燃料転換アセス対象に 「石炭」への改造で 関電の赤穂発電所(神戸新聞)
関西電力が赤穂発電所(兵庫県赤穂市加里屋、出力計120万キロワット)の燃料を石油から石炭に転換する計画を、環境省が環境影響評価(環境アセスメント)の対象に加え、計画の見直しを迫る方向で検討していることが分かった。二酸化炭素(CO2)の排出量増加が見込まれながら、従来の制度ではアセス対象外。同省は「地球温暖化対策に逆行する」とし、赤穂を含め全国の火力発電所へのアセスを厳格化する方針だ。
同発電所は1987年に2基が運転を始めた。関電は今年3月、この2基について、割高な重油・原油から安価な石炭への燃料転換を発表。燃料費を減らし、稼働時間も長くできるという。本年度中に着工し、2020年度の運転開始を目指す。石炭火力発電所のCO2排出量は、石油の1・24倍、液化天然ガス(LNG)の2・29倍とされる。同省や地元自治体はアセスを通じて、CO2排出対策などを意見できるが、赤穂発電所のように設備を一部改造するだけの燃料転換や、出力11万2500キロワット未満の小規模発電所は対象外だ。
一方、東日本大震災の影響や電力自由化を見据え、各地で石炭火力発電所の建設計画が相次いでいる。環境省は「このままでは政府の『30年までに13年比26%減』というCO2削減目標を達成できない」と危機感を抱く。12日には、山口県での建設計画のアセスで「新設は是認しがたい」との意見書を提出した。
こうした流れの中、5月、同省内の有識者委員会で、赤穂など「アセス逃れ」のケースが問題視された。同省は、火力発電所の新設を抑えるため、燃料転換や小規模発電所にも、アセス実施を義務付ける検討を始めた。
関電広報室は「赤穂発電所は燃料転換によってCO2排出量が現行より2〜3割増えるが、排出量が少ない原発の再稼働や自然エネルギーの拡大などによって、関電全体で抑制していく。自主的なアセスも実施する予定だ」としている。
発電所やダム、鉄道、空港など大規模な開発事業を決める際、環境にどのような影響を及ぼすかについて、事業者が事前に調査、予測、評価した結果を公表し、国や地元自治体、住民などから意見を聞く制度。環境影響評価法で実施が義務付けられる。

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