第91回全国高校野球選手権岡山大会は15日、倉敷マスカットスタジアムなどで始まります。甲子園出場に懸ける球児、初めて指揮を執る監督…。様々な思いを胸に開幕を待つチーム、選手、指導者らを紹介する山陽新聞の特集を引用しながらまとめて行きたいと思います。
昨秋、創部43年目で初の県大会制覇。意気揚々と臨んだ中国大会は、県北の夢・甲子園出場をかなえる大きなチャンスだった。
1回戦を勝ち、選抜切符にあと一歩と迫った準々決勝の倉敷工戦。1回に3点のリードを奪った直後、3失策で2失点と守備が崩れた。その後も立て直せず、5-12でコールド負け。夢は急速に遠のいていった。
「精神的に弱かった。でも夏こそは譲れない、という気持ちが強くなった」と主将の宮坂僚(3年)。その倉敷工が甲子園で活躍したことがナインに悔しさを募らせ、聖地への憧れを一層大きく膨らませた。
■短時間集中
県北校の夏の県大会は91年作陽、93、97年の津山工の準優勝が最高。春を含め、未だ甲子園の土を踏んでいない。 「県南に比べて練習環境が厳しいのは確か」。かつて関西を春夏6度、甲子園に導いた角田篤敏監督の実感だ。冬は雪でグラウンドが使えない日があり、屋内やナイター施設が整った施設は少ない─。だが「だから甲子園に行けない、という言い訳にはならない」ときっぱり。この環境が逆に好影響をもたらしている面があるからだ。
天候などの制約を受けやすい分、バッティングにしても、連携プレーにしても、一球一球を大事にする心が選手に浸透。効率的な練習に結びついているという。主砲の相原大二(3年)は「少ない球数で練習すると集中力が増す。この感覚は試合で必ずいきる」と手応えを掴んでいる。
■歴史つくる
有望な中学選手が県南へ流れる傾向も変わり始めた。かつて部員数は地元を中心に50人程度だったが、現在県内最多の105人。岡山市や倉敷市からしんがくしてきた選手も少なくない。
関西や理大附といった有力校とここ数年、互角に渡り合っているのが中学生を引きつけているよう。
夢の実現に向け、気持ちを高め、力を蓄えてきたナイン。宮坂主将は「県北初の甲子園出場校として岡山の高校球史に名を刻みたい」と意気込む。聖地を目指す作陽の戦いは19日スタートする。

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