新生Vリーグの初年度のレギュラーラウンドが終わり、ファイナルの戦いに突入しています。Jリーグ、Bリーグの優れた点を参考にしながらということではありましたが、では従来のV(プレミア)リーグ時代と比べて何が進んだのかを考えると、疑問符しか付きません。このままでは、20数年前の失敗を繰り返すような懸念が増大してきます。
そもそも、このリーグ改革の目的は選手強化、国際大会での競争力を高めるところにあったはずです。現状がその目的に向かって少しでも前に進んでいるのなら良いのですが、現実がどうなっているのか、真剣に考える必要はありそうです。
嶋岡Vリーグ機構会長に聞く。新リーグここまでを振り返って
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190305-00010002-vbm-spo&p=1
※以下、引用です。
スポーツビジネス産業展が2月27日から3月1日まで千葉県の幕張メッセで開かれた。嶋岡健治Vリーグ機構会長は2月28日に、Jリーグの村井満チェアマンとBリーグの大河正明チェアマンと共にシンポジウム「『Jリーグ、Bリーグ、Vリーグ チェアマン対談』躍進する3リーグのトップが語るスポーツビジネスの展望〜集客、エンタメ性の向上、会場、グッズに対する施策とは〜」に出席した。シンポジウム終了後、嶋岡会長は、Vリーグのプレーオフである「ファイナル6」「ファイナル8」などのスケジュールが、公式ホームページで更新されなかったことを陳謝した。シンポジウムの感想、“新生”Vリーグに対する感想なども合わせて聞いた。以下、一問一答。
――シンポジウムに参加しての感想をお聞かせください。
嶋岡会長:プロというか、リーグを先行しているJ(リーグ)とB(リーグ)ですから。ある意味参考になる話が十分ありました。少しずつでも近づいていけなければならない。特にチケッティング(チケットの購買)のところがね、ある意味で形がもう向こうはできている。我々も準備はしているけど、少しでも取り入れていけたらと思う。
――Vリーグレギュラーラウンドが終了しました。先日も奈良大会に来られていましたが、どういう風に新リーグを評価されていますか?
嶋岡:良いところと悪いところがかなり二極化しちゃっている。本当によく頑張ってやってくれているところと、そうでないところがちょっと出てきている。その辺のレベルを合わせていけるようにしていかなければない。何が問題でできてないのか、何がうまくいってでてきているのか、皆で共有して、少しでも来シーズン良くなるようにしていきたい。
――開幕直後、嶋岡会長に同じ質問をぶつけさせていただいたのですが、もう少しリーグ機構として主導してやっていったほうがよいのでは、と。レギュラーラウンドが終了して、改めて、どうすべきかとお考えでしょうか?
嶋岡:我々しか持ち得ない情報というのがいっぱいある。例えば、こういうチームではこういう形である。こっちのチームではできてない。そういうのを、どう広げていくのかが、我々のひとつのポイントであると思います。そういうのを良いものをやっぱりチームで共有しながら、レベルを合わせていくというのは我々がやらなければならない。もう一つは、大会の主運営はチームに任せているけど、やはりこういうところは足らないんじゃないのと言いながら、レベルを上げていくのが必要かなと思います。
――具体的なサポートというのは、今後リーグ機構は考えているのでしょうか?
嶋岡:金銭面というのはなかなか難しい面はありますけど、やはり地域とどう連携するのかという時に我々が出ていくことが必要なところはどんどん出ていくようにしていきます。
――今シーズン、各地域の試合を見ていて、結局は地方協会頼みの運営になっているように感じました。
嶋岡:自分たちでやっているところも結構あるんですけどね。ただ、なかなか慣れてないがために、そういうところは協会にお願いするというところもある、というのは事実。認識しています。ただ、主体はやはりチームですよね。いろんなイベントだとか、試合に入るところでの際には、自分たちがやっぱりやるんですねと。ただ、運営というのはどうしても協会の人間しかできない部分はある。審判、ラインズマン、ジュリーですとか。それは協会にお願いするというのは最初から計算づくです。全部、それを自分たちできるわけではないので。ただ、イベントだとか、ホームゲームのいろんなところとかは、チームがやるということで、そこは今までよりはだいぶできていると思います。ただ、そこをどのくらいの(質の)高さを求めるかというのはある。
――Jリーグの村井満チェアマン、Bリーグの大河正明チェアマンのプレゼンテーションや話で参考になったことはありましたか? Vリーグにないと感じた部分など。
嶋岡:我々がアプリだとか、そういうのを使って、皆さんに共有して使ってもらうといのはまだできていない。我々はツールとして持っている。各チームさん必要であれば使ってください。というやり方になっている。各チームさんの事情で、これはいいね、と少しずつ使ってもらっているけど、まだ全部に浸透していない。一番の我々の工夫がまだ必要じゃないかなと思う。やっぱりチームで困っているのは、今まで入場券を自分で売ったことがない。そこのツールをうまく使ってもらう。これを使ってもらえばこういうことになりますというのを発信していけないと思います。
――今、アプリに関連して思い出しましたが、ファイナル6のスケジュールを更新が遅れて話題になっていましたが?
嶋岡:それは申し訳なかったです。そういうことを含めて、我々は今回リーグの中で、スケジュールの問題、地方協会にもチームにも迷惑をかけた。これは大きな反省としてあります。(*編注:レギュラーラウンドが終了したにも関わらず、Vリーグの公式ホームページでプレーオフ以降の正式な大会スケジュールが更新されておらず、ファンだけでなく、選手たちもSNSなどで「スケジュールはどこで見られる?」という声が上がっていた)
――機構内で共有して話し合いなどをされているのでしょうか?
嶋岡:もちろんしています。こういうことが二度と起きないように、決めるべきことを早めに決めていって、チームに周知を徹底して、こういう場所でちゃんとスケジュールを共有するということはやっていかない。試合の組み合わせ等々を含めて、我々が一番やらないといけないこと。今回本当に申し訳なかった。
Vリーグ機構はもっと主導的に動くべき
Vリーグは今シーズンより開催権を各都道府県のバレーボール協会を各チームが持つことになり、より自由度が高い大会運営ができるようにはなった。だが、観客を呼ぶため、盛り上げるため、スムーズな大会運営、といったノウハウを持っているチームは多くはない。それにも関わらず、リーグ機構としてのサポートは、記者が見聞きした男子大会の範囲だが、ほとんどなかったように思われる。各チーム独自に他競技のリーグのチーム関係者に相談はしているだろうが、まず機構が主導してアナウンスすべきと感じた。
各チーム自前、もしくは業務委託で運営サポート会社を利用しながら、手探りで運営を行なっている大会もあり、素晴らしい雰囲気となっているところもある。一方で、結局は例年通り、各都道府県のバレーボール協会に大きく助けてもらっているところが多いのも事実だ。嶋岡会長の言う、審判やラインズマン等の派遣は別にして、大会運営そのもののスタッフ、会見を手伝ってくれる方、受付、(業者スタッフも入っているが)コート設営の手伝ってくれる方、多くの協会関係者(高校・大学のバレー部員の動員を含めて)が、休日返上のボランティアだ。多いところでは数十人以上が手伝っていた。地方協会にかなりの負担が掛かっていることを機構はもっと真剣に考えるべきだろう。
大塚淳史
現在のV1リーグ所属の各チームです。
【男子】
・パナソニックパンサーズ
・豊田合成トレフェルサ
・JTサンダーズ
・東レアローズ
・ジェイテクトSTINGS
・サントリーサンバーズ
・堺ブレイザーズ
・FC東京
・大分三好ヴァイセアドラー
・VC長野トライデンツ
【女子】
◇東地区
・NECレッドロケッツ
・デンソーエアリービーズ
・日立リヴァーレ
・埼玉上尾メディックス
・PFUブルーキャッツ
・KUROBEアクアフェアリーズ
◇西地区
・久光製薬スプリングス
・JTマーヴェラス
・トヨタ車体クインシーズ
・東レアローズ
・岡山シーガルズ
プロリーグとしてスタートするはずだった新生Vリーグとすれば、チームに企業名が付くことは本来の趣旨に反しています。当初は「地域密着」の旗印のもと、企業名を撤廃してJリーグやBリーグのような運営を進めるはずでした。しかし、従来の企業スポーツからの脱却ができない国内バレー界は、その大ナタを振るえませんでした。その裏には、バレーボール協会と企業チームの持ちつ持たれつの長い歴史があります。協会やリーグのスポンサーでもあるこれらの企業に対して、企業宣伝活動が一番の使命である運動部から企業名を外すということへの凄まじい抵抗があることは予想できたことです。
結局のところ、従来のチーム名から何一つ変わることなく移行した新リーグに変革を求めることなどできるすべもありませんでした。
V1リーグで企業名を外しているのは、男子ではクラブチームの堺と長野、それに東京ガスの流れをくむFC東京の3チーム、女子ではクラブチームのKUROBEと岡山の2チームに過ぎません。上尾中央医科グループが運営する埼玉上尾メディックスは厳密に言えば企業名ですから除外します。
この壁を破れない限りは、いずれ企業業績に左右されて休廃部に追い込まれるチームが出現するでしょう。そうなれば新生Vリーグの意図したものとは真逆の存在になってしまいます。
理想論を述べる前に、根本的な問題を解決できないままに新リーグ構想に走った機構とバックアップしなかった協会の責任は小さくありません。
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トップリーグにいながらチームのファンクラブ組織すら持てなかったチームがあった旧リーグ時代に対策を打てないまま新リーグに走ってしまったことのツケはいずれ大きくなって返って来ます。今の内にプロリーグとは何かを考えて改革に着手しないと、リーグは本来の方向を見失ったまま空中分解してしまうでしょう。
解決しないといけない課題は大きく根深いものです。
シーガルズは明日から勝ち続けないといけません。
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