1月31日週刊上田掲載記事
さくら国際高 開校4年記念フォーラム
”地域で子どもを育てる教育を”
小宮山量平さんが基調講演
上田市手塚のさくら国際高校は開校4年目を記念して15日「地域でこどもを育てる教育フォーラム」を市内のホテル祥園で開きました。
不登校や引きこもりの生徒らを受け入れる通信単位制の同高校は、国の構造改革特区制度による県内初の株式会社立の高校として、06年4月に旧西塩田小学校校舎内に開校。現在、在学生約870名のうち「通学型」の生徒約100名が通います。
地域との交流を教育の柱に据える同校では、地元の祭りや同校舎内で開く民話フェスティバル、自治会が実施するため池の周囲への植栽などにも積極的に参加し、今では地元住民から頼りにされる存在となっています。
フォーラムには、上田市の森大和教育長、同校の荒井裕司学園長、清川輝基校長、塩田地域協議会の大口義明会長、塩田平民話研究所の稲垣勇一所長がパネリストとして出席。開校から今日までを振り返り、「塩田平にやってきたのは周囲に豊かな自然が残されていたから。”学校の中に地域を”との理念のもと、地元の行事にはすべて参加し、生徒たちは生きる力を学んだ」(荒井さん)、「開校の年、もちつきに参加した生徒たちの笑顔が忘れられない。今では彼らがいないと行事が成り立たないほどの関係」(大口さん)など、地域ぐるみで子どもたちを育てる大切さについて熱く語りました。
またパネルディスカッションに先立ち編集者・作家の小宮山量平さんが基調講演。「世界は今大変動期にあり、常識をひっくり返して自身を見つめ直さなければならないところまできている」とし、小社刊の「昭和時代落穂拾い」3部作で示した新たな哲学、回帰(踏みとどまって考える)、受容(互いに受け入れることの大切さ)、漸進(それらの実現に向かってゆっくりと確実に歩む勇気)を紹介。
良寛の書にある「あそびをせんとやうまれけむ」を示して、「この世に生れてきた子どもは生きることを楽しまなければいけない。子どもたちにいい空気と緑をたくさん与え、大人たちは子どもたちからたくさんの幸せをもらう。そうした世界に向かってゆっくりと歩む勇気を持てるかどうかが問われている。子どもの声がさんざめく街になるよう、新しい教育が生まれることに期待したい」と語りました。