FRB、大手銀の監督業務を見直し―議会の批判に対応(WJ)
米連邦準備制度理事会(FRB)は20日、大手銀行の監督業務を全面的に見直すと発表した。FRBの内部文化が反対意見を抑え込んでいるとの批判に対応した形だ。FRBによると、今回の見直しでは、上級職員が極めて規模の大きい金融機関に影響する決定を下す際、「決定者が異なる見解を認識するルートは存在するか」など、十分な情報に通じているかどうかに重点が置かれる。FRB職員のチームと、FRB監察官が別々に問題を調査するという。
議員などの間では、FRBが金融業界とあまりにも密接で、検査官には大手銀の監督に関して十分な客観性がないとの批判が強まっている。 2008年の金融危機から数年を経て浮上したこの批判には、ここ数週間で火が付いている。ニューヨーク地区連銀の元銀行検査官、カーメン・セガラ氏は、金融大手ゴールドマン・サックスへの厳しい対応を要求したところ、複数のケースで上司から撤回を求める圧力に直面したことを明らかにした。同氏が公表したFRBの内部会合記録では、当局がゴールドマンへの強硬な対応を渋っている様子が浮き彫りとなった。
ニューヨーク連銀はこうした疑惑を否定している。だがこの報道により、FRBの銀行監督に対する議会の追求は加速している。21日には、ニューヨーク連銀のダドリー総裁が上院銀行委員会の公聴会で証言する予定。この公聴会では、規制機関が規制対象企業となれ合いの関係になる状況を指す「規制のとりこ」について検証する。ダドリー総裁をはじめとするFRB高官は、FRBがとりこになっているとの説を否定し、監督改善に取り組んでいると主張している。
ニューヨーク連銀が20日公表した21日の証言原稿によると、ダドリー総裁は「われわれは完璧ではない。金融機関の過ちの全てを把握・是正することはできず、時には間違いを犯す」とした上で、「だが個人的には、金融危機以降に銀行の体力と安定性が改善したことが、監督の有効性を測る正しい尺度だと考えている」と述べた。
FRBの監督業務はワシントンのFRB本部内にとどまらず、大手銀行内には「検査チーム」と呼ばれる人員が数百と常駐している。FRBの法律顧問を務めるスコット・アルバレス氏と、FRBの銀行監督規制局のマイク・ギブソン局長は、FRB監察官に宛てた17日付の書簡で、こうした検査チームの意見が取り上げられているかどうかに見直しの重点を置くべきだと主張した。
両氏は書簡で「意思決定者は大手金融機関の検査に関して適切な決定や監督上の結論を下すため、完全な情報や、検査チームのメンバーの情報に基づく意見を入手できなければならない」と指摘した。民主党のシャーロッド・ブラウン上院議員(オハイオ州)はFRBの動きについて、実現には時間がかかるとの見方を示した。
同議員は「6年以上前、規制当局が規制対象の銀行となれ合いになったとき、われわれは雇用や退職後の蓄え、住宅を失うという損害に直面した。FRBが金融業界ではなく消費者を守るということを、言葉ではなく行動で示す時期が来ている」と述べた。

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