脚本 A.ピオトロフスキー、F.ロプホーフ、
音楽 D.ショスタコーヴィチ、
振付 A.ラトマンスキーによる2幕のバレエ
ロシア国立ボリショイ・バレエ
明るい小川
ブライト・ストリーム〜ある田園の風景
日時:2008年11月24日14時開演
(終演15:50ごろ)
会場:びわ湖ホール(大ホール)
指揮:P.クリニチェフ
管弦楽:ボリショイ劇場管弦楽団
《キャスト》
ジーナ(ピョートルの妻):E.クリサノワ
ピョートル(農業技師):A.メルクーリエフ
バレリーナ:M.アレクサンドロワ
バレエ・ダンサー(バレリーナのパートナー):S.フィーリン
アコーディオン奏者:岩田守弘
初老の別荘住人:A.ロパレーヴィチ
その若作りの妻:A.ヴィノクール
ガヴリールィチ(品質検査官):A.ペトゥホーフ
ガーリャ(女学生):K.プチェルキナ
搾乳婦:A.アントローポワ
トラクター運転手:I.プラージニコフ
他、ボリショイバレエ団
豪華キャストのコメディでした。
舞台美術はソ連の農場の祝祭感?に彩られ、舞台衣装の花柄ワンピースやスラックスが、チュチュやタイツ、時代がかった装束を見慣れた目には新鮮。ダンサーたちが若々しく見えます。
コルホーズのクリサノワとメルクーリエフそして芸術慰問団のアレクサンドロワとフィーリンという、主役カップル2組のコントラストが、舞台上の役作りには見えないほどいい案配に見えるキャストです。
私にとってメルクーリエフは、マリインスキー時代にラトマンスキー版の「シンデレラ」の王子で見て以来5年ぶり。男ぶりをあげ、それでいてどこかちょこっと3枚目。
クリサーノワは細身で、目立たないけれど実は成績優秀な女学生のようなたたずまい、踊りもソツなく温和しい。
そしてアレクサンドロワ! 少しつり上がって見える黒い大きな瞳、赤いダリアの花を思わせる笑顔、大柄でしなやかな身体から発散する姉御肌のプリマ・オーラ、は、この役どころにぴったりです。男装で踊るところは、ある意味フィーリンより男前かと。男勝りではなく、あくまでも大輪の花。
衣装もよかったです。クラシック・チュチュだと上半身のごつい感じが目立ちますが、男装だと、痩せてしまったかと思うほど細身に見えました。終幕のデコルテが大きく開いたワンピースは、肩幅の大きさが強調されたかな。
フィーリンのバレリーナは思ったより出番が長く、お芝居、踊りも盛りだくさん。あれだけ演技して、バレリーナらしいラインを要所でキメ、笑えるキャラを作り、芸達者を披露。ほんとにダンサーを引退してしまうのでしょうか。もう古典の王子は踊らないとしても、何か新しい脚本で(コメディだけじゃなく)、スターを観る楽しみを私たちにくださいな。
それから女学生ガーリャ役のお芝居上手のプチェルキナが、かわいらしい。
そして岩田さん!
女学生ガーリャとのエピソードは見どころのひとつです。旅回りのエンターテイナー集団の中、小柄な東洋人ながらケレン味たっぷり。彼が引っぱる群衆のノリが、客席まで伝わってきました。
最後に…フォルティシモで吹き鳴らしても絶対コケないトランペットといい、オーケストラは堅実で盛大でした。
オケを帯同した来日公演、大歓迎!

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