昔から主役というものにさして興味が湧かず、つい傍役に目がいってしまう。端から異彩や威光を放つ人が好み。例えば中曽根内閣で官房長官を務めた後藤田正晴とか、ゴッドファーザーに於ける弁護士トム・ヘイゲンとか。慧眼無双、機知頓才な所謂「懐刀」である。これをバンドに置き換えても同様で、フロントマンよりはその後ろの人達に思いが募る。ブルーズ界にそんな僕の趣味嗜好にドンズバでハマる御仁が一人。マディが三波春夫とするならば、ハウリン・ウルフは村田英雄。噛み殺す事でしか、相手に思いを伝えられない因果者である。その生涯で卓袱台をおよそ一千万回は引っくり返した狼親父の脇で奇妙奇天烈な手裏剣フレーズをせっせと繰り出しているのが、名傍役にして今回の主役ヒューバート・サムリンでげす。年齢差20。狼親父はこの才気溢れる少年に初めこそ指示を出したものの、その後は100%お任せ。全幅の信頼を置いていたようだ。この人のギターの特徴は先ず指弾き。親指を軸にリズミックにフレーズを歌わせる。指で一気呵成にスライドアップするのがミソで、それに変幻自在のチョーキング&ヴィブラートを織り混ぜて一丁上がり。決して緻密では無いし、実際適当な部分も多々あるが、これが実にいい按配の匙加減。切先鋭く抉るようなフレーズは、寄り添うというよりは寧ろ煽る感じ。狼親父が「小僧〜」と微笑んで、宙に放り投げた卓袱台が描いた放物線。それはブルーズ史上屈指の名コンビが歩んだ美しい軌跡でもある。私的な話で恐縮だが、以前ライブの後に知らない人から「よぉ!ヒューバート・サムリン!」と声をかけられた時は家に帰って一人ほくそ笑んだっす。テへ。アクの強い一代年寄りの集合体にあって飄々と異彩を放つヒューバート・サムリンが先ずはチキン・スキンな一人目。さて、明日スタジオなんで、またヒューバート・スタイルで一発行こうかしら。

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