米第三者委、65歳未満の追加接種「推奨せず」(日経)
米食品医薬品局(FDA)は17日、ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンの追加接種(ブースター接種)について審議する第三者委員会を開き、16歳以上65歳未満への承認を推奨しなかった。追加接種の安全性や必要性を示すデータが不十分とした。FDAは第三者委の議論を踏まえて、承認を最終判断する。バイデン政権は9月末から追加接種を開始する計画だった。
外部有識者が参加する第三者委が、接種完了から少なくとも6カ月が経過した16歳以上への3回目の追加接種について、承認を推奨するかどうか投票を行った。賛成3人、反対16人となり、広く一般への追加接種は推奨されなかった。一方、65歳以上や重症化リスクの高い人を対象にした追加接種については、全会一致で推奨した。FDAは第三者委の決定に従う必要はないが、おおむね踏襲してきた。
第三者委のメンバーからは、広く一般への追加接種の安全性を見極めるにはデータが不十分との指摘や、予防効果が低下してもFDAが安全なコロナワクチンに求めた基準である50%の有効性を上回るとの指摘もでた。FDAは既存の2回接種のワクチンでも、重症化や死亡に対する予防効果は引き続きみられているほか、追加接種の必要性を示すデータが不足しているとの見解を示した。
これを受けて、バイデン政権が計画していた9月末からの追加接種の開始は不透明感が強まることになる。2回目の接種を終えてから8カ月後に、当初接種したワクチンと同じメーカー製のものを追加接種する計画だった。米疾病対策センター(CDC)によると米国では全人口の54%がワクチン接種を完了している。
ファイザーは時間の経過とともにワクチンの予防効果が低下するとして、追加接種の必要性を訴えている。同社がFDAに提出したデータによると、2回の接種後、徐々にデルタ型への感染予防効果は下がり、4カ月以降に当初の53%になった。デルタ型以外に対しても97%から67%に下がった。追加接種すれば感染リスクは約11分の1になるとして、2回目の接種から6カ月後に追加接種が必要と指摘した。
追加接種の必要性については、懐疑的な見方も出ている。FDAの一部の研究者らは英医学誌ランセットに13日公開した論文で「重症化予防には高い効果を維持しているので、現状では一般の人への追加接種は必要ない」と主張。米政府が推奨する追加接種について「正当な科学的証拠が十分示されていない」などと指摘した。世界保健機関(WHO)も途上国への供給を優先すべきだとの見解を示している。
世界ではイスラエルが8月に3回目の追加接種を開始し、先行している。フランスは9月上旬から高齢者を対象に追加接種を開始しているほか、英国も来週から開始する予定だ。日本も17日、国内で3回目の追加接種を実施する方針を固めた。

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