現役女子大生が実感 就活「オンライン面接」は不利とは限らない(日刊ゲンダイ)
新型コロナウイルスの感染拡大は大学生の就職活動にも大きな影響を与えている。11月17日に文科省と厚労省が発表した状況調査によると、10月1日時点の大学生の就職内定率は前年同期比7.0ポイント減の69.8%と5年ぶりに70%を下回り、リーマン・ショック後の09年に次ぐ下落幅となった。何が起きているのかを、現役大学生でIT系企業の就職内定を得た筆者がリポートする。昨年までの “就活”とガラリと様相が変わったのは、大企業による選考プロセスのオンライン化だ。オンライン化はこれからも継続されると言われており、アップデートされた就活戦線を、現役学生はどのように生き残るべきかお伝えしたい。
■オンライン面接を逆手に取る
2021年から2022年の採用活動でも、大企業の8割以上がオンライン面接を取り入れている。最終面接まで全てオンラインというケースはもはや珍しくない。
オンライン面接については、お互いに相手の温度感がわからなかったり、「間」を取りにくいといった声をよく聞く。しかし、ネガティブに捉えているのは、むしろ採用側で、就活生からすると、不利な点を大きく上回る利点がある。なぜなら、地方にいても、海外にいても、東京で暮らす学生と対等に面接を受けられるからだ。移動や宿泊のためのコストや時間をかけず、東京組と同じ面接の機会を得られるというのは、地方組や海外組にとって大きなアドバンテージといえる。
実際、筆者も、4年生の春(20年3月)までハンガリーに留学していたが、第1次面接はオンラインの企業がほとんどだったので、留学中でも面接を受けることができた。
就職活動を理由に留学を断念せず、 経験値を増やすのに目いっぱい時間を費やせたことは自身の人生において大きな糧となった。ただ、オンライン面接で学生のコストが減ったことで、別の問題が浮上しつつある。
■事前準備がカギ 情報量で勝つ
学生からのアクセスが増えたということは、応募者も増えるということだ。コロナ禍で企業の業績が落ちただけでなく、学生の応募倍率が上がったことも内定率低下の要因の一つと考えていいだろう。では、学生はどのような戦略で、高倍率の就職戦線を生き残るべきか。
今までは説明会や面接で学生と直に会って、“肌感”を重視していた採用担当者が多かったようだ。しかし、オンライン面接では雰囲気やパッションといった目に見えないものは伝わりづらい。オンライン面接でそれを補うカギとなるのが「事前準備」だ。筆者の周りでは就活サイトをフル活用をし、全ての流れを頭に入れてから面接に臨む学生が内定をとっている印象が強い。
例えば「就活会議」というアプリでは、企業ごとに面接が何段階まであったか、どんな内容を聞かれたかといった情報が、事細かに記されている。試験や面接を受けた人たちの口コミだから、とても参考になる。オンライン面接では、本番で相手の空気感を探ろうしたらその時点で出遅れることになり、ほぼ生き残ることはできない。用意周到な学生たちに打ち勝つことはほぼ不可能だ。さらに言えば、就活の達人は「どんな面接官に当たる可能性があるか」「どのようなディスカッションのテーマがくるか」といったことまで、全てリサーチしてから面接に臨んでくる。
就活において情報を集めるのは当たり前だという人もいるだろう。しかし、「情報の集め方」、「行動の速さ」の比重がより大きくなってきている。ちなみに、より入念に対策をする上で、OBなどに「方向性があっているか」を確認してもらったり友達に「論理性が欠けていないか」をチェックしてもらったりする必要もある。その点で、人脈も非常に貴重となる。コロナ禍における就職活動は、人脈とインターネットを車の両輪のごとく駆使していくことが求められる。
■オンラインで「繋がる」時代
人脈と言っても、サークルの先輩やバイト仲間、学校の友達といった狭い範囲で考えない方がいい。ソーシャルメディアの普及により、若者はオンライン上で繋がり始めている。このトレンドは、趣味やコミュニティーの範囲を超えて恋愛や就職活動における「ニューノーマル」になりつつある。
筆者自身も大学に入学した当時(17年)は、サークルや部活動に所属することで縦のつながりが得られて就活で有利になると言われていた。だが今は、オンラインで繋がればその必要はない。むしろオンラインで繋がることで、より自分に適したOBに出会うことができる。
例えば、世界最級のビジネス特化型SNS「LinkedIn」(リンクトイン)は主に転職活動に使われてきたが、最近は新卒採用でも大いに活用されている。「LinkedIn」上では自身の学歴やインターンシップの経験等を含めたレジュメを模したプロフィールを公開することが可能。志望企業で働く大学OBに繋がりのリクエストを送信したり、メッセージをすることもできる。
就活生も採用側もお互いにキャリア遍歴を閲覧できるので、採用側がどのようなキャリアを経て現在の企業で働いているかということまでわかる。逆に採用側が就活生にアプローチするツールとして使われることもある。オファーレターと呼ばれるダイレクトメッセージが人事から送られてくるのだ。ポテンシャルを見込まれてオファーが来ているため、興味がある企業であれば選考は進みやすいと言える。
「ビズリーチ・キャンパス」という、企業側も公式に登録ができるOB訪問アプリもある。学生は自分の大学を卒業した先輩と容易に繋がることができ、人気企業も多く登録しているという。これらのアプリをフル活用して、自分によりあったOB/OGと繋がることは、今の学生にとって必須だろう。オンライン上に情報が溢れる中で、自分により有益な情報や繋がりを見極め、カスタマイズしていく力がコロナ禍の就活を生き延びる術なのかもしれない。

0