二週間、ブログを休んでいました。「ほんとうに行くんですか?」────周囲の方たちが心配してくださる中、そして私自身不安な思いを抱きながら、毎年暮れに訪れるパリへ今年もその予定を変えることなく旅立ちました。 12月1日、16時(現地時間)到着。その前日からパリで開催されていた「COP21」のための交通規制で、大変な渋滞に巻き込まれてしまったことを除けば、3週間前に起きた同時テロの影を直接感じるようなことはありませんでした。パリの日常が淡々と営まれている・・・・・私にはそんなふうに思われました。日本にいて、「厳戒体制のパリ」を想像していたのですが、“ふつうどおりの生活”をつらぬこうとしているパリ市民の姿勢を感じました。「これは戦争だ」と言って空爆を拡大したオランド大統領への無言の抵抗ででもあるかのようでした。ただ、市民の鎮魂の思いの深さは強く感じました。クリスマスのイルミネーションはいつもの年ほどの輝きはなく、至る所に三色旗がかかげられていました。けれど私は思ったのです。この同じ時期に、内戦で、あるいは空爆で亡くなった一般市民がどれだけ多くいることか・・・・・。その人たちの死は報道されることもなく、悼まれることもないのです。空爆は次の憎しみを生むだけです。そのなかで、毎日失われていくひとつひとつのいのちの大切さを思わなくてはいけません。パリにいた一週間、私はそんなことを考えていました。12月9日帰国。
2015.12.16 荒井 きぬ枝
夜のサンジェルマン・デ・プレで
この時期にしては暖かく、晴れの日が続きました。
帰る日の午後、雨が降りました。
モンパルナス墓地で。