ヨルマ・ヒュンニネンのCDを探しているうち、試聴して「これだっ♪」と思った1枚。即買い。オスカル・メリカントの歌曲集(
過去記事)につづき、伸びやかで向日性の、それでいてクールなヒュンニネンの歌唱が聴けて満足ナリ。
@Tower.jp
マーラー:歌曲集
子供の不思議な角笛
ベルンド・ヴァイクル(Br)
イリス・フェルミリオン(S)
1996年、コンツェルトハウス(ウィーン)
さすらう若人の歌
ヨルマ・ヒンニネン(Br)
1992年、コンツェルトハウス(ウィーン)
指揮:エリアフ・インバル
管弦楽:ウィーン交響楽団
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マーラー:歌曲集
「子供の不思議な角笛」
「さすらう若人の歌」
「さすらう若人の歌」は、恋人が他の男の花嫁になってしまい、傷心の旅に出た青年の心情描写。彼はふと気落ちすることもあり、突如として炸裂する金管とともに叫びもする。でもヒュンニネンの歌には、どうしようもない暗さや壊れた感じはもちろん、「若いからいいんじゃないの」と見守りたくなるような、やんちゃぶりも感じられないのよ。第1曲から立ち直りを確信させてくれる頼もしさ。ちょっと高音がしんどそうだけれども、この若者像はいいなあと思う。
インバル指揮ウィーン交響楽団の管弦楽は、この若者の旅路に爽やかな光景を用意し、安らぎと恢復に導く。思うに、管弦楽の伴奏と対峙したとき、ソリストは自ずと遠くへ向かって、きっぱりと歌うことになるのだろうか。次回取り上げる予定の、テノールの「さすらう若人の歌」はピアノ伴奏。この演奏とは全く違う若者像とさすらいの風景が感じられた、これも大好きな1枚。
さて、こちらのカップリングは「子供の不思議な角笛」13曲(「原初の光」つき)。バリトンのヴァイクルのドイツ語は、私のプレイヤーだと少し聴き取りにくい。
第1曲「歩哨の夜の歌」冒頭、
“Ich kann und mag nicht frälich sein!”
…な、何かしらんが「ワワワ…」と始まったぞ?という感じ。バレエでいうならキャラクテール、ちょっと個性的な語り手 − 優しい青鬼さん?! − による角笛なのだと思う。ソプラノのフェルミリオンは、最初聴いたときにメゾソプラノではと思ったほど低く感じられる。低いのではなくて、ひそやかだけれど強い声なのだと気づく。女声による角笛集は、ベッドタイム・ストーリーを語る慈母の声で歌われるのだな。
演奏順は、死や別離、愛惜を歌った作品が冒頭から8曲目まで続く(2曲目にお気楽なボンボンが歌うかわいらしい憧れ「この歌をひねり出したのは誰」がある)。この演奏は、管弦楽、歌手とも過剰におどろおどろしくなることなく、子供が怖がらない程度に不思議な角笛世界なんである。
9曲目に「原初の光」がソプラノで歌われ、そのあとはからかいやアイロニーを散りばめた4曲が続く。ほんとうは怖い角笛ファンタジーかもしれないが、ひとまず
「おしまい」〜

〜 と本を閉じる。