2010/2/25

春塵  日常 時事

春の塵たちあらそはぬ通り拔けへはぐれし鳩と我と入りゆく

陽はややに斜めならむと猫は瞳をほそめて居酒屋の支度時分

春もはや革のコートを腰巻に馳せ行くナナハン相乘り乙女

雲の筋河原の上の空刷けるはたてに十日の月昇り來る

七草をかたどる河原の石疊の煮炊きの痕に夕かげの差す
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2010/2/24

銀盤に氷の微笑  日記と歌論

これから国民期待の女子フィギュアスケートが開始するわけですが、前回トリノの再現をやはり願ひたいものではあります。あたかも四年前僕は荒川静香さんの優勝に驚喜して二弦歌の形式で歌物語に仕立てたので以下に紹介。

氷の微笑  荒川静香嬢

銀盤に氷の微笑涼やけく黄金咲かせぬ陸奥乙女
眠き眼に見守る夜夜も彩られ榮え負ふ色や我等笑まむ日
笑壷ゆるり露輪添へゐて藍經て青得し宴立ち添ふ名を名指しぬ
きんはんにこほりのひせうすすやけくこかねさかせぬみちのくおとめねむきめにみまもるよよもいろとられはえおふいろやわれらゑまむひゑつほゆるりつゆわそへゐてあゐへてあをえしうたけたちそふなをなさしぬ


何分出身が同じ宮城県でしかも隣町に住んでゐた人故に喜びも倍加しました。県内での優勝パレードは沿道へ七万人もが詰め掛けたとのことで改めてフィギュアの「金」の価値を思ひ知らされた次第でした。但しその頃既に東京へ来てゐたので地元でそのよろこびを分かち合ふことはできなかつたのですが。
 「強敵」はゐますし、殆ど聳え立つてゐるとも見える状況か知れぬが、浅田選手安藤選手には奮起よく愛知県にパレードの歓喜を齎して欲しいところです。

さて競技終了して今回はいかなる歌を詠むことになるものやら。知己の韓国人の自慢話を歌にしなければならぬやうだとちうーんこれはどうですか。


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2010/2/23

日はとみに  日常 時事

日はとみにあたたかくなり園児らへ付き添ふ母が襟くつろげる

水仙を犬踏み荒らせし跡ありて金柑の木のぽつりと中庭

干し物もまばらに時代を先がけてかつてはありし公營住宅

水の穂のはにかみながら撒かれあり蹴球場を夕べ過ぐるさ

痛恨の失点眞上より左右へビデオ回せどそのカーリング
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2010/2/22

光の春  戀さまざま

三寒と四温のせめぎゆるぶ部屋帳をひろく空けて日を入る

ちりばめしごとくかがよふ絨毯の塵惜しみつつ掃除機を掛く

驛へ出て迎ふるピンクの帽子と靴コートは緑のチェックをまじへて

琵琶を彈く辧財天を詩女神と見紛ひゐたる跨線橋下

連れ立ちて部屋へ辿れば上弦の月中天に目守る淺宵
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2010/2/19

東京の雪景色  日常 時事


東京の雪の景色をなつかしむ日なかに消えて跡も無けれど

いそいそと子らが作れる雪だるま小さくなりて夕べの庭隅

雪不足危ぶむ五輪に死者一人氷の走路はぢき出されて


少し話題が遅れましたが。
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2010/2/17

讀「ラデッキー行進曲」  日常 時事

捧げ銃しながら目守る老帝が草に滴り落す水洟を

咄嗟に身を青年帝に負ひかぶせ救へる祖父は顔も見ぬ間逝く

國境を鴉おびただし繼承者撃たるれば兵個々の母語にてあげつらふ

農夫等と共に吊るされゐし司祭の僧衣の裾は靴をおほへり

去にし子を惑はせし貴婦人も今は特志看護婦となりゐて我を迎ふ
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2010/2/13

折句 ふきのたう  日常 時事

ふるさとを 昨日夢見の 野の花は 誰摘むとなく 失せぬるらむか

望郷。今更いつても詮無いですけれど。

武士の世が 着崩しながら 殘したる たしなみ今は薄れ行けるか

懐古。二本ざしで悪所通ひなどといふ手合ひもをつたでせうが。

ふざけあひ 君と過ごせど のがれ得ず 發ちゆく鳥の 映る窓邊よ

同棲時代の終りですかな。

ふところの 嚴し世ざまを のらりくらり 貯め込む錢を うらやましがる

いつの時代にもかういふ手合はゐたし、ある所にはある。

蕗の薹は今の表記では「ふきのとう」ですが「ふきのたう」が本来の仮名遣です。
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2010/2/12

リコール  日常 時事

世界よりリコール浴びてぬくぬくと黒字か否底力かトヨタは

出る杭は打たるる喩へ見え隱れしつつ試みられゐる國歩

ビッグスリーの惨状以後トヨタの独り勝ちにさせたくない向きも非難の嵐を煽つて居るでせうけれど、しかしいざといふ時生命に関ることでもありますね。問題箇所は。トヨタらしからぬ失態でせう。

銃撃はやむ無き位置まで測位機を切りてすなどらせし領海よ

ソビエト時代はレポ船といつて、国の内部情報を売つた見返りに「領海」で操業させて貰つてゐた例もあつたやうです。

内外に土俵踏みつけて去る猛者の歸國を迎ふや大統領は

功労金の額が立件の可能性もある元力士に対する物としてどうかといふ取り上げもかまびすしいが、今になつてはやつかみめいて来るか。

キャンプ地に選手自死すや電車へと身投げしドイツ代表キーパー


バンクーバーの五輪ももうすぐ、球春も間近、夏にはワールドカップもあるといふ時期に
どうしたことだつたか。イングランドの主将が不倫を理由に解任されたなどいふ醜聞もありました。殊にサッカーの国家代表といふ立場にかかる重圧は当事者以外にはわからぬものであらうか。

歌どころではない事情あり、かなり休んでしまひましたが、又ボツボツと各方面へ。

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2010/2/6

強霜  日常 時事

強霜は田舎にゐし日のごと降りれば深夜の店へ花買ひに行く

夜すがらを路地に立ち待つ女らをねぎらひがほの花提げゆけり

見放たぬ月の光よ欠けながら南南西へ傾きにけり

温めたる部屋しぬのめの壷に挿すほの橙の百合の莟よ

明けはづむ樅の彼方の雲色は風を漉したる朱を帶びつつ
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2010/2/6

審議會   六韻   日記と歌論

横綱を寄り切らせたる審議會      シテ
親方までも咎め干される        ワキ
草原の國はろばろと越え經ぬれ    ツレ
結び居座りゐし大屋根へ        シテ
危な繪を開いて醉ふ身もつゆぞめげぬ  ワキ
乳煮え望む嘘混ぜぬ鮎         ツレ

よこつなをよりきらせたるしんきくわいおやかたまてもとかめほされる
さうけんのくにはろはろとこえへぬれむすひゐすわりゐしおほやねへ
あふなゑをひらいてゑふみもつゆめけぬちちにえのそむうそませぬあゆ


朝青龍の引退「記念」連句といふもをかしいが、よくも悪くもここのところの相撲界はこのモンゴル出の青年を中心に回つてゐたわけです。相撲史に於て殆ど革命といふべき事態でしたね。
日本人力士の奮起を望みたいところですが、展望はなほ見えて来ないか。


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