経常収支、過去最少の黒字に 揺らぐ輸出立国(朝日新聞)
日本経済を支えてきた「輸出立国」という成長モデルが揺らいでいる。海外への輸出や投資のもうけなどから輸入などを差し引いた経常収支が、2013年に過去最少の黒字(比較ができる1985年以降)になったからだ。これから日本はどうやって稼いでいくかが問われている。
財務省が10日に発表した13年の経常収支は、85年から29年続けて黒字を保ったが、黒字額は前年より31・5%減って過去最少の3・3兆円にとどまった。2年続けて最少を更新し、ピークだった07年の24・9兆円の7分の1以下に減った。
最大の理由は、輸出額から輸入額を引いた「貿易収支」が10・6兆円の大幅な赤字になったことだ。東日本大震災後に火力発電の燃料となる天然ガスや石油などの輸入が増えたところへ、輸入品が割高になる円安が進み、輸入額が前年より15・4%増えた。円安で売り上げが増える輸出額は9・0%増にとどまった。
一方、日本企業の海外子会社でのもうけから海外企業の日本でのもうけなどを引いた「所得収支」は15・8%増えて過去最大の16・5兆円の黒字になった。この伸びが貿易赤字を埋め合わせ、経常黒字を保った。

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