「武士の一分」
原作 藤沢周平
監督 山田洋次
脚本 山田洋次 平松恵美子 山本一郎
出演 木村拓哉 壇れい 笹野高史
「男はつらいよ」シリーズが途絶えてからもう10年以上になる。その間02年から藤沢周平作品を隔年ごとに発表し、今回が3作目となる。どこか、底流でつながっているものを感じることができる。
三村新之丞(木村拓哉)は30石の下級武士。藩主の毒見役を勤めていたが、食中毒の後遺症のため、盲目となる。お役御免、家録の減給を防ぐため、妻加世(壇れい)は願いでる。その代償は加世の肉体だった。
それを知った新之丞は盲目にもかかわらず、武士の面目にかけて果し合いを・・・。
原作との大きな相違点は3ヶ所ある。@原作では毒見役の責任者は、領外追放という軽い刑であったが、重い切腹としている。それも切腹のショットは隣の部屋で家族が立ち合うという封建時代の身分制度の残酷な一面だ。A新之丞に気があったいとこを、口やかましい叔母に。桃井かおりのキャラクターに合わせたのだろうが、ちょっとした遊び心が効いている。B果し合いの結果は、相手は即死だが、隻腕だけを切り落としたものに。盲目、隻腕というハンディを背負って面目の代わりに幸福を得ることの許容の度合いが、それぞれのラストにつながる。
藤沢作品は市井の人を描いたものにも数多くの秀作がある。下級武士だけでなく、いつかこの領域でもスポットをあてて欲しい。