スタバ、米で初の労組結成へ NY州の従業員投票で可決(日経)
米大手コーヒーチェーンのスターバックスが、米国で初となる労働組合の結成を決めた。ニューヨーク州バッファローの3店舗で実施し9日に開票された労組結成の是非を問う従業員投票で、エルムウッド店での労組結成が賛成多数で可決された。新型コロナウイルス禍で深刻な人手不足が続くなか、労働条件の見直しを求める声が高まったことが背景にある。アリゾナ州でも労組結成を探る動きがあり、米国内の他店舗や他企業に波及する可能性もある。
今回の投票の対象は、米国に約9000店あるスタバの直営店のうち、エルムウッド店を含むバッファローの3店舗の従業員約100人。11月から労組結成の是非を問う郵便投票を受け付け、8日に投票を締め切った。エルムウッド店では有効投票数27票のうち賛成票が19票で過半数に達した。一方、キャンプロード店では有効投票数20票のうち反対が12票と賛成8票を上回り、否決された。組合側は一部の投票用紙が行方不明になったとして、異議を申し立てる方針を示している。ジェネシーストリート店は賛成票が反対を上回ったものの、結果確定に必要な過半数に達しておらず、有効性に疑いのある票を精査するまで結論は先送りとなった。
従業員からは、新型コロナ禍でスマートフォンアプリ経由の注文が急増する一方、労働市場の逼迫で人手不足が続いており、負荷が高まっているとの声が上がっていた。労組を通じて賃金の引き上げや人員配置の改善などに向けた交渉が進むとみられる。米国では民間企業の組合結成率が2020年時点で6.3%にとどまる。そのなかでも、外食産業で労組をつくる例はまれだ。労働統計局によると、20年時点で飲食店で働く労働者のうち組合員が占める割合は1.2%にすぎない。
高い知名度を持つ同社で労組結成の先例ができることで、米国内で難航していた労組結成に向けた活動が再び加速しそうだ。米インターネット通販最大手アマゾン・ドット・コムの南部アラバマ州ベッセマーにある物流施設では従業員投票の結果、4月に反対多数で労組結成が否決された。ニューヨーク市スタテン島の物流施設で働く従業員らも10月下旬、全米労働関係委員会(NLRB)に従業員投票の承認を申請したが、署名数が基準に満たず取り下げていた。

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