一進一退の展開か 日銀短観が焦点(先読み株式相場)(日経新聞)
1日の東京株式市場で日経平均株価は前日終値を挟んで一進一退の展開が予想される。ギリシャ債務問題を巡る世界的な株安連鎖にひとまず歯止めがかかり、投資家心理は改善に向かいつつある。心理的節目の2万円を維持しているだけに根強い先高観から買いが入る場面もあるだろう。半面、週末の米雇用統計発表などを控え、持ち高を一方向には傾けにくい。寄り付き前発表の6月の企業短期経済観測調査(短観)などが短期的な相場の方向性に影響を与える可能性もある。
一進一退の展開か 日銀短観が焦点(先読み株式相場):ユーロ圏19カ国の財務相は6月30日夜の緊急電話会議で、ギリシャが同日午後に新たに提案した金融支援策を受け入れない方針を確認した。欧州連合(EU)などからの金融支援は期限切れを迎え、ギリシャは国際通貨基金(IMF)に債務を返済できなかった。前日の欧州株式相場は下落が目立ったものの、米株式市場でダウ工業株30種平均は前日比23ドル高と小反発した。
きょうの東京市場でも、こうした流れが相場の支えとなりそうだ。外国為替市場で円相場は122円台半ばと、ギリシャ懸念で揺れた前日の東京市場より円安・ドル高に振れていることも支援材料。6月30日のシカゴ市場で日経平均先物9月物(円建て)の清算値は2万0210円と、大阪取引所の清算値(2万0230円)を20円下回ったが、他市場に先駆けて買い戻しが進んだ日本株相場とあって、模様眺めムードが強いなかで底堅い展開も考えられる。
きょうの焦点は日銀短観だ。QUICKがまとめたエコノミスト予想によると、大企業製造業の業況判断指数(DI)はプラス12と、3月調査から横ばいになる見通し。半面、訪日観光客の増加がけん引し、大企業非製造業のDIはプラス22と前回から3ポイント改善するもようだ。市場では「業況感に改善がみられれば、緩やかな景気回復期待から日本株の支えとなる」(フィリップ証券の庵原浩樹リサーチ部長)との声が聞かれる。先行き見通しや設備投資、在庫にも注目が集まる。
個別は政府が閣議決定した骨太方針と成長戦略を受け、IT(情報技術)や医療関連銘柄に改めて関心が集まりそうだ。公募増資発表後に急落したソニー(6758)の動向も焦点。資本増強を受け、国内外の格付け会社が相次いで格下げしたシャープ(6753)の値動きに留意する必要がある。経済指標では6月の新車販売台数や軽自動車販売台数、6月の百貨店各社の売上高速報が予定される。海外では中国の国家統計局が6月の製造業購買担当者景気指数(PMI)を発表する。米民間雇用サービス会社ADPは6月の全米雇用リポートを発表。6月の米新車販売台数や6月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数も発表される。

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