かんぽの意向確認10月までに 不適切販売拡大も(livedor news)
かんぽ生命保険で多数の不適切販売があった問題で、同社と販売を受託している日本郵便はすべての契約者に契約内容が希望に合っているかなどの意向確認を10月までに行う方針だ。
不適切な契約は9万件超に達しているが、件数が膨らむ可能性がある。いまだ不適切な契約の全容が判明しておらず、信頼回復に向けた課題は山積している。かんぽ生命は2900万件超に上る契約について、毎年10月に全契約者に送付する契約内容通知や保険料の払込証明書とともに、文書を送って不本意な契約になっていないか確認する。申し出があれば契約時の状況を確認し、解約や保険料の返還などに応じる。
日本郵便は直近契約した顧客に対しては、かんぽ生命による文書確認を待たずに、郵便局員が訪問や電話するなどして、早期に顧客の意向確認をする方向だ。8月末までかんぽ生命の保険商品の営業を自粛し、顧客への対応に専念するが、面談などによる意向確認には膨大な人手や時間がかかるとみられる。日本郵便ではアフラック生命や住友生命などの保険販売も受託しているが、営業自粛がかんぽ生命以外にも波及する可能性があり、日本郵政グループの収益への影響も確実視される。
今後は意向確認に伴う調査などで、不適切な販売事例の範囲が拡大するかが焦点になる。また、勧誘時に虚偽説明をするなど、保険業法への抵触があったかも注目される。金融庁は法令違反の有無や内部管理体制などを精査して、業務改善命令などの処分を検討しており、処分が出れば経営陣の責任を問う声が強まるとみられる。
日本郵政グループは近く社外のメンバーらで構成する第三者委員会を設置し、原因究明を進めるとともに外部の視点で募集体制などを見直す。問題の背景には過大なノルマなどがあったとみて、8月以降に営業目標を引き下げる方針だが、グループ幹部は「問題の根は深く、経営管理態勢やビジネスモデルなど改善すべき点が多い」とみており、抜本的なガバナンスの見直しも迫られそうだ。

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