それはまだ引っ越して日の浅い、ある夜の事でございました。
我が家が住んでいる場所はコウモリさんが寝床にしてしまうくらい古くて、暫く誰も住んでいなかった場所なので、確かに家庭内害虫が巣作りしてしまうにはもってこいの場所ではあったに違いありません。
とある夜、ふと天井を見上げた私の目に飛び込んできたのは・・・
脂ぎった光沢を放つ、私の天敵、ゴキゴキでございました。
夜の8時・・・。私の他には子供達以外誰もおりません。
見てしまった以上、見なかった事にも出来ず、私は泣き泣き、天井に張り付いた小振りのゴキゴキを洗剤をたーっぷりかけたティッシュで押さえ込み、手にはめた軍手ごと始末する事に成功し、ほっと取りあえずの安堵と、一抹の不安を同時に抱えたのでございます。
その夜・・・更にふけた午前2時。私は子供達の異様な興奮の気配によって目をさましました。
当時、私は子供達の不安を取り除く為、フローリング部分の床にペット用のパットを敷いて寝ていたのですが、その周りで寝ているはずの子供達が、すぐ近くで暴れているではありませんか!
私は何が起きたのか、と慌てて布団から這い出して子供達を落ち着けた後、荒らされた子供達用のタオルケットを覗き込んだのでございます。
凄まじい悲鳴は、そこに見つけたあるモノを認識した途端に私の口から発せられました。
あるモノ・・・・それは・・・胴体以外の部分がバラバラになったゴキゴキの手足だったのでございます。
そう・・・子供達は襲撃してきたゴキに果敢に立ち向かい、つまりは手足を残して食べて始末していたのです。
胴体のないバラバラ死体・・・。
なんと恐ろしい光景でございましょう。
午前2時の女性の悲鳴にも、町はしんとして、誰も助けには来てくれません。
バラバラ死体といってもゴキゴキですから、警察を呼んでも来てくれはしないに違いない。
私は得意げに見上げる子供達を牽制しつつ、バラバラ死体を泣きながら片付け、更に子供達1人1人の口を歯磨きタオルでごしごしし、やっと再び浅い眠りについたのでございます。
そして、翌日の朝6時・・・。ゴキゴキショックからまんじりとも出来ずに早く目を覚ました私は、布団から起き上がった途端に、再びどでかい悲鳴を上げることとなったのです。
なんと、私の寝ていた場所・・・丁度背中に当たる部分にかなり大型のゴキゴキが五体満足のままつぶれているではあ〜りませんか!
近所の迷惑も顧みず、立て続けに悲鳴を上げながら、私はパジャマを脱ぎ捨て、そこに張りついた足を剥がし、更に、布団にくっ付いたゴキゴキを震える手でトイレットペーパーでつまみあげ脱いだパジャマと布団は洗濯機へ、ゴキゴキはトイレへそれぞれ始末せねばなりませんでした。
↑が私の背中で圧死したゴキゴキでございます・・。TT
子供達は暢気なもので、既に場所を移して寛ぎモードです。
洗濯物にはハイターをいれ、念入りに床周りを逆性石鹸で拭き拭きし、脱水の終わった毛布やら布団やらパットやらパジャマやらをベランダに干して、一息つこうと、スリッパを履きかけたその瞬間!
午前8時・・・私の口から枯れ果てた悲鳴が上がったのでございます。
何故か片方のスリッパにもゴキゴキの圧死体が・・・

厚手のソックスの上から更に滑り止めつきのフリースソックスを履いていた私は不覚にも気付かずに更にゴキゴキを踏んづけて殺していたのでした。。。
うぎゃうぎゃ叫びながら靴下とスリッパを三重にゴミ袋に詰めた私は、風呂場へ直行し全身を清めた後、朝の10時を待って、並びのドラッグストアに直行し、ホウサン団子を2箱、ゴキジェットプロを1本買って帰り、でそうな場所に片っ端から仕掛けて回りました。
ゴキジェットはすぐに臨戦態勢に入れるように手に届く位置に常備、軍手とラテックスの手袋、洗剤、トイレットペーパーも並べて、戦闘に備えたのは言うまでもありません。
更に、もう床では寝られない!と大慌てでベッドにもなるカウチソファを購入しました。
やがて、1月近くが経ち、団子の効き目かカメムシ以外で悲鳴を上げなくなったつい昨日・・。
現れたのです

天敵が!!!
かなり大きいそいつは、ずうずうしくも私のお気に入りの仙台ダンスをかさかさとのぼり、上にたどり着いた所でどうやら一休みするようでした。
仙台ダンスの美しい色合いに、幾ら同じ茶でも、ヤツが同化できると思ったら大間違いです。
下では子供達が寛いでいるので、戦闘はタンスの上で終わらせなくてはなりません。
凄まじい恐怖と戦いつつ、私は壁側に追い詰めるようにゴキジェットをヤツに向けて連射しました。
テレビの宣伝のように本当に効くのかは半信半疑でしたので、僅かでもヤツの体が動くたびに、私は狂ったようにトリガーを引き続けたのでございます。
仙台ダンスと上の小物達を薬剤でびしょびしょにした頃、戦闘は終結しました。
そう。私は天敵を正面から倒す事に成功したのです。
まさしく任務完了!
貞子より、ジェイソンより、フレディよりずっとずっと恐ろしい強敵をトイレに葬り、取りあえず、その夜はまたまた新たなホウサン団子をあちこちに仕掛けて、カウチで一時の安らぎを得たのでございます。
と・こ・ろ・が
パパがスリッパじゃなくてスリッポンが欲しいと駄々を捏ねてゲットしたのが、これまたゴキブリ大王のよーな代物!!!
色といい、形といい、うんざりする程、茶羽色のスリッポンはヤツを連想させてやみません。
↑何て嫌味な性格なんでしょぅ
そうして、今日の今も、新たな戦いに備えて、私はゴキジェットを傍らにこれを打っているのでした
ちなみに・・・ゴキゴキをばりばり食したらしい子供達を心配して、獣医に相談したところ、ちゃんと胃の中で解けるそうでございます。。。
これから先は正にヤツらの季節。
カメムシにカマドウマ・・・死闘は続くのでございました

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