「最高の人生の見つけ方」
監督 ロブ・ライナー
脚本 ジャスティン・ザッカム
主演 ジャック・ニコルソン/モーガン・フリーマン
ロブ・ライナー監督作品に「スタンド・バイ・ミー」(86年)がある。4人の少年が寝袋片手に、死体を捜しに行くという、青春映画の傑作である。旅の途中、渓谷に架かる鉄橋を横断中、突然列車が正面から汽笛を鳴らしながら接近してくる。あわてふためき、元きた方へ引き返す。迫り来る列車…。
鉄道の営業中に、線路内に立ち入るときの安全作業心得を20年間教習したが、いつもこの場面を例にした。必ず一定の区間に設置されている待避ヶ所を退避するときは、前方の設備を利用すること。背後の列車接近に恐怖を抱き、転倒する等の事故を未然に防ぐためでもある。
ジャック・ニコルソンは、自己中心の実業家、大統領と夕食を一緒にすることもできる大金持ちである。自分の経営する病院へ入院、そこで同室となったのが、46年間、自動車修理工の勤勉実直なモーガン・フリーマン。2人の病名は、末期ガンで、余命6ヶ月しかない。そんな二人を結びつけたのは、原題となった「棺おけリスト」でやり残したことのリスト。モーガンは「荘厳な景色を見る」「見知らずの人に親切にする」「マスタングの運転」「泣くほど笑う」。ジャックはそれに加えて「スカイダイビング」「ライオン狩り」「世界一の美人にキスをする」と。
2人は病院を抜け出し、その実現のための生涯最後の冒険旅行を、ジャックの財力にまかせて、自家用ジェット機を利用して、世界を駆けめぐる。エジプトのピラミッド、インドのタージ・マハール等々。
2人が意気投合したのは同じ病名ということもあるが、それにしても白人と黒人、資本家と労働者との違いがあるにもかかわらず、これ程差別を感じさせない作品は、初めての体験で、私の最大評価する点でもある。
97分の上映時間は、あっという間に過ぎた。それは省略の練達から来るのだろう。2人はそれぞれ帰宅することになり、ジャックひとりの拡々とした邸宅。モーガンの大家族の賑わい。一転モーガンが突然倒れるが、それを足だけ撮る。ジャックの送別の辞が短いながらも心を打つ。当然ともいえるがあわせてこのショットで、ジャックの葬儀をも省略した。最大の見所は、2人の「世界一の美女にキスをする」にある。2人がお互いに思いやり、それを手助けするために親切にするのだが、すぐには実現できない。ジャックの相手となる、世界一の美女が誰なのかは、映画を見る楽しみにして欲しい。
この作品はいわば「難病」もののひとつといえる。しかし悲しい人間の死を描いていてもなお、幸福感に浸らせてくれる。ガンの友人。ガンユーの友情がそこに伺える。現在1960年代、私小説作家の外村繁・てい子夫妻が共にガンに侵され、ガンの夫妻、ガンフーと呼ばれながら、その静かな夫婦愛を描く、深尾道典、脚本・監督の映画「日を愛(かな)しむ」を製作運動中でもある。