に立ってギターを弾き始める。一人が二人。二人が三人になってどんどん人が集まってくる。老紳士はベースとアコースティクギターを交互に持ち替え次々に歌い上げる。硬軟自在の歌声に聴衆は一気に引き込まれていく。音楽学者が操るガラス瓶は、まるで生き物のようだ。指板を上下に跳躍し時に悲鳴をあげ、時に溜息を漏らす。彼等は思う。まだまだ若い奴らには負けない。同時に、この「粋」と「技」を彼等に伝え残したいとも。そんな二人の演奏を観た若いミュージシャン達は音楽の本当の旨味を見つけて成長していく。小さいけれど至福の音楽がある村。それが「Little Village」・・・何て演奏が始まってから暫く妄想に耽ってしまったが、ニック・ロウの軽妙洒脱なR&R感はたまらんですよ。歌も滅茶苦茶良いし。でもってライ・クーダーのギターは思ってたより粗かった。しかしそれは「雑」ではなくて、瞬間瞬間に押寄せる波のような感触を捉えて、それをまたギターに乗せて返すという極めて高度な技に思えた。精巧無比というイメージだったが、とんでもない。非常に感覚的な演奏者だった。しかしスライドやっぱ凄かったな。骨の随まで感化されました。という事で来年一年はオレもオープンでしか弾かない事に今決めた!嘘!

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