高野連事務局長「前代未聞ですよ」…1日2試合連続引き分け 再試合は中1日で
デイリースポーツ 3/26(日) 21:27配信
※以下、引用です。
「選抜高校野球・第7日」(26日、甲子園)
第2試合の福岡大大濠−滋賀学園と、第3試合の高崎健康福祉大高崎−福井工大福井が、春夏通じて史上初となる2試合の連続延長十五回引き分け再試合となった。
第2試合は2時間49分の投手戦。延長十五回引き分け再試合は、14年センバツの2回戦・広島新庄−桐生第一以来5度目となった。高野連は第2試合終了時点で、この試合を第8日第4試合に組み込むことを発表していた。
第3試合は雨が降る中で、一進一退の展開が続いた。午後4時29分に照明が点灯され、3時間44分の熱戦となった。午前9時1分に第1試合が始まり、第3試合が終わったのは、約9時間半後の午後18時24分。雨が降っていたこともあって、スタンドには空席が目立っていたが、残ったファンからは大きな拍手がわいた。
高野連の竹中事務局長は2試合連続引き分けについて「かなり珍しい。過去に地方大会で引き分け再々試合というのは聞いたことがあるけど、(甲子園の)本大会では聞いたことがない。まして1日2試合ですからね。前代未聞ですよ」と驚きの表情だった。
第3試合終了後、高野連は再び日程の変更を発表。通常なら再試合は翌日に組み込むが、今回は第8日は予定通り3試合を行い、第9日に再試合2試合を組み込んだ。
竹中事務局長は「延長十五回を戦った4校を、(すでに3試合が入っている)明日も続けて出すのはどうなのかという判断。こういう結果になったので、1日あけた方がいいということで、元の第8日の予定に戻しました」と説明。これにより準々決勝翌日の休養日がなくなった。再試合を行う4校は決勝まで勝ち上がれば、最長で4連戦を戦うことになる。
筋書きのないドラマとはいえ、これは確かに前代未聞の珍事であります。選手の体調を考慮し、故障などのリスクを回避する為に設けられた延長15回引き分け再試合の制度ですが、2試合連続で起こったことで議論が再び活発化することも考えられます。1試合の疲労の蓄積を回避する為に、以前は延長18回引き分け再試合の制度が作られました。昭和44年夏の決勝は「三沢vs松山商」の戦いで「0」行進が続き、18回でも決着がつかず翌日に再試合となりました。その後は、昭和53年夏の1回戦「仙台育英vs高松商」の延長17回「押し出し死球」サヨナラや、今でも語り草になる2度のビハインドをいずれも2死からホームランで追いつき、18回裏サヨナラ決着した昭和54年夏の3回戦「箕島vs星稜」の試合などがありましたが、延長引き分け再試合には至りませんでした。議論になったのは、平成10年夏の準々決勝「横浜vsPL学園」の延長17回の死闘でした。この試合の後、延長引き分け再試合の規定が変更され、延長15回引き分け再試合になりました。
最初に引き分け再試合が制定されるきっかけになったのは、当時徳島商のエースだった板東英二でした。板東は春季四国大会において、対高知商戦で延長16回、翌日の対高松商戦で延長25回の計41回を完投したのです。これを見た高野連役員が健康管理上問題ありとして連盟理事会に諮ったため、『延長戦は18回で打ち切りとし、引き分けの場合は翌日に再試合を行う』という新ルールが決められたのでした。しかも、この新ルール適用第1号がその坂東本人だったというのが皮肉と言えます。
【歴代の延長引き分け再試合】
*延長18回引き分け再試合
1958年夏
徳島商vs魚津
1962年春
作新学院vs八幡商
1964年夏
掛川西vs八代東
1969年夏
松山商vs三沢
*延長15回引き分け再試合
2003年春
東洋大姫路vs花咲徳栄
2006年春
早稲田実vs関西
2006年夏
早稲田実vs駒大苫小牧
2007年夏
佐賀北vs宇治山田商
2008年春
平安vs鹿児島工
2014年春
桐生第一vs広島新庄
2017年春
福岡大大濠vs滋賀学園
2017年春
福井工大福井vs健大高崎
かつての高校野球は投高打低の状態で、両投手の投げ合いが延々と続くという試合が多かったのですが、金属バットの導入以降では打力を前面に押し出すチームが増えて、延長にもつれ込む試合は多くならないと予想されたかも知れませんが、15回に変更した後の再試合の頻発は予想を上回るペースで増加してきました。
ここで、再試合とサドンデスの延長継続(軟式などで実施中)の比較や延長タイブレークの導入などの議論が活発化すると思います。何にしても、1日2試合が再試合になるという事実が起こったということです。
▽2回戦
前橋育英
000 000 000|0
400 000 00X|4
報徳学園
(前)根岸・丸山−戸部
(報)西垣−篠原
福岡大大濠
000 000 010 000 000|1
100 000 000 000 000|1
滋賀学園
(延長15回引分再試合)
(福)三浦−古賀
(滋)宮城・棚原−後藤
福井工大福井
000 033 001 000 000|7
004 010 101 000 000|7
健大高崎
(延長15回引分再試合)
(福)摺石・氏家−島谷
(健)伊藤・小野・竹本・伊藤−大柿
今日は2回戦3試合を予定通り行い、明日再試合2試合を行います。それによって、休養日がなくなり、延長再試合を勝ちあがったチームが決勝まで勝ち上がった場合には4連戦になります。日程に限りがある選抜とはいえ、再試合がかえって選手の負担になるのだとしたら本末転倒だと思いませんか?

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