ゆうちょ銀行の上場動向(ロイター)
東京証券取引所は10日、日本郵政と傘下のゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の3社から申請があった株式上場を正式に承認した。過去に例のない「3社同時上場」は11月4日となり、2005年の小泉改革以降、10年にわたり曲折を続けた民営化が動き出す。政府は、2、3年に1回のペースで郵政株を売却し、復興財源4兆円を確保する方針だ。
東証からの上場承認を踏まえ、日本郵政とゆうちょ銀、かんぽ生命の3社が同日、株式の新規公開(IPO)を決議した。郵政株を保有する財務省が4億9500万株を売り出す一方、日本郵政は保有するゆうちょ銀株の一部である4億1244万2300株、かんぽ生命も6600万株を売却する。
初回売り出し価格は現時点で日本郵政1350円、ゆうちょ銀1400円、かんぽ生命2150円と想定し、3社合計の売出総額は1兆3875億円と、日本企業のIPOとしてはともに2兆円を超えたNTT(9432.T)、NTTドコモ(9437.T)に次いで3番目の規模となる。
今後、政府は主幹事証券会社と発行体である日本郵政とともに国内外の投資家を訪問し、どの程度の需要があるかを慎重に見極める。その後、10月7日に各社の仮条件を提示し、10月19日にゆうちょ銀とかんぽ生命の売出価格を、10月26日に日本郵政の価格を決める運びだ。
日本郵政の連結純資産は15.3兆円となっており、日本郵政としての時価総額はこれを下回る。上場後の郵政株の値上がりに期待する声が強まれば、昨年から始まったNISA(少額投資非課税制度)との相乗効果で、高齢者を中心に新たに株式投資に参入する動きが広がりそうだ。
また、3社は16年3月期の業績予想を公表。それによると、日本郵政の経常利益は前期比22.9%減の8600億円、当期利益は同23.3%減の3700億円。1株当たり配当金は23円。ゆうちょ銀の経常利益は前期比19.2%減の4600億円、当期利益が同13.3%減の3200億円。1株当たり配当金は25円。かんぽ生命の経常利益は前期比29.0%減の3500億円、当期利益が同3.3%増の840億円、1株当たり配当金は56円の見通し。

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