2012/7/25

ファニー・ヒル(ジョン・クレランド)吉田健一訳  小説(海外)
少し間があきました,別にこの本を読むのに時間をかかったわけではありませんが。ファニー・ヒル(ジョン・クレランド)吉田健一訳,1993年9月30日初版発行,河出書房新社。

画像1 ファニー・ヒル(ジョン・クレランド)吉田健一訳
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訳者あとがきと解説(篠田一士)があります。どちらも物故されているので,もちろん1993年のものではありません。奥付け前に編集部の名前で「吉田健一訳『ファニー・ヒル』初版は,1965年7月,河出書房新社の新シリーズ「人間の文学」の一冊として刊行されました。」とあります。あの赤い装幀のシリーズでこの本も読んでいたと思います。同じシリーズの「赤毛の男」?の方が面白かった覚えがあります。どちらも売ってしまってありませんが,その後手に入れたナボコフの一冊は紹介していました。篠田さんはこのシリーズに関係していたのか。

画像2 帯
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わざわざ今読むこともなかろうに,篠田さんの解説とこの帯の記載から。先の編集部の続きは「当時の出版事情に鑑み,編集部では慎重を期して,あらかじめ校正刷りの段階で,いわゆるホット・パートの一部削除を含む修正を加えて公刊しました。しかし当時の状況では,このような配慮すらまだ十分と言えず,再版からはさらなる修正と削除を余儀なくされました。一般に流布したのはこの再版以降の版です。」とあり,私の読んだものもそれだったらしい。だからつまらなかったわけでなく,ストーリーが何ともで。さらに「このたび『ファニー・ヒル』を再刊するにあたり,編集部では,吉田健一氏の元の原稿にもとづいて,従来の版で削除修正した部分をすべて復元しました。」とのことです。それがこの帯の記載でした。しかし河出書房新社もよく原稿をとっておいたものです,偉い。

篠田さんの解説では「・・・イギリス,アメリカの出版界では,これまでワイセツ文書頒布の罪に問われる危険ありとして刊行を見合わせていた文学作品が,どんどん日の目をみることになり,一昨63年には,すでに日本では公刊されているヘンリー・ミラーの『北回帰線』が,堂々と,その伝説的な雄姿を見せ,文壇に話題をなげかけた。」,そして「これまでおおっぴらな形では出版されないものと一般に考えられていた『ファニー・ヒル』が,初版の刊行以来214年ぶりに無削除のまま,はじめアメリカついでイギリスで再刊され・・・」とありました。先の編集部の書きぶりから見ると,当時日本で公刊された「北回帰線」は全訳でないような気がします。「チャタレー夫人の恋人」は伊藤整さんの息子さんが訳しなおされたものを読んだと思いますが,それと同じように文庫化のときに削除部分を復活したものか,わかりません。


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