高校生就活、関西に逆風…採用試験開始(読売新聞)
来春卒業予定の高校生に対する企業の採用試験が16日、全国で解禁され、JR西日本などが筆記試験や面接をスタートした。厚生労働省によると、全国の求人倍率(7月末現在)は前年同期を0・07ポイント上回る0・75倍でやや改善したが、近畿や中四国では全国平均を下回る地域が多く、依然、厳しい就職戦線が予想される。各地の教育委員会や学校では、求人開拓の専門教員を都市部に配置したり、後輩の就職に影響する早期離職を防ぐため、入社後も卒業生の悩み相談に応じたりと、地道な努力を続ける。
「シャープ関連企業からの求人が一気になくなった」。そう漏らすのは工業高などが統廃合し2008年に開校した堺市立堺高の進路担当者(58)。地元には09年に稼働したシャープの堺工場があり、企業が指定した高校のみを採用対象とする「指定校求人」を受けてきた。1期生が就職活動に臨んだ2年前は関連企業を含めて15人、昨年度は5人の指定校求人があったが、経営不振からか今年度はゼロに。ただ、鉄鋼、機械メーカーの求人は増えつつあり、約100人の就職希望者数を超える求人は確保できた。担当者は「工業系の技能や経験が強みになっている」と話す。
普通科の就職事情はより厳しい。大阪府池田市の府立池田北高では、100社以上あった求人が、東日本大震災以降は減り、今年度は58社に。一方、就職希望者は53人で2年前の約2倍。進路指導部長(59)は「大卒の就職も厳しく、経済的に無理して進学する必要がないと考える家庭が増えた」とみる。今春の卒業生で最後の1人の就職が決まったのは4月。今年度も就業体験や就職講座などで粘り強く指導を続ける。
08年秋のリーマンショック後、県外からの求人が半減した高知県。県教委は2年前から大阪市と名古屋市に非常勤職員の「就職アドバイザー」を一人ずつ置き、求人開拓のための企業回りに力を入れる。昨年度は計176社、今年は7月末までに計84社を回った。高知から生徒が試験で訪れた際には、駅から企業までの案内役も務める。
京都府教委は「外部の人より、生徒のことも企業のことも知っている」と、進路指導経験が豊富な副校長ら教員OB4人を「高校就職支援教員」として再雇用。4人は地域、学校ごとに分担を決め、年間延べ約2000社を回る。「指定校求人」は年々減り、高校を特定しない「公開求人」が増えつつある。府教委は「選択肢が広がる一方、生徒の競争が激しくなっている」と警戒する。

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