J2昇格同期のカターレ富山。思えば3年前、雨の富山でのJFL最終戦、「勝たなければJ昇格はない」と追い込まれていたファジアーノ岡山は、既に昇格圏内を決めていたカターレ富山との戦いに挑みました。同じく昇格を争っていた隣県のガイナーレ鳥取は流通経済大との試合。岡山が引き分けて、鳥取が勝てば鳥取の昇格圏内が決まるという状況でした。恐らく10人中10人が「鳥取は流経大に勝つ」と思っていたでしょう。やはり、岡山のJ昇格は富山に勝つしかない状況だと全員が信じていました。
試合は、先制されたファジが後半、何とか追いつくも勝ち越しできず、一進一退の攻防が続きました。そのまま「1-1」の引き分けに終わった時、誰しも「J昇格は鳥取」と思ったに違いありません。選手たちも明らかに落胆していました。そこへ舞い込んできた「鳥取敗る」の一報。一転歓喜に包まれました。カターレ富山のサポーターの皆さんも同様にファジの昇格圏内決定を喜んで下さいました。「ともにJリーグへ行こう」
それ以来、カターレ富山とファジアーノ岡山はJリーグ昇格同期として友情に結ばれたクラブとなったのです。

この日の試合は東日本大震災によって延期された第7節の試合。J2の10試合が平日ナイターで実施されました。ホームkanスタ3連戦の締め括りの試合でもありましたので、負けるわけには行きません。
J昇格以降のこれまでの富山戦戦績は「1勝3敗」と奮いません。勝ったのは一昨年の6月、富山での試合。それ以外は負け続けています。富山戦では、立山連峰に積雪のある時期の試合は勝てないという嫌なジンクスもできつつあります。

kanスタに着いた時には日はどっぷりと暮れていました。この季節にナイターを実施するのはある意味厳しいとも言えます。しかも平日ナイター。入場者数も伸び悩みそうな予感です。

とにかく頑張りましょう。浮上のきっかけとしたいのは、両チームとも同じ。富山には、大西・江添・苔口の岡山出身3選手がいます。3人ともしっかりレギュラーとして、チームの中心で活躍しています。一方、かつて富山がYKK時代だった頃、チームには岸田が在籍していました。今でも富山サポの皆さんが口を揃えて「富山を救ってくれた男」と呼んでいる岸田は岡山に来た今でも、富山の英雄なんですね。

平日にもかかわらず富山からお越しの皆さん、お疲れ様です。そしてありがとうございます。

平日なのでやや少な目のゲート10。試合前には「おお富山、おお岡山、俺たちと共にJリーグを行こう」の合唱とエールの交歓が行われました。Jリーグでは本当に珍しいことなのですが、issanは絶対に必要なことだと思っています。相手チームと相手サポーターをリスペクトできないクラブはいずれ滅びると思うからです。同様にアウェーサポーターも歓迎しておもてなしできなければダメだと思います。J1やJ2でも関東方面では、アウェーサポーターを敵対視するクラブがありますが、それは間違いだと思っています。試合以外で敵対する必要性は何処にもありません。日本全国がそうなれればいいのになあと、ゆる〜く、甘〜く考えています。

試合開始が近づいてきました。ファジ丸もちょっと緊張気味かな?。

この日もビッグフラッグが広がって、選手入場です。

並んでみると、富山の選手はでかいです。岡山の選手が子供に見えるほどの身長差。試合前からハンディを負いましたね。なでしこリーグの試合でいつも湯郷Belleの選手が感じる身長のハンディをこの試合ではファジが感じることとなりました。「こりゃあ、空中戦は駄目だわ」とみんなが思ったことでしょうね?。
累積警告で澤口と竹田が出場停止。ストヤノフもお休みでベンチスタート。3バックの右には一柳、右WBには篠原が入ります。2ボランチは千明と仙石。1トップに岸田、2シャドーは石原と民均です。
富山もシステムとしては3バックのチーム。中心に江添がいます。大西がゲームを作り、俊足の1トップに苔口。この日のkanスタのボールボーイは江添と苔口の後輩たち、玉野光南高校サッカー部でした。そこまで意識した訳ではないでしょうが、できすぎの感はありました。
前半は「0-0」。富山のミスが多くて、チャンスを作れるのにシュートが打てない。いつもの岡山です。
後半も試合のペースを握っているのに得点できず、逆にゴール前でのFKからトリックプレーで先制を許してしまいます。しかも、この日J通算150試合のメモリアルゲームだった苔口に奪われてしまいました。富山のチャンスらしいチャンスはここだけでした。ワンチャンスを得点に結びつけた富山が巧いのか、はたまた岡山がどんくさいのか?。とにかく、先に点を取られてしまいました。
何としても追いつきたい岡山も反撃。岸田の右からの折り返しを18歳の石原が見事に合わせて、同点ゴール。エスパルスユース時代から将来を嘱望されながら、エスパルスに入ることができず岡山に入団。その息子の岡山入団を心から喜んだお母さんを亡くした石原崇兆。きっとお母さんも息子のJ初ゴールを喜んでいますよね。これほど沸いたスタンドは久しぶりです。それほど、この18歳の若武者は岡山サポに愛される存在になって来たんだと思うと感慨深いものがあります。
*kanスタ 4,323人
岡山 1-1 富山
┌0-0┐
└1-1┘
得点者:
61分 苔口卓也(富)
68分 石原崇兆(岡)
同点に追いついて勢いづいたファジは勝ち越しを狙って、怒涛の攻撃を仕掛けますが、中々かみ合いません。最後まで勝ち越しできず試合終了。

ホーム3連戦は1勝2分の勝点「5」で終わりました。しかし、15日間で5試合をこなす強行軍はあと1試合残っています。30日(日)のアウェー横浜FC戦。勝って終わろうよ。issanは現地参戦できませんが、念を送ります。勝点「3」のお土産を待っていますね。
これで、カターレ富山戦観戦記を終わります。

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