重い重い試合になるのは仕方ないですね。この試合に勝てばリオ五輪出場が決まるイラク戦。ドーハで行われるイラク戦。言葉にすれば言霊の呪縛を受けそうなドーハでのイラク戦。
アディショナルタイムにW杯を逃した1993年10月23日のイラク戦。あの大会の最終結果が上の表です。2位でアメリカW杯に出場した韓国と日本の勝点は一緒。得失点差で逃すことになった、それが
『ドーハの悲劇』です。時間が止まったかと思える瞬間、ライブ中継なのにスローモーションで見ているようなふわりと上がったクロスにあわせたヘディングシュートがゆっくりとゴールに吸い込まれた時に日本の悲願は潰えました。
今や歴史の1ページとなった感のある、あの「ドーハの悲劇」の頃に生まれたのが今回のリオ五輪アジア地区最終予選を戦った選手たちです。「ドーハの悲劇」をリアルタイムで知らない選手たちがそのドーハの地で「あの」イラクと戦うこと。あの時、ライブ中継で悲劇を目の当たりにした者にとっては、口に出してはいけない辛い思い出の地ですが、彼らにとっては新たな未来を生むための希望の地なのかも知れません。
あの時のメンバーを見ると懐かしいですね。今やJリーグの指導者となって活躍している人が多くいます。それでも当時の日本サッカーはアジアでも後進国でした。日本国内でも悲観的な見方の方が多かったのです。結果だけなら日本の成績は当時の力関係で見れば大健闘なのです。でも、あと数十秒で始めてのW杯に行けていたのに目の前でそれを失った虚脱感は計り知れず、数日尾を引いたものでした。
思い出話が長くなりました。その悲劇の地が今回のリオ五輪最終予選となったことから、この話題を口にしてはいけないような重苦しい気持ちになった日々です。
その呪縛から解き放たれる試合になってほしいと願っていました。
*アブドゥラー・ビン・ハリファ・スタジアム
日本 2-1 イラク
┌1-1┐
└1-0┘
得点者:
26分 久保裕也(日)
43分 ナジ(イ)
90+3分 原川力(日)

アディショナルタイムの悲劇は長い年月を経て「アディショナルタイムの歓喜」へと変貌しました。久保の先制ゴールも原川の決勝ゴールも見事なものでした。あまりにも劇的な結末は筋書きのないドラマとしてはでき過ぎと感じるほどです。何れにせよ、五輪出場権を勝ち取りました。次はアジアNo.1としてリオへ行くことです。
決勝も勝って、勢いと自信を持ってリオへ行きましょう。
決勝は、30日(土)です。

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