「夕凪の街 桜の国」
原作 こうの史代
監督 佐々部清
脚本 国井桂 佐々部清
出演 田中麗奈 麻生久美子
原爆という重いテーマを漫画として描いた作品に「はだしのゲン」(1972年)があるが、この作品は広島出身のこうの史代さんが漫画アクション(2003、9、30)に掲載されたものを、「半落ち」の佐々部清監督が映画化したもので、本年屈指の作品といえる。
物語は「夕凪の街」で原爆投下から13年が経過した広島の街を舞台に、26歳の平野皆南(麻生久美子)の短い命と、「桜の国」東京で同世代となった姪の七波(田中麗奈)の、広島での出来事の2部構成となっている。
本年の8月6日、広島市長平和宣言は冒頭「運命の夏、8時15分。朝凪を破るB−29の爆音。青空に開く落下傘。そして閃光、轟音−静寂−阿鼻叫喚」とある。広島の街は海と山の間に挟まれ、朝夕、山風と海風が交代し、風は止み、波は静かになる、凪のときがあるという。
原作にないセリフがある。
「なんで広島だったんだ。なんで原爆は広島に落ちたんだよ」
「…それは違うよ。原爆は、落ちたんじゃあのうて、落とされたんよ」
原爆投下で広島・長崎は21万人余が亡くなり、現在もなお被爆者健康手帳を持つ被爆者は、251,834人もいて平均年齢は74,6歳と高齢化が進んでいる。「桜の国」でも原爆投下はしょうがなかったという、発言のある中で、若い女性から、この重いテーマをどう捉えるかということは、なかなか困難といえる。映画を中心に活躍する、田中麗奈を起用し、このテーマに果敢に取り組む姿勢が溢れていて成功のひとつとなった。