福島第一1・2号機、燃料取り出し1〜5年遅れ…廃炉工程表5回目の改訂(読売)
政府は27日、関係閣僚会議(議長・菅官房長官)を開き、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉工程表を改訂した。1、2号機の使用済み核燃料貯蔵プールから燃料を取り出す作業の開始時期を1〜5年遅らせ、2024〜28年度とした。取り出し作業中に放射性物質が飛散しないよう新たな工程を追加したためで、廃炉の完了を最長で51年までとする目標は維持した。工程表は11年12月に策定され、作業の進み具合に応じて見直してきた。改訂は17年9月以来で5回目。
プール内の燃料は今も熱や放射線を発しており、より安全な保管場所に移す必要がある。水素爆発した1号機は、プール周辺に大量のがれきが散乱。燃料取り出しにはがれきを撤去する必要があり、放射性物質を含むちりが飛散する恐れがある。そのため、1号機の建屋全体を覆う大型カバー(高さ65メートル)を23年度頃、新たに設置することにした。爆発しなかった2号機でも、汚染された建屋上部を撤去する当初の方針を改め、建屋内を除染してから燃料を取り出す計画に変更した。
これに伴い、従来の工程表では「23年度めど」としていた1、2号機での燃料取り出し開始を、1号機は「27〜28年度」、2号機は「24〜26年度」に延期した。また、事故が起きていない5、6号機も含め、プールに残る全ての燃料の取り出しを31年に終える目標を新たに掲げた。
同原発周辺では避難指示の解除によって住民の帰還が徐々に始まっているため、政府は作業に伴う周辺へのリスクを抑えることにした。原子炉内の溶けた核燃料と炉内構造物が混ざった「燃料デブリ」の取り出しは、21年に2号機から着手する方針を盛り込んだ。汚染水対策では、25年に発生量を1日100トン以下に抑える目標を新たに設けた。

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