戦争考える場に
7月に倉本聰さんの舞台 市民有志実行委員会設立へ
信濃毎日新聞 3月2日掲載
脚本家倉本聰さんの脚本・演出による舞台「歸國」が7月に上演される上田市で、市民有志が10日、信濃毎日新聞社と共に公演を主催する地元実行委員会を設立する。舞台のテーマは「戦争」で、ことしの県内公演は同市のみ。有志は公演に向けてさまざまなイベントを企画し、戦争についてあらためて思いを深めたいとし、若い世代も含め広く実行委員会への参加を呼び掛けている。
高校生らを対象に平和学習など計画
歸國は、戦死した日本兵たちの霊が現代の東京へ帰って来て、それぞれ思い出の場所へ散っていく物語。戦没画学生のエピソードも盛り込まれ、上田市古安曽の戦没画学生慰霊美術館「無言館」が登場する作品だ。
同市在住の編集者小宮山量平さん(94)が脚本を読み、「上田でぜひ上演したい」と発案。小宮山さんが創設した出版社「理論社」(東京)は、テレビドラマ「北の国から」の原作や全30巻のシナリオ集など倉本さんの作品を多数出版し、二人は旧知の間柄だ。歸國を演じている「富良野GROUP(グループ)」を通じて話が進められ、7月10日に上田市民会館で上演すると決まった。
市民有志は現在6人。実行委の設立準備会では、高校生が原作を読んで平和学習をする機会を設け、戦争を体験している小宮山さんに若者向けに戦争を語ってもらうーなど、公演前の企画について意見を交わしている。
有志の一人で小宮山さんの長女、荒井きぬ枝さんは「父がいて無言館がある上田は、倉本さんとゆかりが深い場所。世代を超えて協力を呼び掛け、公演に向けて機運を盛り上げたい」と話している。
実行委員会設立総会は午後6時から、荒井さんが運営する「エディターズミュージアム」(上田市天神1)で。問い合わせ、参加申し込みは、火曜日を除く午前11時〜午後5時に同ミュージアム(☎0268-25-0826)へ。