軍刀をゆっくり、がちゃりがちゃりと音させながら、駅を出て、鉄条網に沿って営門に向かった。
営門に入った私は、次の瞬間目の前に居る人間と鉢合わせして、仰天目をうたがった。ヘルメットの下の真っ黒に日焼けした顔に迷彩服。しかもその男は本物の自動小銃を私に突きつけて、何か大声でわめいている。
多分先方も、まさか軍刀をぶら下げて、生身の日本兵が目の前に現れようとは、想像だにしていなかったと思う。
私の方はまた、まだ米軍が本土に進駐「この言葉も聞いたことがない時点だった」したとは聞いたこともなかったので、目の前に居る日に焼けた兵士が、本物の、まだ日本軍と戦っているアメリカ兵だとは想像も出来なかった。英語も少しは習っている筈なのに、ただただ「へい」という呼びかけ以外、全く聞き取れなかったし、私もこの米兵に英語で話しかける事が全く出来なかった。しかも思い出しても私としては甚だ不甲斐なかったことに、天下の日本軍見習士官がアメリカ兵に自動小銃を突きつけられた時、とっさにホールドアップをしてしまったことである。
この後、このアメリカ兵が銃で指し示した兵舎の方へ私は追いやられた。その兵舎には仲間が顔を揃えて私を迎えてくれた。続く

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