「本社指示」で二転三転 懲りない三菱の二枚舌体質(毎日新聞)
燃費データ不正が発覚した三菱自動車は5月11日に益子修会長、相川哲郎社長が並んで記者会見を開いた。そこで、燃費データ走行抵抗値の試験をしたのは、子会社「三菱自動車エンジニアリング」の管理職であることを初めて明らかにする。
この記者会見にあたり、三菱自動車は「国土交通省への報告について」という1枚の資料を公表した。そこには「当社製軽自動車4車種の調査について」として、5項目の説明が書かれていた。概要は次の通りである。
(1)燃費をよく見せるための走行抵抗の不正な操作は、14型「eKワゴン」「デイズ」(2013年2月申請)の燃費訴求車の開発で始まった。他の類別や各年式変更車などは、走行抵抗は燃費訴求車のデータから机上計算された。
(2)燃費目標は計5回引き上げられた。現実的には達成困難でありながら、根拠に乏しい安易な見通しに基づく開発が進められた。
(3)担当者らは燃費が「商品性の一番の訴求ポイント」と認識し、開発関連部門の管理職・役員からの燃費向上の要請を必達目標と感じていた。
(4)開発関連部門の管理職(複数)は、業務委託先とのコミュニケーションを十分に行っていなかった上、高い燃費目標の困難さを理解していたにもかかわらず、実務状況の確認をしなかった。
(5)再発防止策は抜本的な改革を検討している。
(4)に書かれた「業務委託先」が、子会社の三菱自動車エンジニアリングのことだろう。この資料をもとに説明にあたった三菱自動車は、子会社の社員が社内調査にどう答えたかなど、具体的なことを一切明かさなかった。そして、益子会長は、この会見の際、記者から「不正の実態の解明にこれだけ時間がかかっているのはなぜか」と聞かれ、「軽自動車は全容解明できたと思っている」と答えたのである。
筆者(経済プレミア編集長、今沢真)はこの益子会長の発言に耳を疑った。三菱自動車の説明を聞いていると、全容解明など、ほど遠かったからだ。その場にいた記者はほぼ全員がそう思っただろう。そして、会見の翌日12日、突然、日産自動車の傘下入りのニュースが飛び出し、同日夕刻に両社の記者会見が行われた。そして翌日の13日、新聞各紙に「三菱自動車本社が改ざん指示」という見出しの大きな記事が掲載されたのだ。

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