琵琶湖はPrussian blueの湖面にさざ波が立ち、
ところどころ光って鈍色。そして風の冷たかったこと。
冬は まだやっと序盤なのにね
日時:2006年12月17日(日) 午後4時開演
会場:びわ湖ホール(大津)・中ホール
出演:Noism06(ノイズム ゼロシックス)
■black ice(ver.06)
振付:金森穣
美術:高嶺格
衣装:堂本教子
音楽:権代敦彦
(The Biginning of the End/After the End)
*いずみホール、紀尾井ホール、
白川ホール委託作品
出演:井関佐和子、佐藤菜美、中野綾子、
平原慎太郎、宮川愛一郎
■solo,solo
振付:大植真太郎
衣装:Mylla Ek
音楽:Shlomi Frige
出演:青木尚哉、石川勇太、井関佐和子、
金森嬢、佐藤菜美、高原伸子、中野綾子、
平原慎太郎、宮川愛一郎、山田勇気
■Siboney
振付:稲尾芳文/クリスティン・ヒョット・稲尾
衣装:Alin Stern
出演:青木尚哉、井関佐和子、金森嬢、
佐藤菜美、高原伸子、中野綾子、
平原慎太郎、宮川愛一郎、山田勇気
Noism06(ノイズム ゼロシックス)の大津公演(びわ湖ホール)“TRIPLE VISION”に行きました。オリジナル作品を上演する日本のコンテンポラリー・ダンス・カンパニーを観るのは初めてです。
日本のコンテンポラリーや舞踏は、これまで特に好んで見るというほどではありませんでした。しかし、Noism大阪公演を観に行かれたダンス・ファンの感想に、女性ダンサーの身体能力の高さ、フォルムの美しさを賞賛されたものがあったので、それ以来、ぜひ観たいと思っていました。
今日の舞台を観て、まず賞賛したいのはこのカンパニーの芸術監督であり、作品の振付家にしてダンサーでもある金森穣(かなもり・じょう)さんです。あたりまえか。
女性ダンサーの資質については、私の求めるものが他にあるということで。
“TRIPLE VISION”は、金森さんの作品の他に、外部から振付家を招聘してカンパニーのために創作された2作品を上演するということでした。
う〜ん、まだ活動3年目ということで、金森さん以外のダンサーが未完(の大器?)という印象が強かったです。今日上演された外部振付家による作品そのものの完成度、それを踊るダンサーたちの作品理解とか動きの咀嚼も未だし…の感ありです。
そして今日一番の収穫は、ダンス・ファンとしての私は肉食嗜好なのだとわかったことです。バレエつながりの友人の中では、かなり理屈っぽくくだくだと言葉を尽くしますが、実は感覚的にぴーんと来たことに言葉で後付けしてるだけだったのね。
公演後のアフター・トークで、カンパニーのダンサーたちに対する質問
「金森さんはダンサーの皆さんにどんなことを求めたか」
について、青木さんが答えた
「(僕の)すべてを差し出せ」(金森さんに?観客に?)
に、大いに頷きました。彼らのパフォーマンスからは、観客の私にすべてを差し出していると思えるところがほとんどないのよ。だから、身体能力の高い学校ダンス部員を観てる心地がするの。
それに対して金森さんのダンスには、観客にすべてを差し出すことのできる者だけに表出する色気があるの。それこそがプロだと思うよ。
女性ダンサーのコメントを聞くと、彼女たちの何人かは金森さんの言うことを理解しているし、そこまで到達したいともがいているようにも感じました。がんばれ。
今日の作品の中で、この2年間踊りこんできた“black ice”には金森さんが要求した演劇的なところが垣間見えて、ダンサーはセクシーだった。5人で激しく動きながら絡まっていくシーンは、計算されつくした面白さが見えました。
◆結論
また観に行こうNoism。来年は07になるそうな。
金森さんの作品の再演、再々演を特に注目しよう。
◆つけたり
観客にすべてを差し出すことのできる者だけに表出する色気がある。それこそがプロだ。というのは、私見です。私は肉食ダンスファン。そういう観客は、目でダンサーにむしゃぶりついていく。今日、ダンサーの高原さんが「身体も頭も、その奥も」と答えていたけど、肉食ファンはそういうのが大好物なんだな。
Noismファンには、私のような蛮族はおるのだろうか。今日の質問者は語彙の豊富な思索者さんばかりであった。
◆独断、極私的「観客にすべてを差し出すことのできるダンサー筆頭」
男性:ウラジーミル・マラーホフ
(ベルリン国立バレエ団の踊る芸術監督)
女性:ベルニス・コピエテルス
(モナコ公国モンテカルロ・バレエ団)
肉食を自認していても、正視できないときがある。すばらしいダンサー。負けずに、もとい、目をそらさずに観られる観客になりたい。

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