経営実態はほとんど知られず 米国が危険視するファーウェイってどんな会社?(Yahoo)
米国の意向を受け、中国の通信機器メーカー華為技術(ファーウェイ)の製品を排除する動きが広まっています。国内にも同社製品は広く流通していますし、ソフトバンクが基地局の機器に採用しているなど影響が出てくる可能性があります。米国が危険視する華為技術とはどのような会社なのでしょうか。
華為技術は売上高が10兆円を超える中国の巨大通信機器メーカーで、全世界で18万人の従業員を抱えています。深センにある本社は、東京ディズニーランドが4つも入るという広大な敷地となっており、中には食堂やコンビニはもちろん、病院や美容院、ジム、ワインショップなど、ありとあらゆる施設が揃っているそうです。
これほどの大企業でありながら、同社の経営実態はほとんど知られていません。その理由は同社が株式を公開していないことに加え、創業者である任正非氏があまり人前に姿を現すことがないからです。経営実態が分からないというのは中国国内でも同じで、任氏がどのような人物であるのか知る人は少ないと言われています。
任氏は同社を実質的に支配していますが、実際に外部に出てくるのは主に内部昇格した経営陣です。しかも同社のトップは輪番制となっており、1人に権力が集中することがない仕組みになっています。これは日本の江戸幕府も採用していたシステムで、効率は多少悪くなるものの、将軍の権力を維持する作用がありました。任氏は人民解放軍に技術者として勤務していた経歴があり、同社は軍と一体の企業とみなされることも多いのですが、少なくとも同社が成長してきた過程においては、必ずしもそうとは言い切れません。
創業当初の1990年代、同社は香港から交換機を輸入して販売するだけの企業で、のちに人民解放軍と大型契約を結んだ際にも資金繰りに苦労するなど、中国共産党や政府から支援を受ける企業ではありませんでした。しかし、その後、中国政府が国産の通信機器を重視するようになり、それにともなって同社の立場も上がっていったとされます。
ファーウェイの通信機器には、仕様書にはないポート(情報の出入り口)が見つかるなど、場合によっては情報漏えいにつながる可能性が指摘されています。米国議会は、情報漏えいリスクに対処するため、同社を含む複数メーカーの製品を政府調達から排除する法律を今年8月に成立させました。
もっとも米国政府は貿易交渉の一環として同社を敵視しているという側面があり、本当のところどの程度、ハッキング・リスクがあるのかは定かではありません。ハッキングのルートは同社製品以外にも無数に存在するため、特定企業を排除しても問題は解決しないとの見解も出ています。このため、ドイツ政府は実質的に効果が薄いとして同社製品の排除を行わない方針を示しています。

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