ギリシャが改革の詳細でユーロ圏と合意、10億ユーロの融資獲得へ(ロイター)
財政再建を進めているギリシャのツァカロトス財務相は11日、同国がユーロ圏諸国から10億ユーロの支援融資を得る前提条件の詳細について、ユーロ圏と合意に達したと明らかにした。支援融資は最大860億ユーロの金融支援の一環。
ギリシャ政府は合意を実行に移すための関連法案を議会提出し15日に可決にこぎ着けた上で、18日までに10億ユーロの融資を受領する算段だ。今回固まったのは、ユーロ圏への債務返済などに充てるために新設する基金の制度設計や、国営電力会社PPCの完全子会社の送電会社ADMIEの株式売却、不良債権の流通市場整備など。
新基金は、現行のギリシャ資産開発基金(HRADF)とギリシャ金融安定基金(HFSF)、不動産、政府が保有するPPCの株式51%で構成。ギリシャ政府当局者は「新基金には監査委員会を設け、構成メンバーは政府とユーロ圏諸国が任命する」と指摘した。
監査委員のうち3人をギリシャ、2人をユーロ圏が選任し、ギリシャはユーロ圏、ユーロ圏はギリシャの人選に対して拒否権を持つ仕組み。監査委員会は新基金の経営陣を任命する。
ADMIEについては、株式の少なくとも51%をギリシャ政府が保有することでユーロ圏と合意した。
チプラス首相は議会で「ADMIEを政府の手中に維持することに成功した。われわれはユーロ圏との厳しい交渉で大きな勝利を収めている」と主張した。ギリシャのサマラス前政権は、ADMIE株の66%を売却する方針を決めたが、チプラス政権が今年1月に誕生し、売却を中止。8月の支援正式決定時、ギリシャとユーロ圏は、ADMIE株の売却に向けた入札を再開するか、ギリシャの電力市場を開放する代替策をまとめることで一致していた。
ギリシャのエネルギー省当局者によると、ADMIE株の残り49%のうち20%は特定の個人投資家に売却され、残り29%は浮動株としてアテネ証券取引所で取引されるという。
同当局者は「(ギリシャ以外の)欧州の送電会社1社が少数株主として(ADMIEの)株式を保有するよう(調整に)努めている」と話した。 一方、不良債権の流通市場整備をめぐっては、中小企業や個人の不良債権の取り扱いに関してギリシャがなおも抵抗。ハゲタカ投資家が中小企業や個人の不良債権を安値で買いたたき、資金回収を行うようなことが起きないようにする考えだ。
ギリシャのスタサキス経済相は、住宅ローンや消費者融資、中小企業融資などの不良債権は、流通市場の対象外だと強調。2016年2月15日までに規制の枠組みを整備すると語った。

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