フィアット・クライスラー、株安で統合・成長計画揺らぐ(ロイター電)
8月14日、イタリア自動車大手フィアットのマルキオンネCEO(写真)は米子会社クライスラーとの統合を進めているが、株価の下落によって、世界首位に躍進するという計画に急ブレーキをかけざるを得くなる可能性がある。
イタリア自動車大手フィアット(FIA.MI: 株価, 企業情報, レポート)のマルキオンネ最高経営責任者(CEO)は米子会社クライスラーとの統合を進めているが、株価の下落によって、世界7位の自動車メーカーから首位に躍進するという計画に急ブレーキをかけざるを得くなる可能性がある。
フィアットは2014年初めにクライスラーを買収し、両社は1つの企業として活動している。同CEOは、両社をフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)という1法人に統合したい考え。世界で勢力を拡大し、480億ユーロ(640億ドル)を投じる成長計画のカギを握る、米国での株式上場への地固めが狙いだ。
だが、その計画の地盤が揺らいでいる。多くの株主が統合に反対し、フィアットが本社をイタリアからオランダに移転させることで生じる一定価格での株式売却権を行使すれば、合併は頓挫することになる。最近の株安などの状況でその可能性は高まっている。
マルキオンネCEOの投資計画には無理が多いとの懸念に加え、フィアットの直近の決算の不振や低調な市場環境を受けて株価は年初来安値を更新。統合時に株式売却を望む投資家に提示されている設定価格(7.727ユーロ)を下回る水準で推移している。
適格株式の約9%を保有する株主が売却を決めれば、フィアットが設定した5億ユーロの支払限度額を超えてしまい、統合は危うくなる。同社には買い取った株式を他の株主に渡した後、売却額と同じ価格で一般に売る機会があるとみられるが、市場価値が低下し続ければその可能性は低くなる。
ミラノ・ビコッカ大学の運輸アナリスト、アンドレア・ジュリシン氏は「きょうの株価からすると、統合が遅れる可能性がある」と指摘。その上で「もし遅れることになれば、外国人投資家を引き付けて資金調達を容易にするとのフィアットの計画に影響が及ぶだろう。マルキオンネ氏が逆のことを言って市場を説得しようとしているのは、彼が少し焦ってきているからだ」と述べた。

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