先日紹介しました永六輔さんのお話し会について、長野県上田地域の生活情報紙「週刊上田」に掲載された記事を、こちらも許可をいただいたので、ここに転載いたします。どうぞお読みください。
なお、週刊上田のホームページはこちらです。
http://www.weekly-ueda.co.jp/
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エディターズミュージアム
永六輔さんがトーク
爆笑のなかに いまを見つめ 本を語る
上田市出身の名編集者・小宮山量平さんが出版した書籍や蔵書を公開する「エディターズミュージアム」で9日、作家の永六輔さんがオープン記念トークを行い、約100人の参加者が軽妙な話芸に耳を傾けました。
永さんは「私は放送畑なので、その脚本はかつてはガリ版刷り。本をつくるという仕事にずっとあこがれていた」と切り出し、「ここに展示され、手にとってみることのできるこれらの本にはみな“思い”というものがつまっている」「今つくられている多くのもの、本、映画、テレビなど、(あらゆる分野で)心をこめてつくるということがなくなっている。つくり手の努力が報われない社会になっているのではないか」。
そして、友人の作家・野坂昭如や俳優・小沢昭一らと続けている戦争を語り継ぐ活動、教育現場における日の丸・君が代の強制、靖国問題などに独特の笑いを交えた話術で言及し、「ここには小宮山さんが編集し、GHQの検閲で削られた季刊『理論』が何気なく置かれていますが、たとえば、話せない、書けないというようなことは、今でも当たり前にある。大切なのは、疑ってみることです」。
「私は本のある場所が好きです。たとえ読まなくとも、こんな本を書いた人がいたと思うだけで幸せになる」「この館にはまず、上田の人がたくさん訪れ、その一人ひとりが、“こんなに素晴らしいところがある”と伝え、全国に“ここは大事な場所なのだ”ということを広めていってほしい」と結びました。
同ミュージアムでは今後、「編集者講座」として、戦後の書籍文化を紹介する連続講座を開講。12月24日には上田市の情報ライブラリーと共催で、映画「人間の條件」上映と小宮山さんの講演「五味川純平との出会いと彼らの青春―『人間の条件』はこうして生まれた」を、1月には作家の灰谷健次郎さんと鎌田慧さんによる講座を予定しています。
問い合わせは、同ミュージアムTEL0268-25-0826まで。