リスクは東海道、山陽、九州各新幹線の基地にも(President)
朝日新聞デジタルは18日、1998年8月の「那須水害」で線路設備が冠水した経験がある東北新幹線の小山新幹線車両センター那須電留基地では、浸水を防ぐために事前に車両を避難させていたと報じている。車両基地ごとに伝承されてきた経験が水平展開されていなかったとすれば、JRの対応に改善の余地があることは間違いないだろう。
またNHKは17日、JR各社の新幹線の車両基地、全18カ所中7カ所が洪水による浸水想定エリアにあるという独自調査の結果を報じている。1メートル以上の浸水が想定されているのは、東海道新幹線の「鳥飼車両基地(大阪府)」「浜松工場(静岡県)」、山陽新幹線の「博多総合車両所広島支所(広島県)」、九州新幹線の「熊本総合車両所(熊本県)」の4カ所で、鳥飼車両基地は敷地の一部で5メートル未満、浜松工場は、敷地の大部分で3メートル未満の浸水が発生するおそれがあるという。
鉄道建設時共通の悩みが、広大な敷地を必要とする車両基地の立地である。市街地で用地を買収すると建設費が跳ね上がってしまうため、手に入れやすい土地の中から選ぶしかない。そしてそれは、往々にして海や川沿いの地盤や水はけが悪い土地であったりする。車庫の水没は今回に限ったレアケースではなく、鉄道事業者にとって普遍的な事業継続リスクなのである。

0