2010/1/31

星空 長歌及び反歌 二弦  日記と歌論

冬空の 星色冴えて
天狼は 妖しく光る
北斗への 思ひ常無き
世を怒り 聲裂け割れゐぬ
倦む淀を なづみ
越え舞ふ音振れ

乳天にそそげる夢へ渡りゐん諸笑む親ぞ身は瀬瀬跨ぎに



ふゆそらのほしいろさえててんらうはあやしくひかる
ほくとへのおもひつねなきよをいかりこゑさけわれゐぬ
うむよとをなつみこえまふねふれ
ちちあめにすすけるゆめへわたりゐんもろゑむおやそみはせせまたきに
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2010/1/30

マチュピチュとサリンジャー  日常 時事


マチュピチュを脱出し得しは新幹線架線の火事と相前後して
人外境の空中都市で観光客が見舞はれた豪雨は自然のやむない力ですが、文字通りの都市の事故は消耗劣化を見落とした果ての始末か責任を問はれるところです。

生きながら己れ葬りたる彼はライ麦畑に何を隠せし
こちらは文字通りの自然死で、「自らの楽しみの為には書いてゐる。」とのことなれば
その作品が死後公開されるものか、或いは文字通り自ら書いて自ら破棄したものかどちらであつてもそれは彼らしいといへるでせう。幻滅させられるよりは後者の方がましか。何分人中の人外境に自ら閉ざした人ですから取材といふ経過を欠いた「作品」の実体感はその出来栄えの如何は問はず危ぶまれるからです。
僕はサリンジャーのかなり齢過ぎてから読んだもので、受け取る感銘の鮮度はあやしい。思春期に読むべきであつたと悔やんだものでした。
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2010/1/29

折句うめもどき  日記と歌論

うめもときを頭に

美しき瞳を前にしてもどかしく届かぬ思ひ君に告げむや

初心な初恋の体でせうが

内腿へめりこむ際をもうだめと吐息せはしい君も好きだね

となるとこれはポルノでせうね。

薄氷に芽吹きを映す桃の花遠くかがよふ銀嶺を前

風呂屋のペンキ絵風に口直しして

奪ひ合ふ眼を発砲も悶え音の届かぬ支援記事にせむも憂き

大地震被災後ハイチに派遣された記者の慨嘆です。
同じ句法条件を下敷きにしても詞のはぎあはせやうによつて喜怒哀楽怨あらゆる表情をあらはすが折句といふものでせうか。
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2010/1/28

治癒 六韻  日記と歌論

涙後よろこびといふ讃め歌に      シテ
明日は見えねどくさらず勵め      ワキ
聲援を受けつ荷ふ穗重りゐて      ツレ
畏れ知らぬか秣むしれる        シテ
若き日を汗で越え經ぬるつむりゆゑ   ワキ
四方の違和山燒き揃へ寝ん       ツレ


なみたのちよろこひといふほめうたにあすはみえねとくさらすはけめ
せいゑんをうけつになふほおもりゐておそれしらぬかまくさむしれる
わかきひをあせてこえへぬるつむりゆゑよものゐわやまやきそろへねん
ちゆ


「涙と共に播く者は喜びと共にとりいれん Die mit Tränen säen,werden mit Freuden ernten.」と聖書詩篇の句あり。これを改めて今般.ルター訳聖書に依るブラームスのドイツレクイエムで聞いた感銘をややへなぶつて六韻にしました。キリスト磔刑の図の周囲に生まれ育つたフランドルの風俗に根ざした有象無象生類万物を書き込まずにおかなかつたブリューゲルの筆法でせうか。日本はいま少しすると山焼きが始まりますね。
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2010/1/28

上野寸景  日常 時事

椋鳥のわれを窺ひゐたりしかパン切れ掠め去る池之端

二つ買つたドーナツを食べてゐる正面の柵の上に小雀と一緒に並んでゐるなあと漫然ながめてゐたところが油断も隙もないか。食べ終へかけた残片へ猛然と襲ひ掛り可愛らしい一片をまんまと、これは気がつかぬことでしたと寄つて来る小雀と椋鳥と均等になるやうにちぎつて分けてやりました。

しもた家を通りすがりの潜り戸開け呼ばふ老女よゴミ出してよと

上野駅沿ひに寛永寺の霊園へと続く崖上の道を辿つてゐた所、元は商家らしき作りの多年雨ざらしになつた二軒続きの二階家の前を通つた時にこんなことがありました。お婆さんはパジャマの上に毛糸編みの袖なしチョッキを羽織つただけ、足も弱り道向うの集積所へ行くも億劫だつたのでせう。他生の縁の中と思ひ承つておきました。

歌集本編は完結しましたので、今後は五首一連に拘らず詞書や自註をなるべく添へることにします。
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2010/1/27

山門が今に留むる彈痕  日常 時事

山門が今に留むる彈痕を指に觸れて過ぐ寒夜の路地に

西日暮里の経王寺は日蓮自作と伝へる大黒天を祀るとかいふことで、古い開基ですが、飽くまで街中の寺院ですから山門といつても路地から五六歩で扉に手の届くやうなものです。
上野戦争の時幕府側の死傷者の弔ひ治療を禁ずる官軍の命令に背いてまで介護供養へと敢然立ち働いた為に官軍の標的にされ門は今猶当時の銃創を留めてゐると但し書きの標示あり。
官賊問はず危険をかへりみぬ宗教者の意気志操があらはれてゐるかと思ひます。
今夜実際に通りすがつての詠ですが残念ながらカメラを携帯してをらなかつたゆゑ愚歌のみ。
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2010/1/27

折句  ゆきのはな  日記と歌論

うたのわ」で「ゆきのはな」を冠にした折句を募集してゐたので

揺し按ずる 君がを指ゆ のどけくも華やぐ調べ 流れ來るかな

と一首送る。琴弾く懸想の令嬢もしくは姫君を意識したものであるが

赦されぬ 君と契りを 呪ひ寄せて はげしき祈り なほぞゆゆしき

となるとこれは不倫の背景になるか。 呪ひ寄せてゐるのはその男の正妻であるか。

譲らせし 機密の前に 残りなく 恥あらはれぬ 為さぬ仲はや

このあたりは問題が男女間ではすまず、政治問題になる。外務省の女秘書を篭絡して機密を入手した新聞記者の例もある。

夕焼けし切妻屋根の軒端よりはるけく望むなつかしき尾根

と落ち着いた自然詠でこの辺は締め括るとしよう。

同じ句法をとってもそのあらはし得る世界は千変万化と思ふ次第である。

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2010/1/26

寒夜  日常 時事

死兒の齡確かむるごと檢索す捨て來し里の今夜の氣温

切り刻む大根のなか烏賊の足入れて煮込めば湯氣に悔いつつ

人材は腎虚の世にし検察が意固地に追い詰めみむものや何

掌を返して圍むカノッサの雪に裸足で赦されて後

拍子木は今過ぎ行きぬ自他共に思ひやるなくて經けむわが世か
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2010/1/19

驛前の寒さにめげぬ歌聲  画像歌

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驛前の寒さにめげぬ歌聲へ拍手送りつものこほしむも

かつてのギター片手の演歌流しの生活色を脱した、ニューミュージック系のストリートパフォーマンスもすつかり街の風物になりましたか。無論彼らなりの生活はあるわけでせうが、酒客を見込めぬ歌といふものは高音低音ともに良いといふやうな歌手になかなかめぐりあへぬもので、芸風如何好悪いづれにせよ今すこししなりをつけて欲しいとは思ひます。
歌は以前に詠んだものです。

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2010/1/19

帆竿  六韻  日常 時事

帆竿  六韻

落ち居ぬ目ヒラメかれひのつけどころ    シテ
探求世世にいぢましくなる         ワキ
穴掘りの後ろ忘れてゐた月と        ツレ
照り添ふ聲も騒ぐ村屋根          シテ
透け見ゆる永遠寝せぬ鬼が臍        ワキ
笛を合はせむ宮前も映ゆ          ツレ



おちゐぬめひらめかれひのつけところたんきうよよにいちましくなる
あなほりのうしろわすれてゐたつきとてりそふこゑもさわくむらやね
ほさを


下記から発句を起こしてみました。人間様の世になぞらへても案外意味深かと。

ヒラメ・カレイ、目の偏りは脳のねじれから
1月18日15時2分配信 読売新聞

 「左ヒラメに右カレイ」という目の偏りは、脳のねじれから始まることを、鈴木徹・東北大農学研究科教授(魚類発生学)らが突き止めた。

 ねじれる方向を制御する遺伝子も特定した。人工飼育では目の位置が本来と逆になることも多く、養殖技術を改良する手がかりにもなりそうだ。

 ヒラメとカレイは、誕生時は左右対称の形だが、20〜40日後に目がそれぞれ左と右に偏り始め、体色も目のある側だけが黒っぽくなる。

 鈴木教授らは、右目と左脳、左目と右脳をつなぐ視神経のX形の交差部で脳のわずかなゆがみが最初に生じることを発見。そこから脳全体のねじれが進み、目の位置も片方にずれていくことを確認した。

 さらに、人の心臓が左側に形成される際にも働く内臓の位置決定遺伝子「pitx2」が、ヒラメやカレイでは誕生前だけでなく稚魚の段階でも再び働き、脳のねじれを調節することがわかった。遺伝子操作でカレイのpitx2の働きを妨げると、目が左に偏ったり左右対称になったりした。

 人工飼育したカレイでは、目の位置が逆のものが20〜30%を占めることもある。鈴木教授は「稚魚の生育環境の違いがpitx2の働きを抑えるのではないか」と話している。
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