ジョイフル最終赤字 過去最大93億円 閉店など構造改革(日経)
九州を地盤にファミリーレストランを展開するジョイフルは25日、延期していた2020年6月期の連結業績を発表した。新型コロナウイルス禍で損失が膨らみ、最終損益は93億円の赤字と過去最大になった。直営200店前後を閉鎖する計画を発表しているが、このうち21年6月期に100店程度の閉鎖を視野に入れる。24時間営業店も縮小し、21年6月期は最終赤字を7億4600万円まで圧縮する見込みだ。
ファミレスのジョイフル、200店閉鎖へ 直営店の3割。居酒屋から転換・他社メニュー提供…外食サバイバル。外食7割が最終赤字、外出自粛で客数減 13社の4〜6月。20年6月期の売上高は前の期比15%減の623億円だった。ジョイフルの直営店や子会社のフレンドリーなどが運営する飲食店など80店を閉鎖。緊急事態宣言の発令などで324店が休業し、553店で営業時間を短縮したことも響いた。閉店に伴う損失引当金繰入額などを含め、62億円の特別損失を計上した。
ジョイフルは収益改善が見込めない直営約200店を7月以降順次閉鎖すると6月に発表した。このうち約30店は9月末までに閉鎖する。21年6月期は閉鎖する直営店舗数をさらに70店程度積み増すことを検討するほか、フレンドリーはうどん店に業態を絞り、経営を効率化する。本部経費も10億円をメドに圧縮する方針。売上高は前期比12%減の548億円を見込むが、構造改革を急ぎ、財務基盤を強化する。24時間営業する店舗の数も減らしており、10月以降は全体に占める比率を5割未満に引き下げる。同日、福岡市で会見した国吉康信専務は「どの程度まで退店するかは既存店売上高の回復状況を見ながら今期中に判断したい」と述べた。
一方で「従業員の雇用は必ず守るという前提でリストラを進めたい」と強調。閉鎖する店や営業時間を短縮する店の従業員は近隣の店へ再配置したり、勤務シフトを見直すことなどで対応する。同席した小野哲矢常務は「20年6月期は厳しかったが、コロナ禍は筋肉質の会社に切り替わるためのきっかけになった」と話す。フレンドリーを含め「手を打っており、グループとして力強く回復を刻める態勢に向かいつつある」とした。
新型コロナの再拡大もあり、飲食店の客足は回復していない。飲食店向けシステム、トレタ(東京・品川)の調べでは、9月14日〜20日の福岡県の飲食店来店者数は前年同期比25%減だった。外食各社は宅配や持ち帰りサービスを拡充している。プレナスは傘下の定食店「やよい軒」は厳しいが、持ち帰り弁当店「ほっともっと」は4月以降5カ月連続で既存店売上高が前年同月比プラスとなっている。
ジョイフルも宅配に対応した店舗を約60店まで増やした。国吉専務は「10月以降も宅配サービスの外部委託契約ができ次第、対象店舗を拡大していく」と話す。ただ減少した店舗売上高を補うことは容易ではない。福岡市のある飲食店は全売上高に占める宅配比率は1割に満たないと明かす。宅配業者への手数料もあり「利益貢献は少ない」。当面は不採算店撤退やコスト削減を進め、生き残りを目指すことになりそうだ。

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