2009/7/31

流し目  戀さまざま

間の惡い彼の着信停電の線路に子の手を引きて降りれば

今更にいはれなくても十八はとうに成人床のなかでは

流し目を見咎められて陪審を馘の例しも上陸するや

いつの世も戀は訴追になじまぬかレモンの蔕をもぎつつおもふ

思ひ切り跨りたいな彼の手をベッドの柱に結はへタオルで
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2009/7/31

列島  日常 時事

列島の到るところに垂れ込めてありしおもひの噴き出む夏か

くらげらの殖えひろごりて次々におびやかし來る定置網らを

ステルスを選びあぐねて日本の空の守りの行方いかにと

往來自由になりなばいやもの思はすや月より望む地球の盁ち虧け

今更に電子書籍の推敲に苦慮すや隣室は支那語の喧嘩
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2009/7/31

百人一首應答歌 二十 二  日記と歌論

逢ひ見てののちの心にくらぶれば 昔はものを思はざりけり 権中納言敦忠


稲妻にうたれしごときたまゆらに過ぎし思ひの丈ちぢこまる
ながれのおも

一目ぼれといふことを西洋語脈では雷にうたれたといふやうですから、それを大和言葉にくだいて一首。




逢ふことの絶えてしなくはなかなかに人をも身をも恨みざらまし中納言朝忠


うらむこと絶えてしなくば今はただ弥勒の世にてあはむとぞ思ふ
ながれのおも


「恨みざらまし」といひつつわが身とおもひ人への恨みが迫つて來るところに特色ある歌です。
かういふ思ひは弥勒の世釈迦入滅後五十六億七千万年後に到るといふ弥勒の世にあふまでは遂げられまいかと。

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2009/7/30

火刑臺  讀史つれづれ

鍬形の來居て鳴きけり魔女を死に到らしめたるその火刑臺

火口丘海に突き出し島の上つひの棲家と降り立ちにけり

積亂雲の中より漏斗のごとき渦垂れて吹き飛ばす馬も砲車も

むざと敵に使はれむこと口惜しと商都をひとつ燒きて退きけり

笛吹きは掻き拭ひけり町中の鼠とともに兒童のかげも
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2009/7/29

甘きつぶて  日常 時事

公約の甘きつぶての投げ合ひを日々の紙面に讀みて冷めゐき

紫陽花のたむろ剪り去る鋏の音さやかに蝉のしきる朝かな

日のなかにかならず雨を降りまづるこの頃どこか落ち居ぬ思ひ

厄落としせし痕か否かは知らず下穿き踏みつけたるゼブラゾーン

やあと聲かはしてすれ違へる友の行く先はおのづて知れてあれども
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2009/7/27

大花火  日常 時事

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写真引用 東京大空襲

焦熱を逃れむとして凍え死せる川に昨日は大花火あり

 一昨日たづきに追はれて夜分に到つた仲間の皆が今日は隅田川の花火大会なんだがと彼是噂してをりましたが、それどころではなく舞込む用件に忙殺されて、せめてすこしでも近い屋上ビアホールにて鑑賞してみたい望みもはかなく潰えてどうにか目鼻がついたは花火大会もとうにお開きになつた深更でした。
 しかしこんな贅沢をいつてゐられる平和の世の幸福を今少し大事なことと噛み締めねばならぬかと、そのニュース写真に貼り交ぜるに、昭和二十年三月十日の大空襲の写真を用ゐてみました。
 六十四年といふ歳月は合成写真のごとき比率にまでその惨害の記憶を後退させてゐるか知れぬがやはりわすれられることはないでせう。
 とんでもない冬の大花火でした。誰の責めに帰すへき筋合のものではなく、戦争とはそもかういふものと胸に刻むことなくてはやり切れまいか。
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2009/7/27

鐡兜  日常 時事

氣紛れの豪雨を鐡兜に溜めて革煮るひもじき密林の中

榕樹の根張れる石佛のほとりにてたまゆら眠りをほしいままにす

俘虜の腰にわが腰をうち當つるがに刺しけりいみじき軍律の下

蛸壺に固唾呑み振り向ける時敵彈友の頭蓋を碎く

焦熱を逃れむとして凍え死せる川に昨日は大花火あり
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2009/7/27

百人一首應答歌 二十 一  日記と歌論

恋すてふわが名はまだき立ちにけり 人知れずこそ思ひそめしか壬生忠見


ままよわがおもひの行方朝露の消なば消ぬべきつとに立てし名ながれのおも




契りきなかたみに袖をしぼりつつ 末の松山波越さじとは清原元輔

名にかけて契り添へたる松だにも代々生ひかはる末と知らねば
ながれのおも

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2009/7/27

蝉時雨  戀さまざま

蝉時雨戀ひ鳴く鳩にまじはりて日傘の彼方かさなれる雲

富士山の登山路芋洗ふ記事見つつ今更富士に連れゆかむとせず

君を昨夜送りて上がらぬまま歸るかすかに惜しき甘み殘しつ

噴水のしぶきかすかにかけつ撮る日傘よ廣場の熱風の中

君われを稚しとみてゐるらむかき今朝爪紅の色易へてみる
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2009/7/24

百人一首應答歌 二十  日記と歌論

浅茅生の小野の篠原忍ぶれど あまりてなどか人の恋しき参議等

浅茅生の去年にかはれる茂みにもいやまさりゆくわがおもひかな
ながれのおも




浅茅生のその後まで。



忍ぶれど色に出でにけりわが恋は ものや思ふと人の問ふまで
平兼盛

つつむともあらはれぬべき恋の色そこはかとなき香に立つものを
ながれのおも


色と香といづれが先か。これは個々人の感知能力の質にもよりませうが。
ちなみに百人一首にはしのぶの語多いのみならず、歌の心としても「しのぶ」形が異様に多い。これ承久の乱以後逼塞を余儀なくされた公家勢力の状況を反映してゐますか。

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