小宮山量平さん「お別れの会」
信濃毎日新聞 平成24年7月11日 掲載
理論社を創業して戦後の出版界をリードし、4月に95歳で亡くなった上田市の編集者で作家の小宮山量平さんの「お別れの会」が10日夜、上田市内で開かれた。
小宮山さんの遺言で葬儀をしなかったため、「感謝の気持ちを伝えたい」と20人ほどの市民有志らが企画。県内外から約150人が出席した。
お別れの会呼び掛け人代表の会社社長、鈴木哲さん(62)=上田市材木町=は、小宮山さんが手がけた本などを集めた上田駅前の「エディターズミュージアム」について、「子どもたちと静かに本を読めるこの環境を、末永く残していくことが私たちの宿題です」とあいさつ。
理論社の元編集長、後藤洋一さん(67)=東京都稲城市=は、小宮山さんが責任編集した児童文学者、椋鳩十さんの全集について「(読みの深さや編集の手際が)魔術のようで、いま目次を読んでものすごさを感じる」とした。
小宮山さんの長女で同ミュージアム代表の荒井きぬ枝さん(64)=上田市天神=は第4部まで出た小宮山さんの自伝的小説「千曲川」について「父は(構想中だった)第5部は『希望』がテーマだと言っていた。希望とは、家族や出版関係者、父を温かく迎えてくれた皆さんとの出会いだったのではないか」と述べた。