「クローズド・ノート」
原作 雫井脩介
監督 行定 勲
脚本 吉田智子・伊藤ちひろ
出演 沢尻エリカ・竹内結子・伊勢谷友介
本年のこと、中学時代のクラスメイトから、ミステリー作家の雫井脩介作品を薦められて、作表作である「犯人に告ぐ」等、最新作も含めて4冊も読破したが、なかなか面白かった。そんなことで、今回の作品を早くみたいと思っていたら、例の9月29日の映画封切日の沢尻エリカさんの「別に」等の、こういうのを味も素気もないというのだろう、派手な化粧とあわせての、舞台挨拶をみてしまった。いっぺんにみる気がしなくなった。エリカさんへのバッシングがその後続くことになるが、それ以前のエリカさんの単独インタビューを偶然みたが、なかなかしっかりしていて、好感が持てたので、改めてこの作品をみることとなった。
香恵(沢尻エリカ)は、大学2回生の、教師志望で、マンドリンクラブに所属し、アパートに引越すが、そこで先に住んでいた小学校教師の伊吹(竹内結子)が残した日記を見つける。同じ頃に出会ったりゅう(伊勢谷友介)という青年に惹かれていくが、伊吹もたかしという恋人がいて、その恋の進展に香恵も自分の生き方と合わせて、話しは進んでいく。
沢尻エリカは、監督の行定勲とも波長も合ったのだろうが、天性ともいうべき感性豊かな演技力を発揮する。マンドリン演奏会で、りゅう青年が花束をもってくることになっていたのだが、届かなかったので、落ち込む。実は持ってきたのだが、先人があまりにも立派な花束だったので、渡すのをためらった結果ということが判る。アルバイト先の万年筆店での心の動きが見事だった。
あわせて、りゅう青年の部屋に手料理を届ける。浮き浮きした気持と恋人のいることを知り、打ちひしがれる廊下での、両極端の違いを自然に表現している。他の作品も見たくなった。
たかしとりゅうは、隆という同一人物であることが判る、伊吹のデッサンが、担任のこどものテスト用紙の裏に書かれていることで知るショットは、原作にはないが監督自身も加わった、脚本の最大の成果だろう。原作者のミステリー作品の中で、今回は異色のものだが、小学校教師だった実姉の不慮の事故で他界された遺品から、引用されたものがあるとのこと。それは万年筆で書かれていたのだろうか。舞台を東京から京都へと代えているが、古都は万年筆が良く似合う街でもある。